Copy
モノガタ x L'Express
ブラウザで読む
こんにちは。6月16日(火)です。
今週のメールマガジン モノガタ レ クスプレス をお届けしています。
 
#132 <長期的な目線> 目の前の人との対話や文脈を重視
// グレイトフル・デッドが育んだインターネット的な在り方

米国1960年代の文化面

特に意識をしているわけでもないのですが、本メールマガジンでは米国1960年代の文化面を取り上げることが多いかもしれません。約50年強が過ぎ、ひとつの時代として客観視できるようになっているからでしょうか。

この年代で取り上げてきたのは詩人アレン・ギンズバーグ。そして、学生としてこの時代を生きたスティーブ・ジョブズ(故人/アップル社創設者)のことでした。

そして今回は、同じ時代に音楽界で活躍をした「 The Grateful Dead (グレイトフル・デッド)」が生んだ文脈についてお届けします。
 


時代を先取りし、2010年代に再評価

実はこのグレイトフル・デッドというバンド。2010年代初頭にビジネス界で再評価がなされています。

2010年代初頭は、いよいよインターネットそのものをビジネスの道具として活用すること。この道筋ができつつある入り口だったように思います。

そのインターネット的な在り方を1960年代から体現しつづけていたのがグレイトフル・デッドだったのです。

たとえば、

・彼らのライブにおいてはレコード通りの演奏ではなく、観客と音を作り上げることに集中していた(収録通りの演奏にならず、1曲当たり演奏時間が10分や15分と延びることも)

→ アーティストからファンへの一方的な情報伝達ではなく、双方のコミュニケーションがライブで実現されていた。インターネットの双方向のやり取り、ソーシャルネットワークに近い

・上記ゆえ同じ曲でありながら、毎回異なる演奏になるのが評判になった。そしてライブをテープ収録するファンが増えてきた。驚くべきことにバンドはテープ収録されること、そしてテープがファン同士で交換されることを許した。レコードの売上は気にせず、ファンが増えることを願った。

→ インターネットで言う「フリーミアム」の考え。無料で情報を届け、気に入ってくれた人たちから見返りをいただく仕組み。長期的な目線

以上の2点はとりわけ、2010年代は新しいインターネットの使い方として注目されていました。

日本で言えば2011.3.11以降、SNS(ソーシャルネットワーク)が普及したことからもそれがうかがえます。

 

死ではなく、生。悪でなく、善

バンド名 ”グレイトフル・デッド” から文字通りに奏でる音をイメージすると...どうでしょう。かなりうるさそうな感じがするのではと思います。

しかし、彼らが創り出す音はむしろクリーン(シンプルで美しい)。
「ザ・音楽」という感じがするのです。

世間は流行りのアップダウンやその巻き戻しがあるけれど、その中で自分たちは正中線のように真ん中を走っていくんだ

とバンドのベーシストは語っていて、まさにそのとおりな音づくり。

そのシンプルさと美しさは、アルバムのジャケット(表紙)にも出ています。

彼らはそれをガイコツで表現をしました。

※スカル&ローズと言われ、ファンから愛されました
アーティストは、Stanley Mouse と Alton Kelley

参考までイメージのリンク
http://www.mousestudios.com/art/skeleton-and-roses
https://amzn.to/3hAtG3Y
https://amzn.to/2YBaoTj

普通はガイコツと音楽というと、いわゆる少し悪っぽさをまっさきに感じてしまいます。それに対して、グレイトフル・デッドのガイコツからは飾りっ気のない美しさを感じてしまうほど。

彼ら(バンド)が大切にしたのは誠実さや約束。死ではなく、生あるものの声明。悪でなく、善なるものの約束だった

とは彼らを評した新聞記者(音楽評論担当)の言葉。また、そのような価値観を共有していた時代であったそうです。

目の前の人と真摯に向き合う姿勢、そしてそこから立ち生まれていくる価値観が尊ばれていたのかもしれません。

(インターネットに限らず)物語りづくりというのは、人間ひとりだけでは成し得ないもの。時代背景、そこから生まれる人間同士の文脈。世界的に複雑な状況だからこそ、長期的な目線で取り組み、歩んでいきたいものですね。

 

コーヒーブレイク

ライブの音源をファンがテープに残すことを認めていたグレイトフル・デッド。"grateful dead" + "radio" などで検索をいただくと当時の音源を楽しむことができると思います。

下記のサイトは、比較的オフィシャルに近いかたちで運営されているライブ音源公開ホームページ。各音源(音の波)のアイコンをクリックするとそれぞれのライブを楽しむことができます。

https://archive.org/details/GratefulDead

そして、なんと。オフィシャルサイトでも音源を楽しむことができます。

https://www.dead.net/features/tapers-section

こちらは文字のリンク先を追ってクリックいただくと、音楽再生ボタンがでてきます。

アドレスに有る「taper」というのが、テープで音楽を取るファン= tape(テープ) + er(ひと)の意味です。

自分たちの音源をオープンにしてしまうグレイトフル・デッドの在り方。すごいですね(そこに至った発想のプロセス、想像だにできません)。


:::編集後記:::
彼らの中で、好きな曲はいくつかあるのですが、この曲がいちばん好きかもしれません。肩肘張っていない感じが特に。

China Cat Sunflower
https://www.youtube.com/watch?v=xIIx4lFh5PM

 
+ 物語のチカラ を信じて
Story innovation - ストーリー・イノベーション - は
「物語」を用い、貴社(および社内)とお客さまとの関係を維持する仕組み作りをサポート。
本サイトは、コミュニケーション・デザインを企画する
MARC LOGUE(マーク・ローグ)が運営をしています。

MARC LOGUE 代表  原田 健也
メールマガジンバックナンバーはこちら

Copyright © 2020 Story Innovation, All rights reserved.