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2013.12.03 Vol.12 New Moon / for 145 greenz people
いよいよ12月、今年も大変お世話になりました!
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。
 

green Books 第二弾進行中!お届けは1月末の予定です。
 
<vol.12>の目次

FEATURE / 林厚見さんに聞く「暖簾分けのコツ」
LIST / 弁護士・水野祐さんが選ぶ「仕組みづくり」3つのアイデア
COMMUNITY / globalメンバーに聞く「英語版立ち上げの裏話」
Q&A / フクヘンの小野裕之に質問です。「仕事を選ぶ基準は?」

 

FEATURE

日本各地からの記事をもっとグリーンズへ!
東京R不動産の林厚見さんに聞く「暖簾分けのコツ」

with Atsumi Hayashi / interview by Ono


2013年のグリーンズのビッグニュースのひとつは、
関西エリアからのアクセスが倍増したことです。

大阪ガスさんとの「マイプロSHOECASE関西編」をはじめ、
ハローライフミラツクとのコラボレーションを通じて、
大阪、京都、神戸など関西発の記事が増加。
気づけばライターさんも10名を超え、来週には関西忘年会まで開催することに!

今年の関西での広がりはひとつの成功体験ではありますが、
北海道から九州まで、今後さらに日本各地から記事を発信していくには
まだまだ課題がありそうです。

そこで今回は、日本全国で「◯◯R不動産」を立ち上げている
東京R不動産」の林厚見さんに、
暖簾分けのコツついてお話を伺いました。 (小野)


 

東京R不動産の林厚見さん
 
小野 今日は、お忙しいところありがとうございます。
 
林さん よろしくお願いします。
 
小野 ちょうど最近「鹿児島R不動産」がはじまりましたが、
今日は小さなチームが暖簾わけをして、
ネットワークが広がっていくことについて、
お伺いしたいと思っています。
 
林さん わかりました。
 
小野 さっそくですが、今「R不動産」は、
何ヶ所ぐらいに暖簾分けしているんですか?
 
林さん 地方のR不動産は、福岡、金沢、大阪など、8ヶ所ですね。
URさんと一緒に「団地R不動産」という展開もしています。
 
小野 どのように増やしているんですか?
 
林さん もともと東京R不動産は
フランチャイズとして全国展開、
というようなものを前提にして
始めたものではありません。

東京に住んでいる僕らが
「こういうものがあったらいいな」と
10年前に始めたわけですが、
そのときはなんとなく「○○R不動産」という
別のサイトができることもあるかも?と
少し思っていた程度です。

そして2006年頃に知り合いの建築家の方が、
「金沢R不動産」をやりたいと投げかけてくれたのが、
暖簾分けのきっかけでした。

彼と我々はもともと信頼関係があったので、
「R不動産」のシステムを活かしてもらう
形ではじまりました。

基本的には「価値観が最初から握れていて、
能力的にも回せるひと」が見つかるかどうか、
ということです。
 
小野 それはどう判断するんですか?
 
林さん まあ、感覚的なものですね。
今までは僕らの場合、もともとの知り合いだったり、
近い人のつながりで出会った人が
パートナーになっていたケースばかりです。

「47都道府県に進出するぞ!」という
目標があるわけでもないですし、
さらにいえば、東京と地方で
同じようなコンセプトや構造でやっても
意味あるかなぁ・・・と思うこともあります。
 
小野 確かに。
 
林さん 我々の場合、もうひとつ大事なのは、
営業集団であることですね。
「メディアを作りたい」という
タイプのチームでは成立しない。

あくまで不動産仲介業として
ビジネスをしていくものなので。
 
小野 面白いことを発信するだけではない
ということですね。

それぞれの掲載する物件のクオリティは、
チェックしているんですか?
 
林さん 最初の半年は、テスト期間として
「これはダメ」「これはイイ」という
キャッチボールをしています。

でも、それ以降は日常的なやりとりを
しなくても自動的に走れるような
相手とのみ組んでいるという感じです。
 
 

東京R不動産のウェブサイト
 
小野 離れているが故にむずかしいことってありますか?
 
林さん 地方のR不動産は会社が別だし、
パートナー会社のリーダーたちは
能力や感性のレベルも高いので、
我々が東京からマネージメントする
必要は今のところないですね。
地域同士のライバル意識も少しあるかもしれません。

とにかく僕らの暖簾分けは、相手との出会いが肝。
正しい相手と握ったら、あとは任せる。
というか放置(笑)。

そして相手との出会いは
過去20年のアセットだと言えます。
 
小野 出会いのボリュームがあるわけですね。
 
林さん 僕らも、昔から不動産サイトをやろうと
思っていたわけじゃないんです。

世の中におもしろい空間をつくる、増やす、
そのためにどんな仕掛けやアプローチが
必要なんだろうという、
そういう同じテーマを抱えてきた
「同志」のような人とは自然に
出会っていくものなんですよね。

というか、今となってはちゃんと
“握れる”相手とは多分すでに
出会っているんじゃないかと思う。

一般の不動産屋をやっている人たちは
僕らの狙いや価値観は共有しきれないと思いますし、
「儲からないやり方」をしている
ように見えるということかもしれません。

実際楽な仕事ではないですし、
どこでも成立するものではないです。
 
小野 全国にある「R不動産」をコミュニティとしてみたときに、
どんな方向に向いていると思いますか?
 
林さん やはり共通しているのは、
街におもしろい場所やコトが起きていったり、
生活空間が楽しくなるような、
そういう出会いをつくるんだという志、
建物や街の個性をつぶさないという思い。
そしてその背景にあるもっと基本的な
価値観のようなものは一致しています。

でも僕らは、ウェブとか不動産屋をやるだけで
町を変えられると思っているわけでもないし、
日本の地方・地域をどうするかといった
問題を解決するといった話ではないです。

全国を網羅するといった意思も戦略も持っていません。
 
小野 そうなんですね。
 
林さん すごい良いレストランをやりたいひとが、
東京の店の名前を借りる必要はないですよね?

そして今後もし日本の経済構造が
東京集中だけでなくもっと健全な分散を
していくことを目指すといった話であれば、
そのためのアクションは「R不動産」の今の形とは
違ってくるように思います。
 
小野 その辺り、もう少し伺いたいです。
 
林さん いま、都市と地方といった話の前に
まず僕らが設定しているテーマとしては、
空間をつくることに対する人の意識や
リテラシーを上げることがあります。

単にリノベーションという区切り方じゃなくて、
世の中の空間全部が人間的で楽しいものに
なっていくための仕掛けづくりを考えています。

僕たちはR不動産を通して
「いい空間と人が出会う仕掛け」をつくっていますが、
次は「いい空間をつくるシステム」をつくる
ということです。

正しい仕掛けをつくることで、
僕らが直接関わらないような場所でも、
面白い物件が増えていけばいいと。
 
 

2013年秋には鹿児島R不動産もスタート!
 
小野 すてきな物件が町から消えるのが悲しいから、
じゃあ地元で「R不動産を始めたい」というのは、
分かりやすい構造ですよね。

グリーンズでも同じような構造を作っていけないかなと、
思っているんですが、なかなか難しいんです。
というのも編集部としては分散型なんですが、
マネタイズは中央集権型になってしまっているのが現状で。
 
林さん その場合は、のれんを分けずに
「支店を出す」という割り切りもありですけどね。
あくまで東京で稼ぐと。
 
小野 ただ、それだと全体の価値観が、
東京的になっていってしまうので、
それも避けたいなって。
 
林さん 地方でグリーンズを立ち上げたいと
興味を持っている人たちと、
今の自分たちに何が足りないのか、
しっかり話をすることが最初のアクションに
なるんだろうと思います。

そしてルールとチーム文化のつくり方ですよね。
ルールはミッションや対価の設定、
そしてそのルールが文化を自然に表すわけだけど、
そこで稼ぐのが偉いという文化になると
グリーンズにとってはまずい。
そのへんが工夫のしどころ。

でも、いずれにせよ「みんなが、
その場とミッションに乗っかって打ち込める」という
場をつくらないといけない。
 
小野 暖簾分けのコツは、思った以上に難しいんですね。
 
林さん もちろん一般論で言うと、
暖簾そのもののバリューを高めることですよね。
その暖簾を借りることで、
確実に何らかのメリットがある状態を作れるかどうか。
 
小野 逆に事業的なメリットではない部分で
始まることってありますか?
 
林さん 僕らの場合はまずは
意味的なメリットや意義・志から始まるけれど、
事業として持続的に成立する
見込みがない組み方はしないですね。

同じコンセプトでやろうとしても、
市場が小さすぎて難しいというケースもあるし。

でも、せっかくの出会いだから、
「むしろ、こういうことやった方が
いいんじゃない?」という提案を
したりすることはありますが。

話をしていくと、目的をための解決が
実は「R不動産」ではない、とわかることもあります。

ちなみに、グリーンズの暖簾分けって
どういうことなんですかね?
 
小野 第一段階としては、各地域の素敵な事例を、
同じエリアに住むライターさんが
記事を書くということですね。

その後は各地でクライアントを見つけてくるような、
独立してマネタイズまでできるといいなあと。
 
林さん もしクオリティが問題になるならば、
今の編集体制を1軍として、
それ以外の「2軍グリーンズ」を作ってみるとか?

ちなみにR不動産の場合は、
プロが撮ったようなきれいな写真や
ライターが書くきれいな文章ではなく、
素人か書いた文章、素人がとった写真でOK、
という三枚目路線でいきました。

二枚目なメディアはコストもかかるし、
むしろお客さん目線から離れるので。
 
小野 確かにそうですね。
 
林さん 「クオリティとはなにか?」といったときに、
スキルとかデザインの質というより
メディアのキャラというのもあるよね。
好かれたり共感されるキャラかどうかという。

あと、暖簾分けのひとつのイメージとして、
自治体がパートナーになる形というのもあるのでは?
でもそのときに、サステナビリティという
話を経由すると、自治体にはわかり辛いのかな。
 
小野 それはありかもしれませんね。
グリーンズの一機能を切り出して、
真似しやすい「エントリーモデル」をつくるというのは、
まったく考えていませんでした。

今は、全部のネタが東京に集まって来て、
それを地方に発信している状況なんです。
大阪のコンテンツが始まってから、
いきなりアクセス元として大阪か2位に入ってきて、
ニーズを感じました。

いちいち東京を介するするのは
コスト高になってしまいますからね。
 
林さん グリーンズ本体はありつつ
「グリーンズ○○」というような形で、
その社長を募集してみるのもいいかもね。
ちょっと「持ち上げる」形から入る。
 
小野 「持ち上げ」ですか?
 
林さん 要は、「カリスマ経営者の為に社員が動く」
形じゃなく、みんなが主役になる形です。

参加メンバー募集でなくて、
もっと直接的には権利や資本を持たせるとか。
仕組みが意識や動き方に与える影響は
本当に大きいと思います。
 
小野 なるほど。確かに僕たちは権限委譲が下手ですね。。
 
林さん いっそ編集長という概念をくずして、
chief editor's groupにしてもいいんじゃないかな?
YOSHさんも小野さんも、そのメンバーになってしまう。
それで、チームとして協力し合う体制を
作るのも良いかもしれませんね。
 
小野 会社や事業という仕掛けを
上手に使いながら目的を達成するには
いま目の前にどんなオプションがあるのか。

それがかなり明快に見えている
林さんならではのお話を伺い、
何だか今後のグリーンズがあるべき姿が
見えてきた気がしました。

まだまだ聞きたいことは
たくさんあります(笑)
今日はありがとうございました!
 
 


LIST

弁護士・水野祐さんが注目する
「仕組みづくり」に関する3つのアイデア

with Tasuku Mizuno

 

弁護士の水野祐さん

はじめまして。シティライツ法律事務所の水野と申します。

普段ぼくは、映像、映画、音楽、デザイン等のクリエイティブ分野、ウェブやソフトウェア等のIT分野、それから建築・不動産分野などの法務の仕事でご飯を食べています。

それ以外にも、Arts and LawCreative Commons JapanFabLab JapanなどのNPOで課外活動をしており、法的な視点からの仕組みづくり、制度設計に興味をもっています。

今回は、久しぶりにgreenz.jpをじっくり見てみて、greenz.jpの記事ってやっぱりおもしろいじゃん!と改めて反省?(笑)させられた記事をご紹介いたします。

 
sampl
行政が横展開できる情報発信を!横尾俊成さん&江口晋太朗さんに聞く
ウェブマガジン「マチノコト」が目指すこと

オープンデータに注目
政や教育機関の情報を一般の市民が利活用しやすい形で公開しようという「オープンデータ」という世界的な潮流があり、ぼくが所属しているCreative Commonsもその流れの一助となれるよう、どのような条件で情報公開すればよいのか、という権利やライセンスについて活発に議論をしています。 そのような権利的な面も大事なのですが、一方で、行政や社会インフラにおけるICT技術の活動はもう1つの両輪として大事だと考えていて、このインタヴュー記事で江口さんが紹介されている「Code For Japan」の活動には注目しています。

 

位置情報でとっておきのアートを発信!
シカゴ発、都市を散策すると詩が届くアプリ「Chicago Poets」

都市に彩りを与えるアートに注目
ぼくはArts and Lawという、アーティストやクリエイターに対し無料相談を提供するNPOの代表をやっているのですが、この活動は専門家を雇うまでの余裕がないアーティストが知識の不平等により一方的に不利な立場に陥いってしまうことを是正したいという思いでやっています。ぼくらのサービスもウェブを中心に展開しているのですが、「アート」というと大上段にかまえて小難しく考えてしまいがちな分野です。このアプリのように、ウェブやアプリなどのICT技術にアートを溶けこませることによって、都市に彩りと余白を与えるアイデアに可能性を感じました。

 

観戦中に、茶色い衝撃!
熱帯雨林の保護を訴える、サッカー中継のゲリラアクション「DEFORESTED FIELD」

グリーンズのカンヌ連載に注目
お手伝いさせていただいたPerfume Global Projectが銀賞を受賞したので、ぼく個人としても注目していた今年のCannes Lions 2013ですが、こんな素晴らしい受賞作品もあったんだ!と思わされたのがこの記事。どちらかというと、クールでかっこいい、きらびやかな広告作品が一般的には耳目を集めるなかで、グリーンズらしい視点で受賞作品を紹介されている一連の連載記事に新鮮な驚きをもらいました。


▼ そのほか、水野祐さんおすすめの記事はこちら!
- リビングが一夜限りのライブ会場に!観客とミュージシャンをつなぎ直す「SOFAR SOUNDS」
- 松戸のまちづくりプロジェクト「MAD City」を一日で全力楽しむ!「ワンデーMAD City」レポート

 


COMMUNITY

「greenz global」コアメンバーに聞く、
英語版グリーンズ立ち上げの裏話

with Kota and Andy / interview by Yuto


2013年6月にオープンした「greenz global」は、
日本のソーシャルデザインを世界に発信するgreenz.jpの英語版です。
まだまだ始まったばかりですが、世界的なウェブマガジン「GOOD」に記事を配信するなど、
これからのグリーンズの可能性を広げる重要な存在になっています。

今回はこの「greenz global」の編集長・鈴木康太さん(以下 コウタくん)と、
コミュニティリーダーの安藤進ノ介さん(以下 アンディくん)に、
グリーンズの新しいコンテンツを立ち上げる楽しさについて伺いました!(宮本)

 

greenz global 編集長のコウタくん
 

greenz global コミュニティリーダーのアンディくん
 
宮本 まず最初に、2人が「greenz global」に
加わったきっかけを教えてください。
 
コウタくん 僕は今まで音楽関係の仕事ばかりしてきたんですが、
それで生計を立てるのはやめることにしたんです。
じゃあ音楽の次に本気になれるものってなんだろうって
考えたときに浮かんだのが、ソーシャルデザインの分野でした。

それでどこかで採用の募集をしていないか調べたときに、
ちょうどグリーンズがライターインターンと
グローバルインターンを募集していたんです。
 
宮本 それで両方に応募したんですね。
 
コウタくん そのとき「greenz global」のことは知らなかったけど、
サンフランシスコに留学していたし、
前から英語圏向けの活動もしていたので、
両方応募してどちらか受かればいいなと思っていたら、
両方できることになったというわけです。
それが今年の3月のことですね。
 
宮本 アンディくんは、
今年の2月までシアトルに留学していたんですよね。
 
アンディくん はい。シアトルでは、ある授業で、
本物の投資家の前でプレゼンをする機会があったんです。
そのとき出てきた案のひとつに、
日本を紹介するメディアをつくろうっていうのがあったんですよ。

最終的に違うアイデアを取り上げたんですけど、
自分の頭のどこかに「日本を紹介するメディア」が
そのときからずっと残っていたんです。

留学してから逆に日本がすごく好きになって、
日本のことを発信する仕組みに関わりたいと思っていて。
そうしたら帰国したタイミングでgreenz globalの
インターン募集を知って、時期も合ったので応募しました。
 
宮本 本当はもう一人メンバーがいたんですよね。
 
コウタくん ミキちゃんっていう女の子がいたんですけど、
今はニューヨークに留学をしています。
この3人はすごくいいチームだったんですよ。

今年の4月から7月までは、
3人で火事場の馬鹿力ですごく働いていました。

そのころ僕はライターインターンもしていたから、
毎週YOSHさんと編集会議で話す機会があって、
たまにYOSHさんに「会議が始まる前の
10分だけ時間ください」って頼んでいました。

そこで僕がミキちゃんやアンディくんからもらった
アイデアを伝えて、YOSHさんがどう思うかを
ヒアリングしていたんです。
 
宮本 greenz.jpとgreenz globalの
橋渡しをしていたんですね。
 
コウタくん globalについては、記事のガイドラインもなかったから、
greenz.jpで学んだことを、いかにgreenz globalに
持って帰るかということばっかり考えていました。

YOSHさんがぽろっと言ったことも全部メモに書いて
二人に伝えたり、ミーティングの進め方も学んだり。

僕らは誰が「長」というのはまったく気にしていないんだけど、
やっぱり「編集長」という人がいないとカッコがつかないし、
他の人と対等に話してもらえないんですよね。

だからそういう役割もあって自然にというか、
とりあえず僕が編集長を名乗るから、まったく同権限で
アンディくんはコミュニティリーダーになってよって。

編集長とコミュニティリーダーで
どっちが偉いかってことは全くないんです。
 
アンディくん コウタくんはメディアとして
どういったコンテンツを発信していくかという、
僕にはない引き出しがめちゃめちゃ多いんです。

あとは僕の個人的な興味として、
NPOっていう組織がどう回っているのかに関心もあって、
オペレーション寄りなところに
自分が関わってみたいと思っています。
 
宮本 お互いのやりたいことや、
向き不向きもあって自然と決まったんですね。

メディアを立ち上げるうえでの難しさや楽しさは、
どんなところにありましたか?
 
アンディくん 最初はないことだらけで、
そこにしくみをつくっていくのは
すごく楽しいし、挑戦しがいがありますね。

逆に今、軌道に乗ってきたときで、
そろそろもう1個大きな山を超えないと
スケールしないかなと考えています。

常に新しいことに挑戦しないといけない。
そこが1番難しくて大変なところだけど、
同時に楽しいところですね。
 
コウタくん 大変だったかって聞かれたら、
「大変じゃなかった」とは言えないけど(笑)、
あの頃は毎週欠かさず、直接集まって
ミーティングしてましたね。

母親の病気の手術前夜も
会議に行ったのは今でも覚えてる。
それだけグリーンズを優先したくなるくらい
楽しかったんだよね。
 
宮本 greenz globalでは
日本の事例を英語で発信していますが、
どういう基準でネタを選んでいるんですか?
 
コウタくん 選ぶ基準は、まず日本か東アジアの
事例であるということ。
あとはシェアの数の多い・少ないではなくて、
普遍的に伝えられるもの、
視覚的に伝わりやすいフォトジェニックなものを
選ぶようにしています。

逆に、「これは日本人は理解できるけど、
海外の文化のバックグラウンドだとちょっと難しいな」と
思うものは選ばないようにしています。
 
アンディくん 日本語と英語では文化がちがうし、
一言で伝わるイメージも全くちがうんです。

たとえば日本人に「ものづくり」って言うと、
職人さんとか技術とかっていうイメージを
みんな持っているけど、
外国人に「manufacturing」って説明しても、
その裏にある深い意味までは
説明できないものがあって。
 
宮本 そうなると、ネイティブの方の視点も
必要そうですね。
 
アンディくん はい、どうしても日本人が書く英語の文章は
学校英語的になりがちなので、
読んでいてもワクワクしないというか、
平坦な表現になっちゃうんです。

でもグリーンズでは読んだあとに
ワクワクすることが大事だと思っているから、
ネイティブの編集者さんがいたら
もっと楽しいメディアになるのかなと。
 
コウタくん 日本語だと日本1カ国だけど、
英語だと何十カ国もあるから、
文化の多様性はいつもぶち当たる問題です。

どこまで想定するかはもちろん大事だけど、
最近は押し付けるわけでなく、
「日本はこうなんですよ」って
言っちゃっていいのかなって。

正直実は、僕は「global」って言葉が
大っ嫌いなんですよ(笑)

僕にとっての「グローバル」は
小さいローカルが無数に集まってできた集合体で、
日本のローカルでこういう面白さあるんだよ
ってことを世界に発信していきたいです。
 
宮本 具体的にこれからやってみたいことはありますか?
 
アンディくん 身近な例でいくと、
外国人の友達がglobalの記事をシェアしたら、
めっちゃバズる、みたいなこと。
現地の人にウケたんだっていう実感を
得てみたいですね。

僕はけっこうFacebookで外国人の友達も多いんですけど、
そういう人たちに自分の考えというか、
自分の信じている価値観を伝えていけることは
いいなと思います。

日本語だったら日本人にしか伝わらないけど、
英語だったら日本人と外国人の両方に
伝えられるっていうのは
globalをはじめて実感したことですね。
 
コウタくん 僕はさっき言った英語の問題をどうやって
打破していこうかって考えたときに、
インターンさんとのミーティングをどんどん
ワークショップのようにしたいなと思っています。

例えば、記事を書いている途中でも
途中のものを見せ合いながら
「ここはこう書いたらどうかな」
「こういう書き方してみなよ」という感じで
みんなで輪になって話す。

そういうミーティングを繰り返すことで、
globalの次の段階が見えてくるのかなと。
 
宮本 最後に、2人にとってグリーンズとはなんですか?
 
コウタくん 「大人の真剣な、命かけた部活」。
帰宅部より、何か部活をやってるほうが
学校って楽しいと思うんです。

グリーンズもその感覚で、
部活で学んで自分の身になるものを吸収できるし、
自分もコミットしてグリーンズのコミュニティが
よくなっているのも実感できています。
 
アンディくん 僕は「人生のなかで新しい選択肢を提供してくれる場」。

これまで僕は一般企業でインターンしたり、
就活したり起業家の人と会ったり…と、
ビジネスを身近に感じてきたけど、
グリーンズではまた違った人たちと出会うことができました。

お金を稼いでビジネス一本で生きていくことだけが
人生じゃないんだなっていうのは
すごい学ばせてもらっています。
 
宮本 これからもgreenz globalの活躍を
楽しみにしています!
コウタくん、アンディくん、
ありがとうございました!
 
 


Q&A

フクヘンの小野裕之に質問です。
「仕事を選ぶ基準は何ですか?」

with Natsuko Anamizu


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくるフリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!

 

今回は、会員の穴水奈津子さんが質問します

Q. グリーンズが仕事を選ぶ基準は何ですか?

かなりフレキシブルに全国飛び回っているようにお見受けします。きっとその影には、”断っている仕事”もいくらかあるのではないかと。"選ぶ”というか”優先順位をつける”というか、その判断基準を教えて下さい。(穴水)

▼ ▼ ▼


フクヘンの小野裕之が答えます

A.「商い」は「飽きない」んです。

ご質問ありがとうございます。
むむむ!「仕事を選ぶ基準」とは、なかなか奥深いテーマですね!

せっかくいただくご相談やお依頼なので、できればすべてにお応えしたいとは思っているのですが、近頃では幸いなことにすべてにお応えする余裕がだんだんと無くなってきました。成果にもしっかりこだわっていきたいですしね。

普段はなかなかアウトプットすることの無いテーマですが、ここ最近を振り返るとこんなポイントでしょうか。

・できる仕事
いろいろと期待していただくことも多いのですが、過去の経験を振り返り、「できること」、「できそうなこと」、「できないこと」がだんだんと分かるようになってきたので、ご相談の内容が、まずは自分に「できること」の範囲内かどうかを判断しますね。

また、自分だけではなく、「グリーンズにできる仕事かどうか」を判断する場面も多いので、やったことの無い領域でも、ゴールまでの道筋が見えるかどうか、気をつけています。その上で、「(挑戦したら)できそうなこと」も盛り込ませていただける仕事だと嬉しいですね。

もし、僕に「できないこと」でも、「こうやったらもっとうまくいくかもしれない」、「こういうひとに相談するといいと思う」、「こういう事例に近い」などのアイデアは、ほぼ必ず出しますね。だって、僕たちに興味を持っていただく時点で、かなり絞られた領域の方だと思うので。

・やる理由のある仕事
取材をして記事を書いたり、様々なワークショップを開催したり、ソーシャルデザインを実践する方同士をつなげたり、、、グリーンズの仕事は多岐に渡りますが、「ソーシャルデザインがもっと当たり前のものになってほしい」という「for What」の部分はほぼ共通していると思います。

もちろん、相手によって柔軟に対応することも大切ですが、「for What」こそ、僕たちの存在意義ですし、しっかり定義し、意識するようにしています。

・文脈や熱量と予算のバランス
常々お話させていただいていた方からのご依頼や、ご縁を感じるご相談など「文脈のある」仕事や、相手もこちらも熱量の高い仕事は優先順位が上がります。ただ、始めるときは気にならなかった予算という要素が、後々、自分自身の積極性が上がらない理由になることもあるので、そのバランスが大切かなと思っています。

また、単純に予算が大きく、期間の長い仕事は、それだけいろいろなことを試しながらやっていけるので、もちろん大切ですね。

・飽きずに続けられるかどうか
「商い」って「飽きない」ことなんです。これは、奈良のカフェ、くるみの木のオーナーである石村さんから伺った言葉です。僕はこの言葉を伺った瞬間、何か心が少し軽くなるような、安心した気持ちになりました。

自分がいつも、もっと良くなるんじゃないかと感じられる、変化をつけながら改善していくことのできる仕事や、仕事の進め方ができる仕事は関わっていて、気持ちがいいですし、これは逆の立場であっても、仕事相手にはそう感じていてほしいなと思っています。

以上、参考になれば嬉しいです!(感想お聞かせください◎)

 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回の発行日は<1月1日(祝)>の予定です。

メールマガジン編集長:YOSH(グリーンズ編集長)
編集:木村絵里(グリーンズ編集部)、宮本裕人(編集インターン)
発行:NPO法人グリーンズ
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配信停止については people@greenz.jp まで