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こんにちは。4月28日(火)です。
今週のメールマガジン
モノガタ レ クスプレス
をお届けしています。
#125
// 現実が小説を超えた春
本に手がつかなくなった最近
この数年、とある同人誌(季刊)でエッセイを書かせていただいています。そこでは毎年、芥川賞受賞作家を1年かけて追い続けてきました。
しかし、今回は本を読む気分になれませんでした。
代わりに以下のことを書かせていただきました。内容は本メールマガジンとつながる部分もあるかと思い、拙文ながらお届けさせていただきます。
現実が小説を超えた春
行き交う情報に疲れていた。
四月六日から十二日までの七日間は
本を読まない週とした。
八日目。小説を再び手にとった。
まったく頭に入らなかった。
現実が小説を超えたのだと悟った。
この二年強、未来を垣間見たく手にとっていたのは
サイエンス・フィクション小説。
今春。スリラー小説へと意趣を替えていた。
サイエンスではなく、
人間の不合理に焦点を当てたくなったのだ。
行き交う情報に疲れている。
情けに報いるのが情報と思っていた。
三・一一直後。
わたしたちは身近な人からの情報を求めた。
つながりを求めた。
インターネットが身近になった。
今回わたしたちが求めるものも、構造は同じだ。
が、見える景気が違う。
わたしたちは他人にメッセージを伝えているようで、自分へ言い聞かせているメッセージが多い。
私ひとりがつぶやくにしては、
インターネットは顔がなさすぎる知人だと識った。
いや。知人ではなく、鏡なのかもしれない。
情けに報いているだろうか。
人工知能に詳しい知人経営者は言った。
「
会議における場の雰囲気。人間は参加者の顔を見て、他の動きを見て、情報をつかむ。一方、人工知能に場にいる人間の表情をパッとつかませ、情報を処理させること。これは相当な離れ技なのだ
」。
ネット会議が流れ作業のように入ってくる。
その場は、わたしたちにとっては情報が少ない。
それまでどこで情けを感じ取っていたのか。
いま、立ちながらパソコンと向き合い、
この原稿を打っている。
足の疲れ、腰の疲れ、肘の疲れ、首の疲れが棲む。
ただ、視点は上がった。
座っていたときには気が付かなかったシグナルたち。
日常に戻り、同じ場所にいたとしても、
わたしたちの見える景色は違っているはずだ。
現実が小説を超えた。
情けのゆくえを感じる今。そう。有り難い。
(二〇二〇年四月二十五日)
::: 編集後記 :::
多田富雄『免疫の意味論』
という本を知りました。
これについて読書家
松岡正剛さんが記している
のが興味深かったので転機します。
「部分の病気と関係の病気」、「サイトカイン」。新しい情報を頭にいれるのが厳しい状況ですが、次に備えて入れておく情報にも感じています。
松岡正剛さんによる2004年06月04日の記事
https://1000ya.isis.ne.jp/0986.html
そして、今朝、たまたま「サイトカイン」と別口で出会いました。セレンディピティはやはりあります。
+ 物語のチカラ を信じて
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