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2014.06.28 Vol.19 New Moon / for 252 greenz people
速報なのですが、おかげさまで『ソーシャルデザイン』増刷(5刷)決定、感謝!
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。
 
<vol.19>の目次

FEATURE / ソーヤー・海くんに聞く「共に生きる社会をつくるには?」
SCENES / 空海の旅、スペイン新婚旅行、スクール準備...近ごろのグリーンズ
COMMUNITY / 松本優真さんに聞く「ジュニアライターという関わり方」
Q&A / 発行人・鈴木菜央に質問です「"お金を稼ぐ"ってどういうこと?」
 
 

FEATURE

ソーヤー・海くんに聞く、
「グリーンズを通じて、共に生きる社会をつくるには?」

with Kai Sawyer / interview by NAO


こんにちは。NPOグリーンズ代表の鈴木菜央です。
実は最近、greenz.jpで「暮らし」「食と農」「生き方」「DIY」といった記事が
増えつつあるのに、気が付きましたか?

2006年に創刊したときの最初のインタビューが
「アファンの森」に暮らすC.W.ニコルさんだったり、
パーマカルチャーや世界各地のエコビレッジの体験レポートなどが人気だったんですよ。
(今よりも二桁、読者数は少なかったですが…)

そんなgreenz.jpは、「共に生きる」を掲げて、
世界中から研修生が集まって学ぶ国際NGO「アジア学院」での
1年間のボランティアの経験からインスパイアされた部分が大きかったのです。

僕の解釈では、「共に生きる」というのは、
自分と家族、友人が生きる環境を大事にする生き方、
人が人を大事にする生き方、あらゆる暴力に加担しない生き方。
いのちがつながって、循環する生き方です。

そんな社会を、メディアを通じてつくっていきたい、という思いが、
greenz.jpを始めたきっかけの一つ。そして、今こそ改めてそういう生き方を
みなと共に考え、伝え、広げていきたい、と思っています。

そこで今回は、「共生革命家」として
非暴力コミュニケーションについて深めるワークショップを開催したり、
パーマカルチャーをベースにした社会変革運動「アーバンパーマカルチャー」を
仕掛けたりしているソーヤー・海さんにこんな質問をぶつけてみました。

「グリーンズを通じて、共に生きる社会をつくるには?」(菜央)


 

ソーヤー・海くん
 
菜央 今日は、よろしくお願いします!
 
海くん こんにちは!
 
菜央 僕たちはグリーンズを通して、
それぞれが社会とどう関わっていくか、
という問題提起はできてきたと思うんだけど、
自分自身の健康、心の平安、家族との関係ということや、
暮らしを循環型にしていくこと、
ローカルとつながって生きていくこと、という
ドーナツの中心に近い部分については、
あまり提案できてこなかったなぁ、と思うんです。

循環する生き方、暮らし方を広めていくことや、
そういった文化をつくっていくことを、
実験しながら、動きながら言葉を紡いでいる存在が、
海くんなんじゃないか、と思って
今日は話を聞きにきました。
 
海くん ありがとう!
菜央さんは、もともとアジア学院の出身なんだよね?
 
菜央 うん。「アジア学院」は、暮らしが循環している場所。
野菜、米、果樹を育てるのはあたりまえ、
鶏、豚、牛、ヤギなんかを飼っていて。
あと魚の養殖も。

暮らしで言えば、生活排水がバイオジオフィルター
(砂利の中の微生物のちからを借りて汚れを分解する)を通って、
最終的には自分たちが野菜を食べている畑に流れるし、
近所の小学校の残飯で育てた豚のフンで
バイオガスをつくって、お湯を沸かしたり。

そんな暮らしをしながら
世界中から集まった研修生が、喧々諤々、
協力しながら1年間の暮らしをつくっていく。

「そういった風景が日常のものになればいいな」
とは思うけれど、まだまだ一般的じゃない。
こういうあり方を、もっと現代的な文脈で捉え直して、
みんなが真似したくなる、
真似できるようにしていきたい。
 
海くん 僕も、まさにそういうことをやりたいな。

いままで消費者として育てられてきて、
なんとか就職したけれど、
会社をやめたい人がどんどん増えているでしょう?

大事なのは、彼らがいままで学んだことを、
いかに消していくかというプロセス。
そして、「人間であること」を学び直し、
生活に必要な技術を習得していく場がつくりたいんだ。
そういう場、アメリカの西海岸にいっぱいあるんだよ。

彼らは、自然とのつながりを当たり前に思っているけど、
現代文明から切り離されてはいない。
みんなファッショナブルでかっこいいし。
Skypeしながら畑作業をしたりね。

そういう文化をつくっていくハブも、
いままで手にしたものを離さずに、
でも自然とのつながりを持って
田舎の文化と交わりながら豊かな生活を送るモデルも、
まだ日本には少ないんだよね。

例えばシアトル郊外のブロックスは、そういう場なんだ。
研修生は、食べ物の話ばかりしているし、
いろいろな技術を持ち寄っている。
 
菜央 なるほどね。
 
海くん 探検と失敗を積み重ねられる場所が必要なんだろうね。

失敗ができないと、学びができないんだよ。
日本は”失敗しちゃいけない文化”だから、
新しいものが生まれにくいのかな。

僕の大きなヴィジョンは
「共生革命の”工作員”を増やしていきたい」
ということ。
 
菜央 工作員ね(笑)
 
海くん メディアの業界だって、文化の工作員でしょう?

僕は、100%の人々が幸せになれる社会をつくる、
そんな人を育てていかなきゃいけないと思うのね。
99%じゃなくて、100%。

そして、思想家のサティシュ・クマールとか
哲学者のヴァンダナ・シヴァみたいな人が、
どんどん増えていってほしいと思うわけ。

真実をしっかり判断できる人たち。
信念が強くて、一度決めた道を突き進んでいける人たち。

原点にあるのは、自然とのつながりだろうね。
自分は生態系の一部なんだというところから、
旅は始まると思う。

生きるということは自然の一部として、
どのように貢献するか。
 
菜央 自分の社会・世界も
本当は自然の中にあるものだよね。
 
 

東京アーバンパーマカルチャーの風景(1)
 
菜央 僕が「アジア学院」で学んだことは、
自分がいかに小さな存在か、ということと、
「世界って奇跡みたい」ということ。
そして、自然の流れに身を任せる感覚から外れなければ、
すべては上手くいくということだった。
 
海くん そうだね。
僕は、メディアのいいところは、
たくさんの人をインスパイアできることだと思うの。

でも、やっぱり難しいのはさ、
インスパイアされたひとたちの”その後”を、
どのようにサポートしていけるかなんだよ。
 
菜央 まさにそうだね!
グリーンズで感じてることと一緒。
 
海くん インスパイアされたけれど、
その後が続けられなくて失敗する人もいるでしょう。

だから彼らへのサポートシステムがあって、
理想的には”場”をつくることだろうね。
その”場”に行けば、アイデアを交換できる人がいること。

人と話すことで見えてくるものがあるし、
本物の学びは、世の中に広めていく
プロセスにあるからさ。

そして世に出たあとにわからなくなれば、
戻ることができる場じゃないとね。
都会に住んでいると、何でも複雑になってしまうから、
シンプルな生き方を再定義していかないと。
 
菜央 まさに僕も、そういうイメージ!
自分の生き方としてそうしていきたいと思っている。
「生きる」っていうシンプルなところをベースにすると
いろんなことが見えてくるんじゃないかなって。

グリーンズとして何ができるか
まだイメージがわかないところがあるけど、
グリーンズとしても提案していきたい。
 
海くん やりたいと思う人が10人集まれば可能なんじゃない?
彼らは、チャンスを与えれば動くと思うんだよ。
だから大切なのは、デザインすることと場をつくること。

ネット上で起きたことがきっかけで、
場が生まれた「オキュパイ運動」は、
その場で“次の社会”の実践をしたことがすごいよね。

似たような事例は、
サンフランシスコ郊外のオークランドでも起きていて。
「カサデラパース」(平和の家)というもので、
パンチョさんという人が運営してる。

彼はメキシコ人なんだけど、
ギャングの抗争が起きている街の中間地点に
スペースを借りて、常にドアをあけてるの。
つまり24時間誰でも受け入れる場所をつくり、
平和を広めていってる。

裏には巨大なコミュニティガーデンがあったり、
毎朝瞑想をしたり、社会活動をしたり。
そしてギフト経済で生きているから、
お金のために働かない。

僕とパンチョさんの違いは、
彼は100%でやっているということ。

みんなが思う安定感をすべて捨てて、
お金も手放しているんだよね。
そこまでやり通す人がいたら、
社会は変わっていくんだろうなと思うね。
 
菜央 うーん、パンチョさん、本当にすごいね…。
そういう人を増やすには、
いろいろな恐れを乗り越えていく
必要がありそうだなぁ。
 
海くん でも、その道が恐れを乗り越える道なんじゃないかな。
抱えている恐れの多くは、思い込みじゃん?
 
菜央 うーん、思い込みかぁ。
でも、家族がいるっていうこともあって、
なかなか踏み出せない自分もいるなぁ。

”これまで”と”これから”が違う世界で、
どのように生きていけばいいんだろうと考えたときに、
成功モデルがみれればいいんだけど。

家族がいることで、だいぶ違ってくると思うんだよね。
 
海くん そうだね。僕はまだ結婚もしてないし、
子どももいないからわからないけど。
 
菜央 子どもがいても、本当の生き方を貫いていて、
ギフト経済を実践している人に会ってみたいな。
 
海くん シアトル郊外のブロックスにある、
とあるパーマカルチャー農園の家族の末っ子は、
9歳だけど学校に行かずに、
身近な活動家から暮らしを学んでいたよ。

技術力は高いし、生き生きとしていて、
いわゆるエキスパートに恵まれている。
エキスパートから自分が学びたいことを学ぶことは
大きな意味があるよね。

最近、非暴力コミュニケーションのワークショップをやって
鮮明に見えるようになったのが、現代人って
評価と批判の世界で育っているということ。

いい人、悪い人というラベルでみるようになって、
人間性をみなくなる。

だからホームレスをみると、
その人が何を必要としているのかでなく、
”落ちこぼれ”とか”失敗した人”っていう
ラベルでみてしまう。
その視点で育っていくことって、恐ろしいと思うんだ。
 
 

東京アーバンパーマカルチャーの風景(2)
 
菜央 根本から考えて行動する。
何が本当なのかということを考えて、
根っこにたどり着ける人を増やさないといけないね。

でも、すごい頑張らなきゃいけない世の中だから、
もっと失敗してもいい場所が必要だし、
信頼できるセーフティネットがあるといいね。
 
海くん 結局、水と食べ物と家があれば、
なんとかなるんだよ。それ以外は、ボーナス。

いまの現代人は、ボーナスの世界に生きてるんだよね。
ボーナスをあてにして、やりくりをしている。
 
菜央 ボーナス…本当にそうだね!
だからみんな悩むんだな。頭でっかちに。
 
海くん 土台があったうえでボーナスがあるならば、
安定した生活がつくっていけると思う。
だから、土台があるという原点に
気づける場所が重要。
 
菜央 大学までは「なんで生きてるんだろう」なんて
悩んでたけど、アジア学院にいた時は、
ただただすべてが美しくて、生きてるだけで幸せだった。
 
海くん そうだろうね!
そういう場を、僕は田舎でやりたいんだよね。
都会でやる意味もあるけれど、
都会から簡単にアクセスできる場で、
実際に住む人がいる場。
 
菜央 そうすると、僕が住んでいるいすみ市は
ぴったりかもしれないね。
例えばブラウンズフィールドとかで、
テスト的にやってみるのはどう?
 
海くん そうだね、いまあるものを使わせてもらうことから
テスト的に始めるのがいいかもしれない。
宿泊しながら HEAD / HEART / HANDSをすべて実践できる、
研修プログラムをつくりたいな。
 
菜央 じゃあ、海くんのワークショップイベントを、
ブラウンズフィールドでやろう!
それから、海くんが言っている、
カリフォルニアの農場にも行ってみたい。
 
海くん ぜひ来てよ!
すばらしい学びがあると思うよ。
 
 


SCENES

空海をめぐる旅、スペイン新婚旅行、スクール準備...
近ごろのグリーンズの風景

selected by Nao, Yosh and Ono

 

2014年6月9日(月) 室戸岬にて
空と海と、朝陽とノザイナー(YOSH)
 

2014年6月12日(木) バルセロナにて
はい、ミロ美術館。よかた。(小野)
 

2014年6月25日(水) 池袋「たまTSUKI」にて
今日はたまTSUKIで、ダウンシフターズについて、あつく語り合う。
グリーンズで高坂勝さん講師でスクールやるよ(鈴木)


 


COMMUNITY

元ライターインターンの松本優真さんに聞く
「ジュニアライターという新しい関わり方」

with Yuma Matsumoto / interview by Kota


グリーンズでは4ヶ月間みっちりと、グリーンズ的な記事の書き方を学ぶ
「ライターインターンさん」という仕組みがありますが、
その卒業後のステップとして、グリーンズで定期的に記事を書いていただく
「ジュニアライターさん」という新しい仕組みがスタートしました。

今回は、そのキックオフメンバーである松本優真さんに、
グリーンズとの新しい関わり方について、お話を伺いました。(コウタ)


 

ジュニアライターの松本優真さん
 
コウタ 今日は、よろしくおねがいします。
そもそもなのですが、ライターインターンに応募する以前から、
ソーシャルデザイン的なことに興味があったんですか?
 
松本さん そうですね。
僕が大学に入学したのは、東日本大震災の直後だったんですが、
なんとなくソーシャルデザインの取り組みや
考え方が徐々に目につくようになってきて、
特に「シェア」というキーワードには興味を持っていました。

そんな折、価値あるアイデアをシェアし広めることを目指す
「TEDxYouth@Kyoto」というプロジェクトに
参加することになったんです。
 
コウタ そこででは、どのような役割を担っていたんですか?
 
松本さん イベントに出演するスピーカーに実際に話を聞いたり、
SNSでイベントのプロモーションをしていました。

そのときに「TED」や「TEDx」のことを全く知らない人に、
その魅力を伝える難しさを痛感していたんです。
そこで、伝える力を突き詰めていきたいなと思い始めたんですね。
 
コウタ なるほど。
 
松本さん それで、その活動を卒業するいいタイミングで、
グリーンズのライターインターン募集を見つけたんです。
グリーンズのようなメディアは今後増えていくと思っていたし、
プラットフォームとして今後の可能性を感じていました。
 
コウタ どんな分野に興味を持っていましたか?
 
松本さん ライターインターンが始まった直後に、
小豆島に3週間滞在したんです。
地域コミュニティの活性化を目指した、
瀬戸内国際芸術祭のクリエイティブプロジェクトに
接する機会もあり、自然とまちづくりには
興味を持ち始めましたね。
 
コウタ 小豆島での体験とグリーンズでの活動は、
相乗効果ありましたか?
 
松本さん ありましたね。
たとえば、ぼくは「SHED」というカリフォルニアの
地域密着型ファーマーズ・マーケットの記事を書いたんですが、
その記事を小豆島で手間暇かけてオリーブをつくっている方や、
家族で移住して農業を営んでいたりする、
暮らしへの意識の高い人々に、好意的に読んでもらえたんです。

それは、地方・都会じゃない地域に
目を向けることの大事さに気づかされる体験でしたね。
 
コウタ なるほど。
一方で、松本くんが自分で考えた企画は「哲学」がテーマでしたね。
 
松本さん 食やローカルをテーマにした記事は、
すでにグリーンズにたくさん掲載されていますよね。
せっかく自分でネタを決められるならば、
他の人がやっていないことをやりたいなと思いました。
 
コウタ なぜ哲学にしたんですか?
 
松本さん ぼくは大学で哲学を専攻しているんですが、
哲学ってむずかしく思われてしまいがち。
でも、元々の哲学は「わたしたちはどう生きるべきか?」
「どうすれば幸せになれるか?」という
問いかけから始まるんです。

だから、哲学の堅さをほぐせる事例を紹介すれば、
もっと身近に感じてもらえるのではないかなと思ったんです。
 
コウタ たしかに、「哲学」っていわれると、
日常からかけ離れたものと思ってしまう人が多いかもしれませんね。
ぼくが松本くんのマイ企画記事で、
特に興味深かったのが「Death Cafe」の記事でした。
 
松本さん ぼくは、哲学って答えが無いものについて考え、
自分なりの答えを持つことだと思うんですね。
だから、生きる・死ぬといった自分の存在に関わるような
問いに向き合う試みは、哲学として解釈できるかなと。
 
コウタ そんなライターインターン期間を経て、
今月からはジュニアライターとして活動が始まりましたが、
今後どのようなことに挑戦していきたいですか?
 
松本さん まず、取材へ出かけて
インタビュー記事をつくることに挑戦したいですね。
グリーンズのライターだからこそ、
いろいろな人と知り合う機会が増えていくので、
彼らとのコネクションを広げていく
機会になればいいなと思うんです。
 
コウタ 同時に、greenzライターの佐藤慶一さんが編集長を務める
トジョウエンジン」でのライター活動も始まりましたね。
 
松本さん 「トジョウエンジン」でも、
海外のプロジェクトを紹介する記事を書いているんですが、
ひとつ違うのは途上国にフォーカスしている点ですね。
用語の問題なので仕方がない部分はありますが、
途上国と先進国を比較したとき、
無条件に先進国が優勢だと感じてしまう人が多い気がします。

でも日本も課題先進国として、いろいろな社会的課題を抱えている。
その社会的課題を解決するヒントは、
途上国からも見つけ出すことができると思うんです。
だから「トジョウエンジン」では、
途上国から学べることを多くの人々に伝えていきたいですね。
 
コウタ すごく自然な成り行きで活動の幅が広がっているんですね。
最後に、松本くんにとってグリーンズとは?
 
松本さん 「オシャレな司書がたくさんいる図書館」ですね。
いろいろ悩んで、気取った言い方を考えてみました(笑)
グリーンズにはいろいろなライターさんがいるけれど、
みんなオシャレなんですよね。

オシャレな先輩がいっぱいいて、
彼らが発信してきたグッドアイデアが
アーカイブされている図書館が
グリーンズというイメージです。

ぼくも先輩方に負けず、
自分のフィルターを通して翻訳や解釈をし、
多くの読者にグッドアイデアを伝えていきたいと思います。
 
 


Q&A

発行人の菜央さんに質問です。
「菜央さんが考える「お金を稼ぐ」とは?」

with Kanako Tomioka


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくるフリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!

 

今回は、会員の冨岡加奈子さんが質問します

Q. 菜央さんが考える「お金を稼ぐ」とは?

田舎出身なのでおすそ分け"文化で育っていたり、ボランティアをした後におばあちゃんからお漬物を出してもらったり、greenzの記事にあった友だち経済"を見て、こういう生き方をしたいし、社会もこうなっていったらいいな~と思っています。

でもやっぱり生きていくにはお金は必要。友だちが行っていることを応援するにも、共感だけじゃなくて実際に支援したい。割り切って「お金を稼げ」たらいいけど、それでいいのかな?と最近感じることも多く。なので、「お金を稼ぐ」ことをどう考えているか、質問させてください!(富岡)

▼ ▼ ▼


発行人・鈴木菜央が答えます

A. なにかの分野で、日本一になることから

富岡さん、質問ありがとうございます!
お金ってなんなんでしょうね。私も考えていきたいテーマです。

多分、お金のつくりかた、の問題だと思います。それが矛盾をはらんでいるのか? 矛盾がないのか? そういう意味では、自分が社会のためにやっていることがお金になるっていう循環をつくることが、矛盾がないことなのかな、って思います。

でも、いきなりはできないと思うんです。

グリーンズもはじまりは、「お金になる」とか「ならない」とか考えていませんでした。ただ、好きだから、やりたいから始めた。それで生きていけたらいいけど、どうやったらそれができるか、検討もつかなかったですね。

一人の人間として、なにかにお金を出すって、どういうことか考えてみましょう。

イベントにしても、何かを買うにしても、お金を払ってでも手に入れたい「自分にとっての価値」にお金を出すわけですよね。他人がそう思うようになるまで、その価値がなんなのかを考え続けなきゃいけないし、価値を磨いて高めていく必要があるわけです。それは、すぐにはやっぱりできない。

サッカー選手は好きでサッカーをはじめて、地域のクラブとか部活でひたすらやる。給料がもらえないけど、やる。そういうことをつづけて、やっとプロになれるとかなれないとかの話になる。

でも、ソーシャルデザインはサッカーでいうところのクラブとか部活がない。おとなになって、急にはじめて、お金にならない……とみんな悩んでいる。

だから、まずは好きなことを徹底的にやればいい。どんなにニッチな分野でもいいんです。というかニッチであれば あるほどいい。その分野で、なにかの日本一になってください。

日本で一番、「マグカップ」について詳しい
日本で一番、「トタン建築」について詳しい
日本で一番、駄菓子の歴史を知っている

でも、まだライバルがたくさんいそうですね。そしたら、掛け算してみるとか。「トタン」の魅力を知っていて、誰よりも詳しいとしたら、そこに写真を掛け算する。トタンx写真=これで唯一の存在になるわけです。ちなみにこちらです。

日本一だぞって胸を張れるくらいの深さとクオリティが出しつつ、仲間たちとも、それを楽しむコミュニティをつくる。あとはそこから、仲間たちとそれをどうやってお金に変換するか、アレコレ実験していきましょう。その繰り返しでしか無いのかな、と思います。

アフリカの呪術師にお願いすると、雨乞いを100%成功させるといいます。どうやるのか? 彼は、雨が降るまで、祈り続けるのです。5年、10年かかっても、その過程を旅として楽しめれば、かならずゴールに到達するんじゃないか、と思います。

「稼ぐ」とは生きる「旅」みたいなもの、なのかもしれませんね。お互い、旅を楽しみましょう!

 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回の発行日は<7月27日(日)>の予定です。

メールマガジン編集長:YOSH(グリーンズ編集長)
編集:鈴木康太(グリーンズ編集部)
発行:NPO法人グリーンズ
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