小野 |
今日はよろしくおねがいします。
今日は「強いチームをつくるにはどうしたら?」というテーマで、
お話できればと思います。
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青木さん |
こちらこそよろしくおねがいします。
そもそもですが、どうしてNPOを?
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小野 |
もともと株式会社だったのですが、
東日本大震災を機にNPO法人化したんです。
大きな理由としては2つあって、
まずは「社会的な課題を解決する」という
僕たちのスタンスを明確にしたかったから。
もうひとつは非課税である寄付で支えていただく
ビジネスモデルに挑戦したかったからです。
もちろん企業とのtoBの取り組みも大事ですが、
クラシコムさんのように、
toCもメディアの本質だと思っていて。
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青木さん |
なるほど。いまは何年目?
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小野 |
創刊は2006年なので、来年で10年ですね。
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青木さん |
あ、そうなんですね!
先輩じゃないですか(笑)
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小野 |
いえいえ(笑)
NPOとしての事業の形が見えてきたのが、
ここ数年の話で、今のグリーンズらしい
組織のあり方はどんなものなのか、
日々、模索しているところなんです。
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青木さん |
今は何人で?
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小野 |
答えるのが難しい質問なのですが(笑)
毎週の定例会議に参加するメンバーは10人弱、
というところですね。
長期的な方針を決めるコアメンバー合宿も、
今まで鈴木、兼松、小野の理事3人でやってきたのが、
greenz people担当の正太郎くんや
編集デスクのコウタくんにも
去年の秋から参加してもらうようになったり。
他にも、編集部にはライターさんが約80名、
営業部には成果報酬のプロマネが数名いて、
新しいプロデューサーの採用も
水面下で進めています。
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青木さん |
編集部と営業部という構造は、
確かにうちと似ていますね。
僕がクラシコムで意識していることは、
特殊部隊と正規軍の違いなんです。
グリーンズでいきなり軍隊の例えになって、
恐縮ですが(笑)
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小野 |
大丈夫です(笑)
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青木さん |
自分で仕事をつくり出す人たちを特殊部隊、
ルーチンワークをこなす人たちを正規軍とすると、
そのふたつの違いって、要は動き方なんです。
大雑把にいうと、特殊部隊は走るけど、
正規軍は行進することが大事で、走らない。
むしろ正規軍を走らせたりして、
力を出し切らせようとすること自体、
間違っていることになる。
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小野 |
確かに。
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青木さん |
稼働率100%ではなく、いかに60%でも
いい仕事を続けられる環境をつくるのか。
期待をかけすぎたり、
無理に生産性を高めすぎたりするのは、
お互い不幸せなんです。
チームにいつも40%に余裕があることで、
一時的なオーバーフローを防げるメリットも
ありますが、組織づくりにおいては、
「いちばん不得手な人に合わせること」が、
何よりも大事で。
そうすると仕組みそのものが
洗練されていくんですよね。
それこそが戦略というもので、
適切な戦略は、高度な戦術を不要にするんです。
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小野 |
名言ですね。
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青木さん |
もちろん、それぞれの個性はありながらも、
組織の中で仕事をする上では、
交換可能な方が望ましい。
というのも、特殊部隊ばかりだと
補充が難しくなるので、結局、
負け戦になってしまうんです。
今のグリーンズは菜央さんやYOSHさんみたいに、
特殊部隊ばかりいて、すごいようにみえるけど、
それなりにパワーも必要でしょ?
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小野 |
そうですね(笑)
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青木さん |
で、その状況を打開するために、
さらに有能な人材をヘッドハントしようとするのは、
実は将軍・小野としては、失敗なんだよ。
むしろやることないくらい軽々しくある方が
小野くんにとっての成功で。
だから、まずは正規軍を整えることが
今のグリーンズのフェーズなのかなって思う。
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小野 |
まさに、という感じで悩ましいですね。
それなりに投資も必要になりますし。
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青木さん |
組織づくりに先行投資できない会社は、
発展もないんですよ。
トップの機能は生贄であることで、
「これが失敗したら、この人の人生が狂う」からこそ、
この人を支えるという、上下関係の正当性が
生まれてくるんです。
そうすると余計な説明がなくても、
「やってね」という指示だけですむので、
コミュニケーションコストが低くなる。
ドライに聞こえるかもしれないけれど、
スケールしたいのなら、
それが絶対に大事なんだよ。
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小野 |
今まで、個人の意志を尊重する
カルチャーを大事にしてきたので、
やや違和感もあるんですよね。
例えば単純にライターさんの謝礼を上げたところで、
クオリティに必ずしもつながらなかったりする。
いかに書き手が、自分ごととして
思い入れを持てるかの方が。
そういう方が大事な場合もあって。
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青木さん |
でも小野くんはスケールしたいと思っている。
その思いこそ、僕が共感するところで。
ただ、歴史上まだ存在していない新しい組織構造に
トライするのって難しいですよね。
面白そうだけど、「もったいないなあ」って
感じる組織の方が、圧倒的に多い。
もしうまくいっても、
世界でほんの一例しかないのなら、
確率論では0に近いってことだから。
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小野 |
お話を伺っていると、編集部と営業部で、
文化が違ってもいいのかなとも思いました。
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青木さん |
そうそう。場合によっては、
「株式会社グリーンズ」を立ち上げても
いいかもしれない。
それはきっと、ディズニーランドと
オリエンタルランドの関係に近いと思う。
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小野 |
あ、わかりやすいですね。
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青木さん |
キャストはフレンドリーでも、
隣のビルに居る社員は商社っぽくていい。
オリエンタルランドがあるから、
ディズニーランドができるし、その逆もしかりで、
二面性をうまくいかしていますよね。
ここで大事なのは、オリエンタルランドにとっては、
「キャストもゲストだ」ということです。
キャストはディズニーランドを
体現していないといけない。
ひとりひとり案内するたびに、
「はい、いくら」とか計算していたら、
イヤでしょ(笑)
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小野 |
そうですね(笑)
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青木さん |
うちでも「君はディズニーランドね。
君はオリエンタルランドね」って
伝えているんですが(笑)
オリエンタルランドな人は、
ぶっちゃけクラシコムっぽくなくていいんです。
達成したいことをシビアに追求できるひとが理想。
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小野 |
はい。
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青木さん |
ただ、そうなると課題もあって、
オリエンタルランドな人は、
自社サイトでの公募ではなかなか
集まらないんです。
もうね、日本仕事百貨で来た小野くんが
3人目の理事になっていること自体
「グリーンズの奇跡」なんですよ。
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小野 |
おお(笑)
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青木さん |
成功する会社って必ず、
そういう奇跡のような話があるよね。
菜央さんやYOSHさんは持っている(笑)
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小野 |
確かに、あの二人は持っていますね。
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