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2016.02.25 Vol.39  / for 557 greenz people
新・編集アシスタントに伊藤優汰くん(People会員・元インターン)が就任!
People会員がグリーンズのスタッフになる流れも増えていくかもしれませんね。
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。
満員の参加者と盛り上がった1/18開催「greenz Talk!」からの一コマ
 
<vol.39>の目次

FEATURE / 枝廣淳子さんと考えた。メディアはサステナブルな社会をつくれるのか?
SCENES / 最近のグリーンズコアメンバー
COMMUNITY / peopleマネージャーの鈴木奈穂子さんの「10周年に向けて」
Q&A / プロデューサー・小野さんに質問「公と私のあいだの共」

 

FEATURE

greenz.jp編集長 鈴木菜央が
枝廣淳子さんと考えた。
「メディアはサステナブルな社会をつくれるのか?」

by Junko Edahiro and Nao 


こんにちは、鈴木菜央です。

僕たちgreenz.jp編集部のメンバーは、2016年7月で10周年を迎えるgreenz.jpの全面的な進化を準備しています。

自分たちのもともとの思い、出発点、目指している社会を振り返って、2016年の今現在、僕らは何をしていくのか? 何を「しない」のか? をじっくりと考えることが重要です。

そのためにどうしても会って話を聞いておかなくてはいけない人がいました。
それが、枝廣淳子さんです。

僕の見方では、みんなが幸せに生きていける社会(つまり持続可能な社会!)をつくるために必要な考え方、世界の捉え方をみつけ、紹介する水先案内人です。

たとえば、アル・ゴアの『不都合な真実』や「定常経済」という考え方を日本に紹介したり、「システム思考」「学習する組織」などの考え方を学べる場をつくってきたり。

日本の社会環境ムーブメントをリードしてきたNGOでWebメディアであるジャパン・フォー・サステナビリティ(以下、JFS)を立ち上げたのも、枝廣さんを中心としたチームです。(JFSは、greenz.jpを創刊するときに、大いに学び、参考にさせてもらいました。)


そんな枝廣さんに、改めて、サステナブルな社会をつくるために、メディアができることを聞きました。

今回のインタビューは、あまりに充実した長編の内容に仕上がったので、前編をgreenz.jp誌面上に掲載しました。前編は、枝廣さんと小田理一郎さんにサステナビリティのこれまでの歴史について説明いただいた内容となっているので、前編を先に読むことをオススメします!
(菜央)
 
枝廣淳子さん
 
 
菜央 JFSも、幸せ経済社会研究所も、
ある意味メディアを介して
社会と関わるってことをやっていると思うんです。
そして、イーズとして書籍や
メディアの翻訳者を養成しているのも、
メディアを通じての社会づくりだなと思っています。
持続可能な社会をつくる場に、
メディアはなりうるんでしょうか?
 
枝廣さん ちなみにグリーンズの会員制度、
「greenz people」になっている人たちは
何に惹かれて月々1000円払って
一緒にやっているんでしょうね?
 
菜央 いろいろだと思いますが、
コメントとして多いのは、
「無料で読めるgreenz.jpに
いつも励まされている」だったり、
「アイデアをもらうので、
この恩を返したい」などでしょうか。

それから「ムーブメントの一部になりたい」とか、
そういう声が多い。

あと、「そもそもgreenz.jpという
現象が気になっていて、
一体何なのか知りたい」とかですかね。
本当に、ありがたいことです。
 
枝廣さん ピープルの人たちって、
正統派というか、
いわゆる「サステナビリティ」
というテーマを正面突破的に扱って
それで響く人たちっていうよりも、
グリーンズ的な価値観に
惹かれている読者が多いと思うんです。

サステナビリティって言葉を使わなくても
グリーンズ的な価値観を
感じることができている。
 
菜央 はい、そうですね。
 
枝廣さん サステナビリティっていうのを
出してないからこそ
いろいろなところと一緒にやるとか、
すごく大きな価値観がある。

例えば、気候変動枠組条約でも
科学者でも環境NGOでもいいけど、
いわゆる専門組織からの
情報のアプローチとは
違う層の広がりをつくれている。

そう考えると、
これからはサステナビリティっていう言葉や
概念だけでは十分ではないと思っています。
 
菜央 なるほど。
 
枝廣さん 心に秘めたのはサステナビリティだけど、
メディアとしての位置づけは、
今更ながら出す必要はないだろうし、
次の10年は今までのグリーンズ的なものから
一歩進んだグリーンズ的なものが
きっと求められている。

秘めているものはサステナビリティ、
同心円状のものだけど、
その言葉を使わないでいくほうが
信頼はあるような気がする。
 
菜央 なるほど。

greenz.jpが受け入れられている理由のひとつは、
「主語はあなたです」っていう
メッセージなのかなと思うんです。

この記事はすごい人のストーリーなんだけど、
同時に、僕やあなたと同じ地平線に立った、
普通の人の話。
だから、極論するとあなたの話だし、
あなたの幸せの話なんですよ、という。

そして「今までのグリーンズ的なものから
一歩進んだグリーンズ的なもの」が求められる。
うーん、これは、宿題をもらった気分です。

枝廣さんはメディアを通して、
今後どんなことをやっていくんでしょうか?
 
枝廣さん JFSはさっきいったように、
日本が世界に伝えるべきものがあるって
活動していたんだけど、
日本はどちらかっていうと
置いていかれているので、
日本から提供できるものがあるとしたら、
どっちかといえば、東洋思想的なもの、
思想的なものかもしれない。

それはすごく大事で
それが世界に役に立つものなので、
今はそういった方向の情報発信に力を入れています。

最終的にはどうやって
西洋とどうやって学びあうか、
これを新しいものにしていくか、
そのためにこれまで東洋の人が
西洋のことを学んできたけど、
逆の動きが出てきているし、
これからも続いていくでしょう。

そこに部分的にでも立ち会えればうれしい。
 
菜央 西洋が東洋に学ぶことを促進していくことが、
サステナビリティにも大きな意味を持つ、と。
 
枝廣さん 幸せ経済社会研究所のほうは、
自分の勉強の場でもあるんです。

これまでのサステナビリティは、
いわゆる「経済」の中で、
資源をいかに効率的に
製品をつくるかっていうことだった。

今は、その資源を取り出す自然資本を
どういうふうに維持しながら、
その製品の最終目的である
幸せな社会をつくっていくか?
ということが大事だと気づき始めている。
今まさに世界中で、
その研究が進んでいる途上だと思います。
 


 
菜央 たしかに。
 
枝廣さん 社会とは、自然資本を生かして
何か物やサービスをつくるしくみ。

その結果がどうなるか?
自然資本から究極の幸せまでの
一気通貫の効率を、
私たちは考えないといけない。

自然資本についての理解が深い人たちも
増えているけれど、
幸せの領域の研究も
まだまだこれからの研究領域です。
今、私たちも勉強しているという感じ。
 
菜央 まさに最先端の分野なんですね。
わくわくします。

そういう意味では、
一般に対しての広いアプローチというよりは、
もう少しかかわっている人たちに
影響していくきっかけにしていこう
という狙いですか?
 
枝廣さん 幸せ経済社会研究所としてやっているのは、
どちらかというと一般の人へのアプローチかな。

「サステナビリティ」では響かないけど、
「幸せ」だと響く人が多いし、
みんなそれを求めていると思います。
 
菜央 なるほど、深めていくけど、
専門的にならない深まり方。
だからこその広がり方。
 
枝廣さん グリーンズに集まる人は、
ある程度楽しい未来をつくりたいっていう気概がある。

アイデアを自分で考えていたり、
チェンジ・エージェント(変化の媒介者)的な、
社会を変える思いとか、
スキルや力を持った人をもっと増やしていく、
そういう人たちの力を見つけて
本当の変化を拡散していくってすごく大事です。

しかし一方で、社会全般でみると、
生きる力が弱まっていることを
すごく感じています。
社会を変えていく力のある子は
確かにいるけど、
昔よりも多い割合の人たちが、
生きる力そのもの、
つまりつくりたい未来がわからないとか、
考えるつもりもないとか、
そういう人たちも増えている気もしている。
 
菜央 そう感じているんですね。
教育は重要ですね。
そこに対して、どんなことができるんでしょうか?
 
枝廣さん もちろん学校教育も重要だと思いますが、
もっと広く教育ということを
捉えていくべきではないかと思います。

そういう意味で、可能性を感じる領域が、
地方なんです。

今、国が人口減少で
各自治体に地方創生の総合戦略を
つくる動きがありますが、
私は海士町と近江八幡をお手伝いしています。
普通は住民を入れずにつくるか、
入れても表面的だけど、
海士町と近江八幡はそうしなかった。

海士町で言うと、
地方創生の総合戦略は
次世代のリーダーシップ育成だ、
次世代からこの街をつくっていく人たちの
仲間づくりなんだって
目的を明確に持っている。

私がファシリテーターとしてお手伝いで入って、
バックキャスティングの考え方で、
つくりたい未来を描き、
その未来と今の社会の、
何がつながっていないのか?
それらをつなげるにはどうしたら良いのか?
ということについて話し合っている。

参加者みんながシステム思考を身につけるので、
共通言語になっています。
非常に可能性を感じています。
 
菜央 なるほど。
地方創生とは、市民が学んで自ら地域をつくり、
立て直していく。
みんなでサステナビリティってなんだろう?
レジリエンスってなんだろう?
と考え、まちをつくっていく。
最高の教育ですね。

日本が各地域でそういう実験が
どんどんなされていって、
それが海外にも共有できるように
なればいいですね。
 
枝廣さん でも、頑張っている人その人をみると、
持続可能じゃないと思う時もある(笑)
 
菜央 まさに、持続可能性のドーナツ化現象。
僕の場合、グリーンズの仕事を
頑張りすぎて腰も悪くして、
妻との関係も悪くなってしまった
(今は復活しました)。

やっぱり、持続可能な社会づくりの基礎は、
自分自身が幸せであること、
家族が幸せになること、
社会が幸せになることだなと(笑)
 
枝廣さん 菜央さん自身が、
そういう体験をしているんですね。
 
菜央 昨年の11月、
トランジションタウン・ムーブメントの
発祥の地として有名な、
イギリスのトットネスという町に取材に行って来たんです。
ロンドンから電車で4時間以上、
人口は8000人くらいの田舎の小さなまちです。

トランジションタウン・ムーブメントは、
僕の解釈では、
市民一人ひとりの可能性を最大限発揮して、
幸せで、レジリエンスがある持続可能なまちを
つくることを目指しているんですが、
その仕組みの一番すごいところは、
誰にでもワーキンググループと呼ばれる
小さな活動を立ち上げられて、
相互に協力する仕組みにあります。

その結果、「断熱」「食べ物」「スキルシェア」など
さまざまな活動があるんですが、
近年大変に盛り上がっているのが
リエコノミープロジェクト」という、
地域経済のつくりなおそうというワーキンググループです。
一言で言うと、地域内でお金が生み出され、
使われたお金が循環する状況をつくった。
その出発点になったのが、
「地域の経済計画づくり」です。

それが、「トットネス地域経済ブループリント」です。

これは、市民と大学が協働して、
地域の食、建物の断熱、
再生可能エネルギー、健康医療福祉という4分野で、
調査と提言をまとめています。

地域の食を例に言えば、
トットネス地域の食関係の総支出が約50億円。
そのうち、6割の30億円が
たった2つの大手スーパーチェーン
(地域外資本)で消費されていて、
のこりの4割、20億円が60ある
地域資本の食料品店で消費されていた。
さらに、総支出約50億円のうち、
半径50km以内で生産された
食料の比率は27%であり、
のこりの73%は地元以外から
調達した食料だということがわかったんです。

購買力のあるスーパーに対して、
近隣の小さな農家は売り負けて
十分な利益を上げられないことや、
利益確保のため効率を追求するスーパーは
雇用人数が非常に少ないうえに
賃金が低いのに対して、
地域の食料品店は近隣の小さな農家から
適正な金額で調達をしていること、
雇用人数も多い。

地産地消を進めることが、
地域に富をもたらし、
雇用をもたらすことがわかってきたんですね。
そのデータをみんなで共有できたことで、
どんな活動をしていけばよいか、
はっきりしたそうです。
 
枝廣さん それは、大きな一歩ですね。
 
菜央 今では市民だけでなく、
市の職員も議員も町長さんも
その経済計画を持ち出して
議論の土台にしているそうです。

それくらいのインパクトが街にあって、
その後地域でビジネスをつくる起業家を
増やすためにシェアオフィスが
街にできたりとか、
起業する人も集まってきて、
今は新しく起業する人に、
どうやってみんなでサポートできるかを
ワークショップ形式で話し合うイベント
ローカルアントレプレナーフォーラム
なども行われています。

そんなトランジションタウン・ムーブメントが
世界中に広がりつつある。
その成功の秘訣はなにか?

それは、
「個人の可能性を最大化しよう。
みんなでつながって、
地域経済をつくりなおして、
レジリエンスを取り戻そう。
そして、持続可能な社会をつくっていこう」
という順番になっている。

サステナビリティは当然最重要課題ですが、
あくまで望ましい状態であって、
メッセージとしては
「僕の、あなたの話」なんだなぁ、
と思っています。
 
枝廣さん やっぱり日本の場合、
そういう事例を参考にしつつ、
日本が世界の課題最先端である
人口減少とか他の国が
まだ直面していない問題にも
対処できるようになって、
世界に発信できるとよいですね。
 
菜央 本当にそうですよね。
今、マインドフルネスとか
非暴力コミュニケーションなどといった、
東洋と西洋を行き来した思想が
すごく重要な意味を持っている時代だと思います。
おふたりと一緒に、
そういうことを発信できるとしたら、
すばらしいですね。

greenz.jpのリニューアルは、
まさに今もやもや期の最中にいますが、
ヒントがたくさんありました。
今日はありがとうございました!
 




SCENES

最近のグリーンズコアメンバーの様子

selected by Nao, Ono, Shotaro and Kota

 

1/23 タイニーハウスをつくるワークショップに潜入。いいなー。ほしいなー。(菜央)



1/24 和歌山県でのgreenz peopleオフ会にて。(正太郎)
 
  

1/29 愛する妻に祝ってもらいました #32さい #旅おじさん(小野)
 
 

 1/29 今日は、日々の忙しい仕事から一歩抜けだして、
グリーンズのコアメンバーほぼ全員で、NVCワークショップを受講しました(コウタ)
 
 


COMMUNITY

greenz people アシスタントの鈴木奈穂子さんに聞く、
グリーンズ10周年に向けて取り組んでいること  

with Naoko Suzuki / interview by Namicky


2006年に創刊した「greenz.jp」は、来年、10周年を迎えます!
今はその節目に向けて、新しいグリーンズのあり方を模索しているところです。
そこで、このcommunityコーナーでは、NPO法人グリーンズの活動に
さまざまな形で関わっているコアメンバーやアシスタントたちに、
それぞれが10周年に向けて取り組んでいることを伺っています。

第7回は、greenz.jpの寄付会員制度「greenz people」の
アシスタントを担当している鈴木奈穂子(通称:すずなおちゃん)
すずなおちゃんがgreenz people担当として、現在目指していることって?(なみっきー)

 

greenz people アシスタントの鈴木奈穂子さん
 
なみっきー すずなおちゃんは
昨年10月よりグリーンズに参加しましたが、
グリーンズの最初の印象はどんなものでしたか?
 
すずなお まず、人が少ないことにびっくりしました(笑)
 
なみっきー 確かに(笑) 

記事の本数やイベントの頻度に対して、
かなり少人数で運営してますよね。
 
すずなお 基本はイベント記事の登録や
問い合わせ対応ですね。
他にも私はpeopleアシスタントも
兼任しているので、
People’s Booksの発送管理や
イベントでgreenz peopleの案内もしています。

最近はiPadを導入したので、
動画で案内もできるようになりました。
 
なみっきー あの動画
可愛くてわかりやすいですよね。
そもそもなのですが、
すずなおちゃんはどうしてグリーンズへ?
 
すずなお  実は去年の夏に
自由大学のカリキュラム
初めてポートランドへ行ったんですけど、
そこでの学びが本当に大きくて。
 
なみっきー へえ! どんな学びがあったんですか?
 
すずなお  一番は環境に対する考え方ですね。

ゴミの処理を行政が
前向きに取り組んでいるのは
もちろんなんですけど、
個人がゴミの行方をしっかり把握していて。

そのために飲食店や家庭に
コンポストが当たり前にあったりするんです。

しかも、ポートランドに住む個人個人が、
そういったことを町のために
ごく自然に行っているのが
すごく印象的でした。
 
なみっきー なるほど。

個人の環境意識が
あの町の雰囲気を
つくっているんですね。 
 
すずなお  そうなんです。
私は約5年間コーヒー業界で
働いているのですが、
ポートランドでの体験を経て、
使用済みコーヒー豆で
何かできないかなと思って。

そんな環境に対する意識が
高まっていた時に
greenz.jpでアシスタントの募集を見かけて、
何か活動のヒントを
得られるんじゃないかと思って
応募しました。
 
なみっきー  そうだったんですね。

すずなおちゃんが来てくれたお陰で
オフィスで美味しいコーヒーが
飲めるようになりました。(感謝!)

そしてコーヒー×ソーシャルデザインは
興味のある人がたくさんいそうです。
 
すずなお 最近はグリーンズのイベントで
コーヒーを提供する機会もあるので、
ピープルの方向けにコーヒー教室を開催したりとか、
これから何かできたらうれしいですね。
 
なみっきー 是非やりましょう!

ところでグリーンズは
今年の7月で10周年なのですが、
事業部とgreenz peopleが
より良くなるためのアイデアや
イメージはありますか?
 
すずなお  そうですね。

まずは導入したiPadを
フル活用していきたいですね。

iPadのおかげで
greenz peopleの説明動画を流したり、
その場でpeopleに入会できるシステムが整いました。

今後は最近始まった、
ピープルのオフ会や遠足の様子なんかも
写真で紹介できたら良いなと思ってます。
 
なみっきー 写真がその場で見れるのは良いですね!
peopleがどんな雰囲気なのかがより伝わりそう。
 
すずなお そうですね。

あと、私自身がまだまだグリーンズ初心者なので、
グリーンズのことがまだ
よくわからない人のためにも
何かできたら良いなと思います。
その一環として、
今月みなさんのお手元に届く、
最新号のPeople’s Booksから
読者アンケートが導入されるんです。
 
なみっきー あの手づくりの可愛いハガキですね!
 




すずなおさん作のはがき

 
すずなお そうです。デジタル化も
大切だとは思うんですけど、
アナログなコミュニケーションも
大事にしたいと思っています。
 
なみっきー ピープルのみなさんから、
ハガキが来たらうれしいですね!
(ぜひみなさん、お待ちしてます!)

では最後に、
peopleの方へメッセージをお願いします。
 
すずなお 私はグリーンズに入って、
色んな活動をしてる人に
会えることにすごく希望を感じました。

特にグリーンズのイベントに行くと
自分で活動してる面白い人に
たくさん会えるので、
ピープルの人にもぜひ来てほしいです。

そしてピープルの人の声も
届いたら必ず受け止めますので、
People’s Booksのハガキや
Facebookのコミュニティページも
どんどん活用してくださいね!
 
なみっきー ありがとうございました!
 




Q&A

プロデューサーの小野さんに質問です。
「公にできて、共にできないこと」
「公にできなくて、共にできること」

with Takashi Kobayashi


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくる
フリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!

 

今回は、会員の小林隆史さんが質問します

Q. 以前小野さんがFacebookで
「公と私のあいだの共」と投稿されていたのですが、
「公にできて、共にできないこと」、
「公にできなくて、共にできること」を
詳しく教えてください。


今、日本全国で面白いマイプロジェクトを実行している人がたくさんいると思うのです。

仕事として、趣味としてそれぞれあるにせよ、ひとつひとつのマイプロジェクトが独自性と共感を得ていると思うのです。

大小様々ある中でも、各マイプロジェクトに共感した人が共通意識をもって、一緒にバンドしていくことで県境や国境を越えたものになっていると思います。

共通意識をもった人たちが同体となり、仕事や教育、育児、食、暮らしがその中で循環していく村のような仕組みができて、どの村も面白い!という多様性がどんどん生まれていくような気がしています。

そんな中で、グリーンズは組織の仕組みづくりやお金の流れにすごく筋が通っていると思います。

寄付会員とライター、企業とメディア、企画と参加者にしっかりとしたgive&takeをつくっているという印象をもっています。

公がなくなっても、グリーンズという共同体は仕事を生み出していくことができるといいますか。公に頼らない、「公と私のあいだの共」にほしい未来のヒントがあるような気がしています。

小野さんおすすめの「筋が通ったマイプロジェクトTOP5」なんかも聞いてみたいです。(小林さん)

▼ ▼ ▼


プロデューサーの小野が答えます

A. 僕が最近使っている公共私は
公が行政(特に自治体)、
私が企業(特に上場企業)、という意味で使っています。

ざっくり言ってしまえば、社会的な意義やニーズに応えるときに、まったく儲からなくてもやるのが公で、とっても儲かるからやるのが企業の役割です。

結果として、その領域の社会的ニーズは満たされることになります。

ただ、その2つの領域の間には、そこそこしか儲からないけど応える社会的な意義やニーズがある、という領域が存在しています。

しかも看過できないほどの規模になってきたよ、ということになってきたのが2000年代以降ではないでしょうか。

さらに、もちろん例外はありますが、原則からすれば、行政は利益が上がることはできないことになっていますし、企業は利益が上がることしかできないことになっています。

どちらも、基本的には、税金と株式発行による間接投資という、早い話が、自分ではない誰がリスクを負ってくれていて、そこからお金をいただいて運営されている都合上、原則としてのルールからはみ出ることがとても難しい仕組みで成り立っています。

そこで、活動としてより主体性と自律性の高い社会的事業、とか、ソーシャルデザインのような言葉が脚光を浴びるわけです。

このあたりの領域を、公でも私でもない、共と読み替えてもいいかもしれませんね。

加えて、公と私の比較から離れ、公だけを見てみたとき、行政には、予算消化主義によりコスト意識が働かなくなり、かつ、競争原理が働かないため、提供するサービスの質が上がらない、もしくは低下してしまうという特徴があります。

たとえば、あらゆる人をターゲットにして設計された自治体のホームページは、いろんな人をターゲットにした結果、ほとんどの人のニーズを満たさないという現象など、その最たる例ですね。

そういったものも、共の領域として、新しく民間から担い手が出てきてもいいんだろうと思います。

ここで付け加えておきたいことは、上記の議論には、どんな悪意や悪者もの存在していないということです。(そこからはみ出たとき、法治国家では、違法行為として罰せられることになります。)

気持ちの問題ではなく、構造的な問題として、そういうふうにできている、と捉えるのが正しい感覚です。

ご質問の「公にできて、共にできないこと」、「公にできなくて、共にできること」について、上記でお答えになっているでしょうか。

共の領域について、おそらく、戦前は地域の自治会を中心に、戦後は会社の福利厚生の一環として、どちらもその担い手を求めてきたのではないかと思うのですが、新しい世紀に突入したいまではどちらも弱ってきているため、共をまた新しく定義し直している途中、と言えるのではないかと思います。

ご質問の背景にある、「公がなくなっても、グリーンズという共同体は仕事を生み出していくことができるか」についてですが、おそらく、「公がなくなっても」というのが、昨今騒がれている消滅可能性都市などのキーワードに代表されるような「自治体が破綻しても」という意味しているのではないかと思いますので、その前提でお答えしますね。

また、「グリーンズという共同体」という表現も曖昧ですが、質問の背景に「寄付会員とライター、企業とメディア、企画と参加者」という言及がありますので、そのあたり、なんだろうという感覚で捉え、あえて定義し切らずにいきたいと思います。

まず、グリーンズは現状として、特に、投資対効果を問われない補助金は、一度ももらったことがありませんし、これからももらわないようにやっていきたいと思っています。

グリーンズの担っている領域や業態は、多少なりの事業性が出せる分野なので、資金調達が必要なときは、民間の金融機関から行います。(民間の金融機関は、たとえば融資がちゃんと返ってくるかどうか、利子が支払われるかどうか、事前と事中できっちりと投資対効果を判断します。その冷静な目と緊張感も事業を成長させる大きな要素のひとつです。)

だからと言って行政の仕事や補助金を否定しているわけではなく、大事なのは、補助金は自己資金ではなくタネゼニでしかないし、また、行政は最終的なお客さんになり得ず、お客さんは常に生活者ひとりひとりでしかない、という認識を持って取り組まなくて意味がないということです。

その前提に立ち、toBであってもtoGであっても、何かの企画を実行する最には、クライアントである企業や行政が、最終的には生活者の暮らしをサポートしたり、豊かにすることでお金を儲け得ることにつながっているのかを常に問います。

濡れ手に粟、棚からぼた餅のような状況は、一瞬、とても得したような気になってしまいますが、結局は、事業を継続する体力や能力が磨かれず、自ら死期を早めることになってしまうはずです。

常に、生活者のニーズ、市場のニーズに、真摯に向き合うことが、そのときはなかなか成果につながらず大変であっても、結局は長い目で見れば、事業を継続するにあたり、一番楽な方法なのではないかと考えています。

さらに言えば、生活者のニーズ、市場のニーズは、現状の、短絡的なもの(お金になればなんでも良い)ではなくある美意識を持ったニーズに応えていきたいと思っています。

世界がもっと美しいものであってほしいと願っているひとは、思ったより多いのではないかと、日々感じています。

真っ当な仕事をして、真っ当に稼ぎ、真っ当に再投資する。正直な仕事がしたいと考えています。

そんな背景を感じ取っていただき、「筋が通った」と言ってくださっているのかもしれませんね。ありがとうございます。(まだまだ未熟過ぎますが!w)

長くなってしまったので、筋が通ったマイプロジェクトTOP5にお答えするスペースがなくなってしまいましたが、ひとつ言えることは、筋の通し方はひとそれぞれでいい、ということです。

まさにそれが、マイプロジェクトたる所以だと思うからです。

◎◎はこういうものだ、とか、◎◎だから仕方がない、とか、◎◎と◎◎は常にトレードオフだ(どちらかひとつを得ようと思えば、どちらかひとつはその分減ってしまう)、とか、そんな諦めを持たずに、違和感を手放さず、マイペースで、じっくり取り組んでみてはいかがでしょうか。

自分自身への激励も込め。

いつかまた、議論させてください。 
 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回の発行日は<3月中旬>の予定です。

メールマガジン編集長:スズキコウタ(グリーンズ編集部デスク)
編集:並木香菜子(グリーンズ編集部)、伊藤優汰(グリーンズ編集部)、植原正太郎(people事業部マネージャー)
編集協力:滋野綾奈(編集学校卒業生)
発行:NPO法人グリーンズ

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