これまで定性調査には何度も参加させていただいていましたが、つい先日初めて私がリードする形で街頭インタビューに行ってきましたので、今回のメルマガでは実際に定性調査を行ってみて実感した難しさや気をつけるべきポイントについて書きたいと思います。
まず街頭インタビューなど、調査対象者を事前に選べない場合は、早い段階で調査の条件に合致するターゲットなのかどうかを判断するための質問をしておく必要があります。
インタビューにご協力いただいた方はターゲットではなくても気持ちよく帰っていただきたいと思っているので、私は アイスブレイクの後にターゲット判別の質問を入れておくことが多いです。ターゲットだと分かった時点で、全体の所要時間をお伝えしインタビューを受けていただけるかを確認します。ちなみに、インタビューでは気兼ねなく自由に話してもらうことがとても重要なので、この時点で時間を短くお伝えすることにメリットは1つもありません。もし30分かかってしまうインタビューならしっかりと事実をお伝えし協力を仰ぐことをお勧めします。
今回はもちろんインタビューが1つ終わるごとに毎回デブリーフィングを行いましたが、インタビューの流れで、ターゲットの発言からフローにはない( こちら側の仮説にはない)話題が広がったことがありました。この新しい話題についてデブリーフィングで話し合い、 新しい仮説として次のインタビューに組み込むことができました。
街頭インタビューのように、机や椅子が近くにない環境でインタビューをする際は、つい最後にまとめてデブリーフィングをしよう!と思ってしまうかも知れませんが、やはりデブリーフィングは外であろうと、雨が降ってようと雪が降ってようとその場ですぐ行うべきだと実感しました。
またフローにはない話題について議論することは、目的から遠のくようにも感じるのですが、 ターゲットの言動を深く理解することが定性調査の分析にはとても重要なので、実際には目的とずれていると感じても、重要だと誰かが感じたのであれば深掘りをし、 次のターゲットにも聞いてみるべきです。
今回実感したデブリーフィングの効果としてもう1つ、 チーム内で必要な情報が常にアップデートされ共有されるということがありました。新たな仮説を共有していた=チーム内で欲しいと思っているデータが同じなので、「何でこの質問したんだろう?」と意図を考えることがなく、次のデブリーフィングでも仮説の検証について必要なデータの有無から検討することができたので非常にスムーズでした。
また、インタビューは2人目3人目と聞いているうちに、 ターゲットがみな同じようなことを言っていることにも気付きました。定性調査においてこうしたことはよく言われていて、実際は1つの仮説に対して5人程度に聞けば判断できるようです。
ただ今回、ターゲットの発言が似通っていることに対して聞き手がターゲットの発言にバイアスをかけてしまっている可能性もあるのではないかと感じたため、次のインタビューからは聞き方を変えるなどの対策をしつつ、新たな仮説の検証も行っていきました。
今回は、誰かの後ろで話を聞くのではなく、自分がリードしてインタビューやデブリーフィングを進めなければいけなかったのでプレッシャーもありましたが、これまで苦しんだ抽象化・構造化をしながらインタビューを進めたり、実際にやってみるとここは重要だから今後も注意しようと思う点が見つかったりと学びの多いものになりました。もちろんインタビューは全体のプロジェクトの中の1つのパートに過ぎませんが、 仮説の構築を行うのにもっとも重要なものでもあります。これからも1つ1つの調査を大事にしながら、プロジェクト全体に関わっていけるようにしたいと思います。
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