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2015.09.15 Vol.34 New Moon / for 493 greenz people
9月末でリトルトーキョーともお別れし、10月からは新オフィスへお引越しです。
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。
 
<vol.34>の目次

FEATURE / 地域通貨「よろづ屋」高橋靖典さんインタビュー
SCENES / リトルトーキョーさようならパーティー...近ごろのグリーンズ
COMMUNITY / 「グリーンズの学校」高橋奈保子さんの「10周年に向けて」
Q&A / 編集長・菜央さんに質問「福祉的課題へのアクション」
 
 

FEATURE

藤野の地域通貨「よろづ屋」事務局・高橋靖典さんに聞く、
コミュニティの力を引きだす仕組み

with Yasunori Takahashi / interview by Shotaro


こんにちは、greenz people担当の植原正太郎です。

2013年2月からはじまったグリーンズの寄付会員制度「greenz people」ですが、おかげさまで会員数は500名間近と迫ってきました。日毎に読者のみなさんからの応援の力が大きくなっているのを感じています。本当にありがとうございます!

グリーンズのイベントに遊びに来てくださる会員の方も増え、実際にお話する機会をいただいていますが、面白い仕事や活動をされている方がとても多いことにも驚いています。子育て、教育、町おこし、農業、DIYなどさまざまなテーマに対して、独自の視点で取り組まれている方ばかりです。

greenz.jpの読者にはもともとそういう方が多いということもありますが、greenz peopleの500人の”濃度”はかなりのものがあると感じています。

一方で、現状のgreenz peopleでは会員の方の横のつながりをつくれていないことも事実です。同じテーマ、同じ地域で活動している会員同士が出会い、繋がるような仕組みがあることで、greenz peopleが社会に新しい価値を生み出していくひとつのコミュニティとして機能できるかもしれません。そんな可能性を感じつつも、一体どんな仕組みをつくればいいのか・・・。

そんな時に、出会ったのが藤野の「よろづ屋」という地域通貨の仕組み。地域で流通するお金によって生まれるものは、モノのやりとりだけではなく、住民同士の助け合いや思いやり。そして、地域で暮らすことを楽しくする具体的なプロジェクトの数々。どうやったら、そんなことが自然発生的に生まれてくるのか? 聞けば聞くほど、謎は深まるばかり。

そこで今回は、「よろづ屋」の運営方法、そして、引き出されるコミュニティの力について、事務局の高橋さんに詳しくお話を伺いました!(正太郎)


 

よろづ屋の高橋さん
 
正太郎 よろしくおねがいします。
 
高橋さん こちらこそ、よろしくおねがいします。
 
正太郎 よろづ屋の仕組みについては、
以前、記事でも紹介させていただいたので、
今日はよろづ屋をきっかけに生まれた活動や、
コミュニティ運営の方法などについて
お話を伺えたら。
 
高橋さん はい。よろづ屋はもともと
「トランジションタウン藤野」という
活動の分科会のひとつだったんです。

今は400人くらいにまで広がっていますが、
スタートした2009年のときは、
15人くらいの小さな活動でした。
 
正太郎 そうだったんですね。
 
高橋さん 面白いのは、よろづ屋が
地域の人をつなぐインフラであり
同時にコミュニティに
なっていることなんです。

やりたいことがある人が声を上げると、
自然と人が集まる状況になっている。
その結果、さまざまなプロジェクトが
派生的に生まれています。
 
正太郎 例えばどんなものが?
 
高橋さん この前は、「鶏を育てたいけれど、
ひとりで飼うのが大変」と言い出した人がいて。
「じゃあ、みんなで飼おう」と、
「地域チキン」というプロジェクトが
生まれました。

現在は5箇所で飼っていて、
各地区3〜10世帯でローテーションを組んだりして
世話の担当を決めているんですが、
「このエサをあげるようになったら
 卵をたくさん生むようになった」とか、
ノウハウが共有されていて、
面白いですよ(笑)
 
正太郎 地域チキン、いいですね(笑)
 
高橋さん 地域通貨の活動として、
何を目指しているかというと、
ひとつは人と人のつながりなんです。

結局、山と川と森みたいなものは、
田舎に行けばどこにでもあります。
もっと景色がいいところもいっぱいある。

そんな中で、ここ藤野に住んでいる人たちの
関係性が魅力的であることは、
とても大切だと思っていて。

思っていた以上に、よろづ屋が
藤野への定着感やふるさと感を、
つくってくれているなあと思います。
 
 

「よろづ屋」を使用している方の通帳(greenz.jpの記事より)
 
正太郎 うまく回らない地域通貨も多いと聞きますが、
よろづ屋は何が違うと思いますか?
 
高橋さん どうでしょう。
コミュニティの中にも温度差はあって、
すごく熱心にコミットできる人は
実際のところ1〜2割くらいですよね。

ただ、それ以外の人たちも、
興味ときっかけさえあれば
集まってくると思うんです。

よろづ屋の場合、
いろんな人を巻き込む仕組みを
意識しているからでしょうか。
 
正太郎 仕組みですか。
 
高橋さん 意外と存在感があるのが、
メーリングリストなんですね。

理念だけ強くても長続きしなくって、
それよりも毎日他の方の取引のメールが来て、
取引完了の感謝のメッセージが投稿されている。
そうすると、よろづ屋のことを
意識するのが習慣になって、
自分も何かあったら助けて貰おうとか
助けようとかいう気持ちが
醸成されている気がします。

また、よろづ屋の場合、
通帳がマイナスになると、
自分がこの地域と皆に何が貢献出来るだろうかという
思いが生まれてきます。

日常にあるメーリングリストが、
その表明の場にもなっている。
 
正太郎 なるほど。
通貨が日常的な存在だからこそ、
接点がたくさんあるんですね。

現状のgreenz peopleでは、
そこまではできていないなあ。
 
高橋さん greenz peopleに入っている人は、
熱量の高い人が多いはずですよね。
その思いを可視化するために、
グリーンズ通貨があっても、
とても面白いと思いますよ。

例えば、誰かの1時間を借りたら、
自分も1時間分の知恵や作業を渡す、
タイムダラー方式などは、
相性が良いかもしれません。
 
正太郎 それはちょっと実験してみたいですね!

ちなみに、コミュニティを運営する上で、
事務局としてどんな工夫をしていますか?
 
高橋さん 参加者にとって、どんな人がいるのか、
というのは大事な情報なので、
自己紹介を必ずメーリングリストで
してもらっています。

ただ、事務局に負担がかかりすぎて、
止まってしまうのはよくないので、
いかに手を抜くか、にこだわっています(笑)
 
正太郎 極論をいうと、事務局が仕事をしない、
ということが理想なんですね。
 
高橋さん はい。例えば、最初は
年会費をとっていたのだけど、
今は入会費だけで賄っています。

そうすることで、年会費の支払いの催促や、
毎月の領収書発行といった
事務手続きを減らせました。

他にも、できることリストなどを紙で、
年に一度、発行していましたが、
「自己紹介で言ってもらえばいいのでは?」
ということで、これも辞めようと。
 
正太郎 うーん。いかに少ない労力で、
自然と回るように工夫するか。
 
高橋さん それでも、
オンラインのやりとりだけではなく、
実際には会って、通帳方式で交換するので
相手の取引履歴が見ることができます。

そういうときに、
「あの人はこんなこともできるんだ」という
発見もあるんですね。
そうしてまた、新しい人とも知り合えていける。

ですから、事務局では把握できてない
取引も沢山あるのですが、
それもそれで良しということですよね。
 
 

地域通貨ワークショップの様子(greenz.jp記事より)
 
高橋さん そういえば、greenz peopleを立ち上げるとき、
β会員制度ってやってましたよね?
あれは、集まるきっかけになっていたし、
一緒に考えている実感もあって、
とてもいいなあと思っていました。
 
正太郎 一緒に考えていくって大事ですよね。

グリーンズもメディアとして成熟する中で、
前は気軽に会いに行けそうな存在だったのに、
少し距離を感じている読者の方も
いるのかなとは思うんです。

そうすると、参加者というより、
お客様のような関係になってしまう。
 
高橋さん 確かに、最近の記事を読んでいると、
ハードルが高いようにも見えますね。
声を上げられる人だけのものに
なってしまいがちというか。

でも、本当に重要なのは、
声なき声を持つ人というか、
少し興味ある位の人でも
参加しやすくすることだと思うんです。

何でもそうですが、
活動が先鋭的になりすぎると
参加する人が減っていく。
考え方をこねくり回し過ぎずに
シンプルに薄く広くやる方が、
長く面白く続くのではと思っています。
 
正太郎 今のお話は、まさに
グリーンズ10年目の課題ですね。
 
高橋さん 無理に全員を巻き込む必要は
ないと思いますが、
それぞれのニーズや関心に合わせて、
参加の機会があると良いですね。

よろづ屋の場合、暮らしに近いので、
困ったときに“駆け込み”しやすいんです。

greenz peopleでいうと、例えば
何かテーマを決めて呼びかけるときに
「江東区に住んでいる人」とか、
「20代で子どもがいる人」とか、
自分が呼ばれてると感じるように
ぎゅっと切り口を絞ってみるのも、
いいかもしれません。
 
正太郎 確かに、自分がその立場だったら、
参加してみたいと思いますね。
 
高橋さん どんなコミュニティにも共通してますが、
よくできたコミュニティほど、
排他的になると言われています。
外部には分かりずらい共通言語ができてくるし、
共有体験の積み重ねもあるから、
新しい人が入りにくい。

だからこそ、新しく入ってくれた人を
ウエルカムすることが何より大切で。
 
正太郎 ふむふむ。新しく入った方には、
優先的に何かを提供したり、
まだ入りたての方だけで
集まってみるのも面白そうですね。
 
高橋さん もちろん、既存の方にも気配りは必要なので、
更新しつづけることで、
何かよいことが起こるような仕掛けも、
必要でしょうね。

よろづ屋でいうと、通帳そのものに
愛着を感じている人もいるので、
グリーンズでも会員証のように、
帰属意識を持てるものをつくっても、
いいのではないでしょうか?
 
正太郎 それもいいですね!
5年間、greenz peopleを継続することで、
得られる特典などを考えてみても、
面白いのかもしれません。

いずれにせよ、β版のときのように、
この仕組みをどうやってオープンに開いていくのか、
greenz peopleのみなさんとも
一緒に考えて行けたらと思います。

今日はたくさんのヒントを、
ありがとうございました!
 
 


SCENES

リトルトーキョーさようならパーティーなどなど...
近ごろのグリーンズの風景

selected by Nao, Yosh, Ono and Shotaro

 

2015年8月21日(金) 東京にて
新企画「SOW!政治」がキックオフ。
ソーセージを食べながら、政治について気軽に話そうよ、というゆるい飲み会です。笑(しょうたろう)
 

2015年9月2日(水) 大阪にて
鈴木菜央史上最高に美しいgreen drinks会場かも。最高。(菜央)
 

2015年9月8日(火) 西粟倉にて
打ち合わせのつもりが、うっかり宴(小野)
 

2015年9月10日(木) 虎ノ門にて
リトルトーキョーさようならパーティー!
オープニングは日本仕事百貨のナカムラケンタさんと鈴木菜央編集長!
 

2015年9月12日(土) 京都にて
「グリーンズの学校」で身になりつつあること。
カリキュラムのデザインって奥が深い。もっと考えてみたい。(YOSH)
 

 


COMMUNITY

「グリーンズの学校」事務局・高橋奈保子さんに聞く、
グリーンズ10周年に向けて、取り組んでいること

with Naoko Takahashi / interview by Kota


2006年に創刊した「greenz.jp」にとって、2016年は10周年となります。いまはその節目に向けて、グリーンズのあり方を模索し、トライ&エラーを始めているところです。そこで、こちらのcommunityコーナーでは、NPO法人グリーンズの活動にさまざまな形で関わっているメンバーに、10周年に向けて取り組んでいることを伺っていきたいと思います。

第二回は、「グリーンズの学校」の事務局を務めている高橋奈保子さん。高橋さんがいま目指していることって? (コウタ)


 

グリーンズの学校」事務局・高橋奈保子さん
 
コウタ この夏から「グリーンズの学校」の
事務局スタッフとして関わってくれていますが、
もともと受講生だったんですよね?
 
高橋さん はい。3年くらい前ですね。
そのときは、もう一度関わることになるとは
思っていませんでした(笑)  
コウタ 実は以前から、学ぼうとする人たちを
応援する仕事をしていたそうですが。
 
高橋さん そうなんです。
大学に努めたり、地域のNPOでコーディネーターをしたり。

それで、今年に入って、
プロデューサーのおのっちから、
「学校をスケールアップさせていくために、
 事務局を探している」という話を聞いて。

今までの私のキャリアが役に立つ仕事かなと思い、
「やってみたい」と伝えたんです。
 
コウタ 学びの場づくりについて、
原体験などはあるんですか?
 
高橋さん 最初に興味を持ったのは大学生の頃で、
60代のおじいちゃん・おばあちゃんを対象にした
授業のコーディネーターを担当したんです。
そのときの参加者の熱量がすごくて、
私は圧倒されてしまって。

みんながやりたいことに熱中している。
その熱中していることは、
時にニッチなことでもありますが、
だからこそ情熱を燃やしていることに驚いたんですね。

そのとき「人間は意欲があれば誰でも勉強できる」
という気づきを得たんです。
それから「みんながやりたいことをできる環境づくり」を
大切にしていきたいと思うようになりました。
 
コウタ 確かに、今のグリーンズの学校と
つながっていますね。

そんな高橋さんが、
グリーンズ10周年に向けて、
現在、取り組んでいることについて教えてください。
 
高橋さん 私は、とにかく「グリーンズの学校」を
さらに広げていきたいと思っています。
東京以外の地域でも開催したいし、
開講するクラス内容もさらに広げていくことが目標です。
 
コウタ それはどうしてですか?
 
高橋さん greenz.jpのような
「ほしい未来をつくる」とか、
自分のやりたいことに勤しむ人々を
取り上げるメディアが、
読者を能動的にしていく仕組みとして、
グリーンズの学校は大きな役割を担っています。

なので、受講生が増えれば増えるほど、
自分の手で暮らしをつくる人が増え、
誰かに押し付けられたことではない、
自分が本当にやりたいことに
取り組む人々が増えると思うんです。

そして、学校という場があることは、
人と人が出会うことにつながり、
自分のやりたいことや、
自分自身の魅力に気付ける機会にもなります。
 
コウタ たしかに。
 
高橋さん グリーンズの学校の様子を覗くと、
受講生も講師も本当に輝いているんです。
グリーンズの学校は、座学のような
受け身の授業ではないので、
講師から教わるだけでなく、
受講生同士のコミュニケーションからも
学びが大きいんです。

さらに講師として参加してくれる人にも、
いろいろな気づきが生まれていて、
お互いに知っていることを伝え学び合う
関係が実現しています。
 
コウタ 新しい生態系が、生まれている感じですね。
そんな学校をスケールアップさせていくために、
何が必要だと思いますか?
 
高橋さん ひとつは、greenzライターの方々を、
もっと巻き込んでいくことですね。

今は、ファシリテーターをお願いしたり、
まだまだ実験をしている状況ですが、
今後はそのファシリテーターが
「こんなクラスを開講したい!」と
提案してくれるようになると、
さらに多様性が生まれていくと思っていて。
 
コウタ たしかに、greenzライターさんの
引き出しはすごいですものね。
 
高橋さん 今は、理事3人の趣味や嗜好が
強く反映されているクラスばかりですが、
それ以外の分野に広げたいんです。

だから、数多くいるライターから
誰を引き抜こうか、密かに作戦会議してます(笑)
 
コウタ 楽しそう(笑)
 
高橋さん そしてもう一つは、
各クラスに参加した受講生や講師を
コミュニティ化していくことです。

卒業した人数も増えてきていますが、
卒業したら、一人ぼっちということが
無いようにしたいなと。
 
コウタ 今年の4月には、卒業生が集まる
「感謝祭」もありましたね。
 
高橋さん そうやって、いろいろな分野に
興味のある受講生たちが
知り合う場をつくることで、
なにか面白いことが
起きるのではないかと思ってます。

たとえば、コーヒー起業家クラスの受講生と、
アーバンパーマカルチャークラスの受講生が
意気投合して、一つのビジネスが生まれたり。
 
コウタ 最高ですね!
最後にgreenz peopleのみなさんに
メッセージがあれば。
 
高橋さん greenz peopleのみなさんは、
これからの社会のあり方に
敏感な方が多いと思っています。
その実験ができる場として、
ぜひ「グリーンズの学校」に
参加してみてほしいですね。

実験が楽しいだけでなく、
近いビジョンを持った仲間もできる。
悪いことは、何もない!(笑)

そんな感じで、「グリーンズの学校」は、
オンライン中心になりがちな
グリーンズコミュニティを、
オフラインへ広げていく活動です。
ぜひ応援していただけるとうれしいです。
 
コウタ ありがとうございました!
 
 



Q&A

編集長の菜央さんに質問です。
「グリーンズが福祉的課題に取り組むとしたら?」

with Koichi Tomari


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくるフリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!

 

今回は、会員の渡真利紘一さんが質問します

Q. グリーンズだからこそできる、福祉的課題へのアクションとは?

自分は現在、地域における福祉の市民活動を、助成プログラムによりサポートさせていただく仕事に就いています。そしてつくづく、福祉課題の深刻さや解決の難しさを感じています。そうした中、前回のピープル限定メルマガ・育て上げネットの工藤さんとの対話を興味津々、一気に読ませていただきました。

福祉的な課題、なかでも若年無業や貧困・格差、人権問題などは、特に事態がデリケートである分、アプローチが難しいと思うのですが、いま出来る範囲の働きかけとして、今後ナオさんが取り組まれようとされているのはどんなことでしょうか。

来年10周年を迎えるグリーンズだからこそのアクションについて、思い切ってお尋ねしたいと思います。(渡真利さん)

▼ ▼ ▼


編集長の菜央が答えます

A. 「福祉」をクリエイティブに再配置する

とても良い質問、ありがとうございます。簡単には答えられないのですが、今考えていることを整理してみたいと思います。

たとえば若者の貧困・格差などは、その問題に取り組んでいるNPOや活動家、研究者はいますが、なかなか効果的な結果が出ていないのではないかと思います。そんな状況で私たちになにができるのか? ということを、考えるわけですが、僕なりに感じることはそのような状況に対し、今までにない創造的なアプローチが必要なのではないか? ということです。

これは完全なる仮説ですが、「生態学的な福祉」という概念というか、あり方が必要なのではないかと思うのです。

先日、神奈川県の旧藤野町地域で2日間、地域通貨の現場をフィールドワークしてきました。今回インタビューでもお届けした地域通貨「よろづ」では、400人のつながりの中で、さまざまな困り事、ニーズが解決されています。いろいろな小商いが試され、動いています。

よろづでつながった人たちのネットワークで、仕事や雇用もうまれています。また、10月に中華料理店をオープンする予定のよろづ参加者にも話を伺いましたが、各人の余っているリソース(そうじ、写真撮影、デザインetc)を提供することで徹底的に応援していました。これは、かならず成功すると感じました。これらの活動はgreenz.jpでその内記事になっていくと思いますが、広い意味で「福祉」だなぁ、と思いました。

このような、心と心のつながり、小商いや商売、地域のビジネスのつながりの中で、開かれた福祉施設があったり、地域のさまざまな領域(食堂や工房?)で、障がいがある人や生きづらい人などを包摂するような雇用をつくったりしていくような、そんなイメージです。

大きなシステムに依存して、個々人が分断されて、お金という評価軸ですべてを評価するような社会に私たちは生きています。そんな中で、福祉の問題に取り組んでいる多くの人は、深い無力感の中で葛藤しながら、活動していると思います。

「分断」こそに問題があるのだから、社会の中に、さまざまな「つながり」を作りなおすことが、とても重要です。その中に「福祉」と言われてきた分野を再配置することが、この問題を解決する方法なのではないかと感じています。

なので、greenz.jpでは、上記のような仮説に基づき、そのような事例をどんどん紹介すること、新しい福祉の可能性を考える対談やインタビューを掲載することをまずやっていきたいと思います。そしてその成果を、記事やワークショップ、書籍などで社会に広く共有していけると、とてもいいなと思っています。

みなさんと、一緒に新しい福祉を考えていきたいです。


 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回の発行日は<10月中旬>の予定です。

メールマガジン編集長:YOSH(グリーンズ編集長)
編集:スズキコウタ(グリーンズ編集部)
発行:NPO法人グリーンズ
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