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2015.04.19 Vol.29 New Moon / for 408 greenz people
この春、YOSH編集長が京都へお引越し。関西のみなさま、宜しくお願いします!
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。
<メールマガジン再配信のお知らせ>
本日7時にお送りしたメールマガジンの中に、
転載不可の写真が含まれていることが判明しました。
編集部の確認ミスにより、関係者のみなさまに
ご迷惑をおかけしたこと、心よりお詫びいたします。

 
<vol.29>の目次

FEATURE / クラシコム青木耕平さんに聞く、強いチームのつくり方
SCENES / 鹿児島、大阪、東京、いすみ...近ごろのグリーンズ
COMMUNITY / シニアライターのふたりに聞く、移住してみてどうだった?
Q&A / プロデューサー小野に質問「ご縁を大切にするにはどうすれば?」
 
 

FEATURE

クラシコム青木耕平さんに聞く、
強いチームのつくり方

with Kohei Aoki / interview by Ono


こんにちは、グリーンズの小野です。

2011年の後半は、編集部フルタイム3人、パートタイム2人、フリーランスのライター20人で運営していたグリーンズも、2015年4月現在、気づけば、編集部フルタイム5人、パートタイム4人、フリーランスのプロジェクトマネージャー3人、フリーランスのライター80人と、なかなかの所帯になってきました。

人数の変化もさることながら、個人が結果を出すスタイルから、チームで結果を出すスタイルへ、その仕事の進め方の変化はとても大きなものがありました。(本当に毎日、四苦八苦。。。)

greenz peopleのみなさんの中にも、チーム運営、事業づくり、会社経営について、悩んでいる方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなとき、前号の『greenBooks』である『greenBooks vol.3 〜 グリーンズの仕事のつくり方』を読んでいただいたクラシコムの青木耕平さんから、Facebookでメッセージをいただきました。

メッセージの一部をそのまま転載すると

「はじめまして。 先ほど藤原印刷の藤原さんにご縁を頂いて、『greenBooks vol.3』を拝読させて頂きました。とても興味深く、また共感できる内容で、特に小野さんの章が最高に面白かったです」

というものでした。

その後すぐに連絡を取り、オフィスにお邪魔して、青木さんとお話させていただく機会に恵まれました。

その中で、会社をひとつの「国(特に帝政ローマ時代の)」に見立てて経営されている青木さんの考え方がとても印象的で、それはまさに僕自身が会社経営に関して、三歩進んでは二歩下がるような試行錯誤を日々繰り返している状況に、何かヒントになるんじゃないか、そう直感できるものでした。

この後に続く青木さんと僕の対話は、青木さんの経営戦略について、その一片を切り取った、歴史小説とも感じられるような物語です。

それでは、はじまりはじまり。(小野)


 

(株)クラシコム代表取締役の青木耕平さん
 
小野 今日はよろしくおねがいします。
今日は「強いチームをつくるにはどうしたら?」というテーマで、
お話できればと思います。
 
青木さん こちらこそよろしくおねがいします。
そもそもですが、どうしてNPOを?
 
小野 もともと株式会社だったのですが、
東日本大震災を機にNPO法人化したんです。

大きな理由としては2つあって、
まずは「社会的な課題を解決する」という
僕たちのスタンスを明確にしたかったから。
もうひとつは非課税である寄付で支えていただく
ビジネスモデルに挑戦したかったからです。

もちろん企業とのtoBの取り組みも大事ですが、
クラシコムさんのように、
toCもメディアの本質だと思っていて。
 
青木さん なるほど。いまは何年目?
 
小野 創刊は2006年なので、来年で10年ですね。
 
青木さん あ、そうなんですね!
先輩じゃないですか(笑)
 
小野 いえいえ(笑)

NPOとしての事業の形が見えてきたのが、
ここ数年の話で、今のグリーンズらしい
組織のあり方はどんなものなのか、
日々、模索しているところなんです。
 
青木さん 今は何人で?
 
小野 答えるのが難しい質問なのですが(笑)
毎週の定例会議に参加するメンバーは10人弱、
というところですね。

長期的な方針を決めるコアメンバー合宿も、
今まで鈴木、兼松、小野の理事3人でやってきたのが、
greenz people担当の正太郎くんや
編集デスクのコウタくんにも
去年の秋から参加してもらうようになったり。

他にも、編集部にはライターさんが約80名、
営業部には成果報酬のプロマネが数名いて、
新しいプロデューサーの採用も
水面下で進めています。
 
青木さん 編集部と営業部という構造は、
確かにうちと似ていますね。

僕がクラシコムで意識していることは、
特殊部隊と正規軍の違いなんです。
グリーンズでいきなり軍隊の例えになって、
恐縮ですが(笑)
 
小野 大丈夫です(笑)
 
青木さん 自分で仕事をつくり出す人たちを特殊部隊、
ルーチンワークをこなす人たちを正規軍とすると、
そのふたつの違いって、要は動き方なんです。

大雑把にいうと、特殊部隊は走るけど、
正規軍は行進することが大事で、走らない。

むしろ正規軍を走らせたりして、
力を出し切らせようとすること自体、
間違っていることになる。
 
小野 確かに。
 
青木さん 稼働率100%ではなく、いかに60%でも
いい仕事を続けられる環境をつくるのか。
期待をかけすぎたり、
無理に生産性を高めすぎたりするのは、
お互い不幸せなんです。

チームにいつも40%に余裕があることで、
一時的なオーバーフローを防げるメリットも
ありますが、組織づくりにおいては、
「いちばん不得手な人に合わせること」が、
何よりも大事で。

そうすると仕組みそのものが
洗練されていくんですよね。

それこそが戦略というもので、
適切な戦略は、高度な戦術を不要にするんです。
 
小野 名言ですね。
 
青木さん もちろん、それぞれの個性はありながらも、
組織の中で仕事をする上では、
交換可能な方が望ましい。

というのも、特殊部隊ばかりだと
補充が難しくなるので、結局、
負け戦になってしまうんです。

今のグリーンズは菜央さんやYOSHさんみたいに、
特殊部隊ばかりいて、すごいようにみえるけど、
それなりにパワーも必要でしょ?
 
小野 そうですね(笑)
 
青木さん で、その状況を打開するために、
さらに有能な人材をヘッドハントしようとするのは、
実は将軍・小野としては、失敗なんだよ。

むしろやることないくらい軽々しくある方が
小野くんにとっての成功で。
だから、まずは正規軍を整えることが
今のグリーンズのフェーズなのかなって思う。
 
小野 まさに、という感じで悩ましいですね。
それなりに投資も必要になりますし。
 
青木さん 組織づくりに先行投資できない会社は、
発展もないんですよ。

トップの機能は生贄であることで、
「これが失敗したら、この人の人生が狂う」からこそ、
この人を支えるという、上下関係の正当性が
生まれてくるんです。

そうすると余計な説明がなくても、
「やってね」という指示だけですむので、
コミュニケーションコストが低くなる。

ドライに聞こえるかもしれないけれど、
スケールしたいのなら、
それが絶対に大事なんだよ。
 
小野 今まで、個人の意志を尊重する
カルチャーを大事にしてきたので、
やや違和感もあるんですよね。

例えば単純にライターさんの謝礼を上げたところで、
クオリティに必ずしもつながらなかったりする。
いかに書き手が、自分ごととして
思い入れを持てるかの方が。
そういう方が大事な場合もあって。
 
青木さん でも小野くんはスケールしたいと思っている。
その思いこそ、僕が共感するところで。

ただ、歴史上まだ存在していない新しい組織構造に
トライするのって難しいですよね。
面白そうだけど、「もったいないなあ」って
感じる組織の方が、圧倒的に多い。

もしうまくいっても、
世界でほんの一例しかないのなら、
確率論では0に近いってことだから。
 
小野 お話を伺っていると、編集部と営業部で、
文化が違ってもいいのかなとも思いました。
 
青木さん そうそう。場合によっては、
「株式会社グリーンズ」を立ち上げても
いいかもしれない。

それはきっと、ディズニーランドと
オリエンタルランドの関係に近いと思う。
 
小野 あ、わかりやすいですね。
 
青木さん キャストはフレンドリーでも、
隣のビルに居る社員は商社っぽくていい。

オリエンタルランドがあるから、
ディズニーランドができるし、その逆もしかりで、
二面性をうまくいかしていますよね。

ここで大事なのは、オリエンタルランドにとっては、
「キャストもゲストだ」ということです。
キャストはディズニーランドを
体現していないといけない。

ひとりひとり案内するたびに、
「はい、いくら」とか計算していたら、
イヤでしょ(笑)
 
小野 そうですね(笑)
 
青木さん うちでも「君はディズニーランドね。
君はオリエンタルランドね」って
伝えているんですが(笑)

オリエンタルランドな人は、
ぶっちゃけクラシコムっぽくなくていいんです。
達成したいことをシビアに追求できるひとが理想。
 
小野 はい。
 
青木さん ただ、そうなると課題もあって、
オリエンタルランドな人は、
自社サイトでの公募ではなかなか
集まらないんです。

もうね、日本仕事百貨で来た小野くんが
3人目の理事になっていること自体
「グリーンズの奇跡」なんですよ。
 
小野 おお(笑)
 
青木さん 成功する会社って必ず、
そういう奇跡のような話があるよね。
菜央さんやYOSHさんは持っている(笑)
 
小野 確かに、あの二人は持っていますね。
 
 

『北欧、暮らしの道具店』ウェブサイトより
 
青木さん でもね、ラッキーは再現できないので、
ときにはその経験も忘れる必要があるんです。

スケールするためには稼がないといけない。
で、稼ぐって、いかに同じような仕事を、
社員に延々とやり続けさせることができるか、
ということですよね。
 
小野 確かに。
 
青木さん クラシコムでも、基本はひたすら
商品ページをつくること、それだけなんです。
そのひとつでどう勝負するか。

この話をするとき、よく志村けんさんの
言葉を引用するんです。

お笑いのタカアンドトシから、
「『欧米か』に飽きてきた」と相談されたとき、
「おまえな、俺はどれだけ"変なおじさん"を
 やってきたと思ってるんだ」と。
 
小野 重い言葉ですね(笑)
 
青木さん やるほうは真っ先に飽きてしまうけど、
楽しみにしている人はたくさんいる。
そうやって全国に浸透して初めて
本物になるんだから、とにかくやり続けて、
マンネリを恐れるなと。
 
小野 はい。
 
青木さん つまりは、小さいことを
コツコツ続けることが何より大事で、
それをやりきった人だけが
一歩抜けていくんですよね。

だから、特殊部隊タイプの人にしてみたら、
「自分がいたくない会社」をつくることが大事。
そこで生かされる人もいますからね。
 
小野 タイプが違うということですね。
正規軍のような人を採用する場合、
どんな人がふさわしいと思いますか?
 
青木さん あるひとつの点で、
突出した才能を持っている人よりは、
経歴や能力も普通の人がいいですね。
ただキャラクターは大事なので、
そこは厳選すべきです。

例えば、理念に共感してくれることは基本だけど、
真面目で素直で、頭の柔らかい人。
どうしても日々変化は大きいので、
"そもそも論"に疑いを持ちそうな人は
避けた方がいいと思います。
 
小野 なるほど。
 
青木さん こういう創業間もない会社では、
条件面では、大企業より劣るかもしれません。
でも、それぞれの事情で、
「収入はこのあたりでも大丈夫」って
あると思うんです。

クラシコムでも2012年ころまでは、
お金よりもフィット感を大切にする人たちを
採用していましたね。大企業に務めたけれど、
3年経って辞めました、みたいな。
 
小野 メンバーが増えると、
どうしても、全体のクオリティに
ばらつきが出てくると思うのですが、
その辺りはどう思いますか?
 
青木さん それは仕方ないんです。
立ち上げメンバーと雇用される側で、
見ている景色は違ってくるので。

そのとき幹部にとって大切なのは、
クオリティの低下を許すこと。
でもその分、粒度を下げること。
 
小野 というと?
 
青木さん 考えなくてもこなせるように、
タスクを細かく落としこむんです。

そうやって少しずつ
組織が生まれ変わっていくには、
我慢する数年は必要ですね。

経験則ですが、その人が仕事に手応えを感じて、
それなりの居場所をつくるまで、
最低2年はかかります。

いまのクラシコムは、
「入って2年以下」というメンバーが8割。
もう、うまくいくはずがないですよね(笑)
 
小野 2年かあ。
 
青木さん どうしても時間はかかりますが、
2年くらい経つと回り始めていきますよ。

いずれにせよ、まずは立ち上げメンバーが
一度、山頂までの道を確保する。

でも、そこで無理に新しいことを始めるのではなく、
勇気を持って退却して、ベースキャンプを築く。
そこで力が溜まってきたら、再度アタックする。

山頂までのステップはわかっているから、
最初と二回目とは難易度が違うんですよね。
で、スーパーマンじゃなくても登れるように、
階段にしたり、エレベーターにしたり。
 
小野 クラシコムでは具体的にどんなことを?
 
青木さん 例えば、データを複雑に組み合わせなくても、
パッと見てPDCAを回せるように、
管理システムをわかりやすくしたりとかかな。
 
小野 なるほど。

ちなみに、正規軍だった人が
特殊部隊になるために、
何が必要だと思いますか?
 
青木さん 特にプロデューサー的な人材については、
「それができる人は最初っからそう」って
僕は思っているんです。

自分からなるものじゃなくて、
気づいたらなっているみたいな。
だから、正規軍を特殊部隊にしたいと、
そもそも思わないんです。

さらにいうと、「本当はしっかりと仕事を回して、
それぞれの仕事の特徴をつくっていくような
ディレクターになりたかったんだけど」…って
少しの負い目とか、その分のリスペクトを
備えている人の方がいいですよね。
 
小野 つまり、教育できるものではないと。
 
青木さん 教育機関じゃないからね。
成果を出すことが大事で、
それによって成長できたらいい。

ただクラシコムでは、ある意味、
正規軍が登頂するフェーズが終わったので、
このところは局面を打開するような、
特殊部隊がほしいなと思っています。

なので、小野くん、うちに来ませんか?(笑)
 
小野 あ(笑)
 
青木さん と、今日はいろんな話をしたけれど、
とにかく小野くんには、"つまんないこと"を
やってほしいな。

それを小野くんの高笑いテイストで
乗り切っていってほしい(笑)
 
小野 確かに、よく笑ってます(笑)
 
青木さん 結局、この世界は厳しいし、
不条理なことはいっぱいあります。
だから、あまりにいい奴には、
命を預けられないんですよね。

僕は小野くんが、いい奴だとは思わないけど(笑)
信頼できる奴だと本気で思う。
 
小野 嬉しいです(笑)
 
青木さん 理想を実現するには、どこかズルさというか、
リアリストであることが大事なんですよ。
もちろんズルい奴がズルいことしたらダメですが、
ズルい奴が理想的なことをしないとね。

年下で、そういうタイプっていなかったから
この出会いは嬉しかったな。
 
小野 ありがとうございます。
 
青木さん 僕も「コンセプトだけはよかった人」には
なりたくないと思っていて。
お互いしっかりとインパクトを
生み出していきたいですね。
 
小野 はい!
 
 


SCENES

鹿児島のうわさ、ハローライフ、gdTokyo、DIY姉妹...
近ごろのグリーンズの風景

selected by Nao, Yosh, Ono and Shotaro

 

2015年3月24日(火) 鹿児島にて
かごしまのうわさプロジェクトで、
「そろそろ引っ越そうと思ってるらしい」のうわさバッチGETしました!(YOSH)
 

2015年3月25日(水) 大阪にて
グリーンズで初めて企業の寄付のコーディネートをさせていただきました!
今日は、大阪ガスさんからスマスタさんへ、寄付の授与式。(おの)
 

2015年4月9日(木) 東京にて
今月の #gdTokyo も盛り上がっております!(しょうたろう)
 

2015年4月11日(土) いすみにて
#DIY姉妹 は最近火遊びブーム。無目的に火を燃やしたりお湯を沸かしたり。(菜央)
 

 


COMMUNITY

greenz シニアライター増村江利子さん、赤司研介さんに聞く、
移住してみてわかったこと

with Eriko Masumura & Kensuke Akashi / interview by Kota


いい記事を生み出すためには、ライターさん同士がつながる場が大切です。そこで毎月、ライターさんをゲストに迎えて、オンラインでミニトークを行う「モーニングハングアウト」を開催しています。第三回のゲストは増村江利子さん、赤司研介さんです。

greenz.jpが誇るシニアライターであり、記事を編集してくれるエディターとしても大活躍の増村さんと赤司さん。そんなおふたりに共通するキーワードが「移住」です。赤司さんは東日本大震災直後に奈良県へ、増村さんは昨年末に長野県に移住したばかり。

そこで今回は、移住がもたらした変化や影響についてお話を伺ってみました。(コウタ)


 

(左)増村江利子さん (右)赤司研介さん
 
コウタ おはようございます!
今日はよろしくおねがいします。

greenz.jpには、北は北海道、南は九州、さらに外国まで、
世界中にライターさんが散らばっていますが、
その中にはいろいろなきっかけで、
移住されるライターさんがいます。

日々みなさんから届く記事を読んでいると、
移住先での暮らしがいいインスピレーションに
なっている印象があり、ぜひお話を伺えたらと。

赤司さんは、greenz.jpに参加する前に、
もう移住されていたんですよね?
 
赤司さん はい。

もともと神奈川県の湘南エリアに住んでいたのですが、
東日本大震災が起きて、当時まだ幼かった子どもや
奥さんのことを考えると、奥さんの実家がある
奈良県に移住した方がいいのではないか
ということになりました。
 
コウタ 一方、増村さんは昨年末に
長野へ引っ越したばかりですが、
実はgreenz.jpでの取材がきっかけになったとか。
 
増村さん そうなんです。

グランドライン」と「富士見町テレワークタウン」の
取材をきっかけに長野県に魅せられてしまって、
子どもを連れて移住しました。

今は、新しく住む自宅のDIYに励む毎日です。
「グリーンズで人生が動いた!」と思っています。
 
コウタ そうおっしゃっていただけると嬉しいです。
グリーンズに参加したことで、
留学や移住を決めた方が増えてきていて、
嬉しくもあり、若干責任も感じています(笑)

今回は、そんなふたりにキーワードを
持ってきていただいたのですが、
まず赤司さんの「方(かた)が変わる」から。

これはどういうことですか?
 
赤司さん 生き方、働き方、つきあい方など
いろいろなことが変わっていくということです。

あたりまえのことなんですが、
例えば田舎で暮らしていると
「自分は自然の一部である」ことをすごく感じます。

町ではほとんど見かけない野良犬がいたり、
朝起きて庭に出たらイノシシの足跡があったり。
幼い子どもがいるので少し心配になったりもしますし、
「人間は一番なんかじゃないんだ」と思います。
 
コウタ ちなみに地域に入って行くときに、
不安はありましたか?
 
赤司さん あまりなかったですね。

今はおよそ30世帯ほどの集落で
暮らしているんですが、幸運にも、
移住者を受け入れる姿勢の人が多く、
自分も自治会や青年会にも加入したので、
割とすんなり溶けこむことができました。

ただ、村の人たちに比べると、
自分の生きる力の乏しさを
痛感することは多いですね。

草を刈った経験も、木を切った経験もない。
そうすると、「村のことをみんなでやろう」
というときに役に立てないんです。

ここに根を下ろしたんだから、
「ユンボも使えるようにならなきゃな」とか
本気で思っています(笑)
 
コウタ ショベルカーが動かせるライターさんは、
あまりいないかもしれませんね(笑)
 
赤司さん あとは、時間をかけることに
豊かさを感じるようになってきました。

村の行事に参加するのは
もちろん手間なんですけど、そのおかげで
子供や僕たち家族のことを知ってもらえたり、
歴史や神様のことを教えてもらったり、
温かい気持ちになることが多いです。

それから、炊飯器や電子レンジをやめたり、
本来必要ないものを手放す生活を
意識するようにもなってきました。

それはやっぱり、
緑の多い所で暮らすようになったこと、
必要以上の物に溢れていない環境に
身を置いたからだと思います。
 
増村さん 私も、あらゆることに
時間をかけるようになりましたね。

暖房だったら、都心で暮らしている時は
スイッチ一つでしたが、移住した先では
薪を用意して割り、くべて、火をつけて、
さらに部屋が温まるまで20〜30分かかるわけで。

ひとつひとつのことが、時間をかけることで、
よりリアルになっている感じがありますね。
なので、いままでサラッと書いていたことが、
どんどん自分の中で深まっています。
 
コウタ 時間をかける暮らしが
記事にもいい影響を与えてるんですね。

そして増村さんからのキーワードは
「マイプロ探求」でした。
 
増村さん 東京にいるときは、
いろいろなことに興味があって、
チャレンジしてきましたが、
移住してみて、「何を大切にしていくべきか?」
ということが、明確になったと感じています。
 
コウタ なるほど。

「グランドライン」の記事にも、
「自分に由来するものに囲まれて
 生活していく」という話がありましたね。
 
増村さん 住む場所を移動したことで、私自身の興味も移動して、
深めていくべきテーマが生まれていったと思うんです。

私の場合は、例えばものを買うのではなく
直したりつくったりすること。
その技術や生き方です。

その結果、いろいろなことを
中途半端にできなくなった気がします。
 
コウタ そのフォーカスの先に、
どんな記事が生まれていくのか、
とても楽しみですね。

ぜひいつか、みなさんのご自宅を訪ねて、
ライターさんの合宿などできるといいなと思っています。
今日はありがとうございました!
 
 



Q&A

プロデューサーの小野さんに質問です。
「ご縁を大切にするために実践していることは?」

with Ryosuke Takahashi


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくるフリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!

 

今回は、会員の高橋良介さんが質問します

Q. 繋がったご縁を大切にしたいのですが、実践していることはありますか?

1年がかりで、ひとつの大きなイベントを行いました。リーダーひとりでまとめるような進め方で、手探りながら大成功を収めたのですが、イベント後のメンバーのつながりが、徐々に希薄になっているように感じています。(高橋)

▼ ▼ ▼


プロデューサー小野が答えます

A. いまの自分の手には負えないご縁は手放すようにしています

仕事柄、多くの方にお会いする機会に恵まれているのは、本当にいつも、役得だなあと感謝の気持ちを持っています。ただ、残念ながら、もちろんすべてのご縁に向き合えるわけではありません。

さらに言えば、僕自身は、人間ひとりが向き合うことができるご縁の数はとても限られている、という前提を意識して臨むようにしています。つまり、ご縁を大切にするということは、同時に、いまの自分の手には負えないご縁を手放すことなのだという前提です。

いま、本当に大切にしなくてはいけない、あるいは大切にすることができるのは、誰との、どんな関係性ですか?

また、一般的に、強いリーダーシップは短期集中型に向いているのではないかと思います。(このページにある「スター型」や「ツリー型」がそれにあたると思います)

逆に、長期的な関係性のイメージとして当てはまるのは「メッシュ型」なのではないでしょうか。

チームの皆さんに、長期的な関係性を築いてほしいと思えば思うほど、自分(リーダー)を経由しないメンバー間のやりとり、助け合い、学び合いを、意識的に増やしていく必要があると思います。

結果として、「もう、自分の出る幕はないなあ」と感じたら、それは良い予兆です。(なので、現状も、リーダーを介さないコミュニケーションは、むしろ増えているのかもしれませんよ?)

そういったリーダーのあり方は、サーバント型のリーダーシップと呼ばれるものかもしれません。

グリーンズは来年で10周年ですが、ここ最近になって、数年ぶりに芽吹くご縁に驚く機会が少なからずあり、続けているといいことがあるもんだなあと日々感じています。

いたずらに急ぐ必要はありません。


 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回の発行日は<5月18日(月)>の予定です。

メールマガジン編集長:YOSH(グリーンズ編集長)
編集:スズキコウタ(グリーンズ編集部)
発行:NPO法人グリーンズ
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配信停止については people@greenz.jp まで