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2014.04.29 Vol.17 New Moon / for 227 greenz people
アシスタントの木村絵里さんが卒業し、新メンバーの鈴木康太くんが活躍中の4月下旬。
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。
 
<vol.17>の目次

FEATURE / 前田ヒロさんに聞く「シードアクセラレーターって?」
SCENES / 『ソーシャルデザイン』が大学入試に!...近ごろのグリーンズ
COMMUNITY / 江里祥和さんに聞く「インターン経験の生かし方」
Q&A / 発行人の鈴木菜央に質問です「仕事の楽しさ、辛さは何ですか?」
 
 

FEATURE

BEENOS前田ヒロさんに聞く、
「事業化を支援するシードアクセラレーターって?」

with Hiro Maeda / interview by Ono


こんにちは、greenz.jpフクヘンの小野です。

greenz.jpでも取り上げさせていただいた
「giftee」「WHILL」「sassor」「PIRIKA」といったベンチャー企業が、
次々と出資、サポートを受けているシードアクセラレタープログラム
Open Network Lab(以下オンラボ)」が、ずっと気になっていました。

その仕掛人でもある「BEENOS」の前田さんに、
そもそも「シードアクセラレターってなに?」ということから、
「どんな基準で、どうやって起業家を見つけ、どのようにサポートして、
事業を離陸させているのか」、気になる質問をぶつけてきました。

事業化やマネタイズということが課題になりがちのソーシャルデザインにも、
活かせる視点が満載のインタビューになったと思います。(おの)


 

前田ヒロさん
 
小野 今日はありがとうございます。
 
前田さん こちらこそよろしくおねがいします。
 
小野 今日は、事業を育てたり、
軌道に乗るまでを支援するような、
「シードアクセラレーター」について、
お話を聞きたいと思っています。

将来的にグリーンズとしても、
そういう役割を果たせるかも?
と思っていて。
 
前田さん 確かに、そうかもしれませんね。
 
小野 まず「オンラボ」は、
どんな感じで始まったんですか?
 
前田さん もともとアメリカで起業したんですが、
このまま経営していくかどうか迷っていたとき、
「ベンチャーキャピタリスト」という存在を知って。

その方が、いろんな起業家からいろいろ学べるし、
自分自身がもっといい起業家になれるだろうと、
投資家を目指すようになりました。

その後いろんな縁があって、
ネットプライスドットコムやデジタルガレージと出会い、
起業家育成プログラムを始めた、
というのが経緯ですね。
 
小野 それが2009年くらい。
 
前田さん はい。当時僕も23歳で、
僕自身に大きな成功体験があるわけではなかったので、
とにかく一度でも大成功した人たちに、
会いに行きましたね。

そしてTwitterの創業経営者や、
Facebookのプロジェクトマネージャー、
といった方々を呼んで、
日本のスタートアップのメンタリングを
お願いしました。
 
小野 すごい人達が協力してくれたんですね。
 
前田さん シリコンバレーの素晴らしいところは、
”ペイ・フォワード”の文化があることでしょうね。
自分の直接的な利益になるかどうかは関係なく、
必ずミーティングの最後に”How can I help you?”
って言ってくれる。

でも、その代わりに、来日した時は、
人をたくさん紹介したり、おいしいご飯を食べたり、
最高に楽しい時間を過ごしてもらえるよう、
がんばりました。
 
小野 大物メンターのみなさんとも、
まずは友人関係から始まっていったんですね。
 
 

オンラボが輩出したスタートアップ
 
小野 そもそも「シードアクセラレーター」って
どんな存在なのか、ざっくり教えてもらえますか?
 
前田さん 100万円とか200万円とか、
本当に最初に必要な最低限の資金だけを提供して、
2〜3ヶ月間一緒に時間をすごして
プロダクトを作るというのが基本的な仕事です。

そして実際につくったサービスを
「DEMO DAY」というイベントで披露して、
投資家からお金を集めていく流れです。
 
小野 最初の頃は、起業家を集めることも
大変だったそうですね。
 
前田さん もう、いろんな人に会いまくって、
足で稼ぎましたね。

ただ最近は100件くらい集まるので、
ちょっと受け身になっているかもしれない。
 
小野 前田さんは2013年の10月まで事務局として
運営の中心にいらっしゃったわけですが、
起業家のフィルタリングはどうしていたんですか?
 
前田さん 1チームあたり30分面談をして、
見極めるようにしています。

実際につくれる力は基本ですが、
特にパッションや人を巻き込む力をみてるかな。
やっぱり資金調達をした後に、
採用や営業が重要になってくるので。

あとは、とにかく合理的であることと、
ある程度の頑固さは必要ですね。
ただ、頑固すぎるとだめで、
ユーザーに合わせてフレキシブルに
変わっていけるかどうか、とか。
 
小野 人を巻き込む力って、
判断するのは難しそうですね。
 
前田さん いや、結構シンプルで、
無駄なくピッチできてるかどうか。
そうするとね、僕自身が巻き込まれてるように
感じるときもあって。

それを見極める特定の質問がある訳ではなく、
会話を通してわかるものだと思うよ。
 
小野 社会人経験の有無とかは
あんまりこだわらない。
 
前田さん ああ、全然こだわんない。
あんま関係ない。
 
小野 そうなんですね。
で、その3ヶ月のプログラムは
どんなステップなんですか?
 
前田さん ざっくり分けると、1ヶ月目がアイデアの検証。
2ヶ月目がプロダクトの検証、
3ヶ月目が最適化という流れです。

だいたい最初に思いつくアイデアって、
あまり良くなくて、アイデアをどんどん
変えているチームの方が成長する傾向がある。

大事なのは、自分たちに向いているかどうかと、
自分たちのスキルでできるかどうか。
 
小野 その間、メンターはどんな役割を?
 
前田さん それぞれのフェーズにあわせて、
適切なメンターに関わってもらうようにしています。

アイデアがOKで、プロダクトの検証となると、
現場のプロダクトマネジャーの経験が大事だったり。
 
小野 社会起業の文脈でいうと、
パッションもアイデアも素晴らしいのだけど、
商売というポイントがごっそり抜けてる、
みたいなこともあると思うんですよね。
 
前田さん いや、もうとにかく商売になるようにしますよ。
ある程度、収益性が出る事業であったり、
上場できたり売却できたりっていう、
そういう企業にしかは投資しません。
 
小野 なるほど。実際「DEMO DAY」では、
どれくらい投資が集まるんでしょう。
 
前田さん でっかいところでは、
映像のクラウドソーシングサービス「Viibar」が
3億円調達しましたね。
大半は3000〜5000万円の間です。
 
小野 それは適切な額だと思いますか?
 
前田さん それは会社によるかな。
自分たちの製品と市場が完全に適合しているって、
検証されている状態であれば、
どれだけ調達してもいいと思うよ。

そこまででなければ、
やっぱり何段階かに分けた方がいいね。
 
 

"ミツバチの巣"を表すBEENOS
 
小野 前田さん自身の仕事の進め方で、
参考にしている事例ってありますか?
 
前田さん 一番参考にしているのは、
Yコンビネータ」と「テックスターズ」かな。

メンターの関わり方だったり、
コミュニティのつくり方だったり、
いい部分を取り入れるようにしています。

具体的には、オンラボのスタッフに、
いつでも相談できるオフィスアワーを用意したり、とか。
 
小野 いいですね。
 
前田さん オフィスアワーの目的のひとつは、
とにかく優先順位を決めて、
ひとつのことにフォーカスさせることなんです。

法人化とか採用とか、プロダクトづくりとか
いろいろやらなければいけないことはあるけど、
アイデアの検証ができてないんだったら、
まずは「ユーザーと話そう!
それ以外のことはやらなくていい」
って伝えたり。
 
小野 確かに、迷ってる時間って、
実は何もやってなかったってこと、
多いですよね。

ちなみに、どこまでメンターが
アドバイスをするのか、線引きってありますか?
 
前田さん 結構いろんなメンターがいるので、
言われたことを100%聞かなくてもいいと、
言っています。
もう完全に個人に委ねると、判断は。
 
小野 プログラムが終わった後は?
 
前田さん けっこう自由かな。
オンラボを使い倒したかったら、使い倒してね、
逆に価値を感じなかったら離れてもいいし、みたいな。

出資比率も含めて、友だちじゃないけれど、
いい距離感が大事かなと。

すごく嬉しいのは、
資金調達後に入ってきた株主よりも、
オンラボを一番信頼してるって
言ってくれる人が結構多いことかな。
 
小野 本当に起業家に判断を
委ねている感じなんですね。
あまりいろいろ言わないというか。
 
前田さん いや言いたいことはあったりするけど、
仕方ないよなって。

もちろん自分で決めきれずに、
自滅していく企業も全然いるけど、
自分で気づかないとうまく行かないと思うし、
それに慣れていかないと、
会社が大きくなっても同じことを繰り返すはず。
 
小野 そういう葛藤をオープンにできるかどうかって、
すごく大切なことなんじゃないかと思うんです。

売上とかノウハウとか、
あまりにブラックボックスが多すぎると、
誰も参考にできないし、広がらない。

なのでグリーンズでも、基本的には
オープンにしていきたいと思っていて。
 
前田さん うん、それはいいと思うよ。
 
小野 オープンな情報が集まってくると、
いわゆる生態系ができていきますよね。
まさにそこにメディアであるグリーンズが
果たせる役割があるんじゃないかなと、
改めて気づくことができました。

今日はありがとうございました!
 
 


SCENES

『ソーシャルデザイン』が大学の入試問題に!...
近ごろのグリーンズの風景

selected by Nao, Yosh and Ono

 

2014年4月3日(木) 福岡出張中の新幹線にて
なんと『ソーシャルデザイン』が、山形県立米沢女子短大の入試問題に、感謝!(YOSH)
 

2014年4月15日(火) メーカーズベースにて
初のメイカーズベース!元印刷工場だったそうです(小野)
 

2014年4月19日(土) リトルトーキョーにて
わたしたち電力ワークショップ。
電気って、作れるんだ、とみんな気づいた瞬間の笑顔。いいですね。(鈴木)


 


COMMUNITY

元greenz globalインターン江里祥和さんに聞く
「インターン経験の生かし方」

with Yoshikazu Eri / interview by Kota


2013年6月にオープンしたグリーンズの英語版「greenz global」は、
現在5名のライターインターンさんと一緒に運営しています。

今回は、去年夏から今年の1月まで初代インターンとして活動した江里祥和さんに、
インターン卒業後の今の活動と、インターン経験の生かし方について伺いました。(コウタ)


 

元greenz globalインターンの江里祥和さん
 
コウタ 今日は、ありがとうございます。
 
江里さん こちらこそ、お久しぶりです!
 
コウタ 江里さんは、これまでの経歴がおもしろくて、
グリーンズに参加する前に、
1年ぐらい海外を放浪していたんですよね?
 
江里さん はい。もともと僕は、
日本でソフトウェア販売の接客業を
3年半ぐらいしていたんですけど、
「このままでいいのかな…」と思うことがあって退職し、
海外放浪をはじめたんです。
 
コウタ どのあたりの国々を渡り歩いたんですか?
 
江里さん タイ、ラオス、インド、イスラエル、フランス…
10ヶ国ぐらいですね。いくつかの国では
農業ボランティアをしてました。
その頃に、グリーンズを知ったんですよね。
 
コウタ そうなんですね!
 
江里さん 当時ネットで農業のことを調べていたら、
グリーンズに辿り着いて。
そして帰国後に「greenz globalのインターン募集中!」
というツイートを見つけて、応募しました。
 
コウタ どうして「greenz.jp」ではなく、
「greenz global」に応募したんですか?
 
江里さん 実はもともと英語ブログを趣味で書いていたんです。
でも、「記事」というかたちで本格的に書いていなかったので、
そのスキルを高めたいと思いました。
 
コウタ 実際、今年の1月まで、
「greenz global」に関わっていただきましたが、
いかがでしたか?
 
江里さん 最初のころは、コウタさんやYOSHさんから
フィードバックをいただくことに、
緊張していましたよ(笑)

記事の終わりで、読者に問いかけるときに、
日本人的価値観をどこまで出していいのか、
海外の読者をどこまで想定すればいいのかを、
毎回考えさせられました。

インターン期間を通して、
「英語の記事をつくることは、
単純にことばを変換するのではなくて、
文化も巻き込まれる」ということを学びました。
 
コウタ たしかに試行錯誤しましたね。
僕は、英語の記事をつくるときに、
海外生まれのネイティヴに書いてもらうのではなく、
江里さんのような”引き出しのある日本人”に
書いてもらうことで、「日本でいま起きていることを
生々しく伝えたい」と思って
編集してきたように思います。
 
江里さん なるほど、そうだったんですね。
僕は、「greenz global」に参加したおかげで
「"いつか"自分の英字メディアを」という思いの、
”いつか”が近くなった気がしています。
 
コウタ それは、よかったです。
江里さんが編集長の英字メディア、楽しみだなあ。

僕がとても印象に残っている江里さんの記事は、
CTAKEO」でした。

あれは、ご自身で見つけてきたネタでしたが、
僕らもネタ元にしている
inhabitat」というウェブマガジンが
取り上げてくれて、大ヒット記事になりましたね。
 
江里さん そうでしたね。
「CTAKEO」を運営している虹山さんに、
最近お会いする機会があったのですが、
「こんな大反響になるとは!」と
ふたりで驚いていました。

あの記事は、農業ボランティアの経験が
生きたのかもしれません。
食べ物を育てることって、場所や知識が必要で
「ハードルが高いな」と感じてしまいがちですよね?

「CTAKEO」は、そういったハードルを
下げてくれることにも魅力を感じました。
 
コウタ その「家庭菜園のハードルを
下げていきたい」という思いから、
最近ウェブマガジンを立ち上げたんですよね。
 
江里さん はい、それが4月に立ち上げた「おうち菜園」です。

場所がなかったり、忙しかったり、
あるいは知識がなかったり。
そういった方々にも、身近に食べ物を育てる経験を
持ってもらいたいなと思って。
 
コウタ 具体的に、どのような活動をしていくんですか?
 
江里さん 「greenz.jp」のように海外の事例を
紹介する記事を発信したり、
気軽に始められる家庭菜園キットを
販売していきたいなと思っています。

まずは、輸入販売を考えていますが、
将来的には自分たちでキットを
つくっていきたいんですね。

あとは、”育てた先の様子”を
紹介することも大事かなと。
 
コウタ というと?
 
江里さん 自分たちの家庭菜園でつくった野菜で、
どのような料理がつくられ、
食卓に並ぶのかを読者に伝えたいんです。
その様子も一緒に紹介することで、

「家庭菜園って、楽しそうだなー!」って
思ってもらえるはず。
グリーンズと同様に、「自分ごと」として
取り組みを始めるきっかけづくりを
していきたいです。
 
コウタ グリーンズでの経験が生かされているようで、
とてもうれしいです。
パートナーとしていつか一緒に
記事をつくっていけるといいですね。

最後に、江里さんにとってグリーンズとは?
 
江里さん 「入口」というワードが浮かぶんですよね。
僕が環境とか農業とかコミュニティに
興味を持ちはじめて、
最初に出会ったメディアがグリーンズでした。

そして、green drinks に参加しはじめたことで、
ひととのつながりを持ち始めることができました。
本当に、世界が広がりましたよ。

今後は、例えば僕の母親が自然とグリーンズを
知るようになったら嬉しいですね。
「ねぇねぇグリーンズっていう
面白いサイトがあるのよ」って、
日常会話でしているような。
 
コウタ それは素敵ですね。
今日は、ありがとうございました!
 
 


Q&A

発行人・鈴木菜央に質問です。
「仕事の楽しさ、辛さは何ですか?」

with Chie Matsumoto


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくるフリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!

 

今回は、会員の松本千絵さんが質問します

Q. お仕事をされていて、楽しかったり、嬉しく感じることや、逆に、辛かったり苦しく感じることは何ですか?

私は、現在パン屋さんで働いているのですが、グリーンズの記事を読んで色々な生き方をされている方々のことを知り、元気がでたり、生活が潤っています。そんな魅力的なお仕事をされている方への素朴な疑問です。(松本)

▼ ▼ ▼


発行人の鈴木菜央が答えます

A.「グリーンズのおかげで、こんなことがあった!」と言われると嬉しいです

松本さん、ご質問、ありがとうございます。簡単には答えられない、とても良い質問です。

まず、辛いことから。

大変なことや、辛いことは、なにか人間の心のカタチに合わないことをやることで生まれると思います。グリーンズの株式会社時代は、目標を立てて、ノルマ制を強制してみたり、人事評価制度をやってみたり。人の心にそぐわない活動のカタチは、心の歪みを産むんだな、ということを最初の5年で学んだので、今は辛いことは、それほどありません。

人の心も、自然の一部、なんです。世界は、摂理がある。流れとか、動きに沿って、動く、つながる、社会をつくる。そんなことを学びました。

楽しいことは、たくさんあります。でも、一番嬉しいのは、会った方から、「グリーンズのおかげで、こんなことがあったんですよ」と、言ってもらえる瞬間です。「greenz.jpを読んで、いつも勇気をもらってます」とか、「green drinksに参加して仲間が見つかった」とか、「他のメディアに取材をうけた」などなどです。一番すごかったのは、「green drinksで出会って、結婚したんですよ」と言われた時です。

アクセス数が伸びるより、記事がめっちゃシェアされるより、ひとりの人にそう言っていただけると、ほんと、やっててよかったなー!と嬉しくなります。
今後とも、そんなグリーンズを、よろしくお願いします!

 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回の発行日は<5月29日(木)>の予定です。

メールマガジン編集長:YOSH(グリーンズ編集長)
編集:鈴木康太(グリーンズ編集部)
発行:NPO法人グリーンズ
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