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今回のご相談では、既存のブランドについてターゲットの切り直しを行う際の留意点を知りたいとのことですが、まずは以下の5つにポイントについて確認しましょう。
①意味を持って分けているか
②分けたセグメントの違いは明確か
③目標とするシェア・売上に対して適切なサイズか
④(特にデジタルメディアを中心とした施策を予定している場合)到達可能性はあるか
⑤既存ブランドからの離脱はどれくらいか
1.意味を持って分ける
セグメントを分ける基準はいくらでもあります。例えば名前の50音。しかし、高橋さんとか田中さんとか立花さんとか、名前が「た」ではじまるからといってその人たちが皆ご相談者様の商品を買ってくれるでしょうか?そんなわけないですよね。
今のは極端ですが、名前の50音と同様に、例えば年齢や性別といった商品の選択に影響を与えない軸でセグメントしている事例はよく見かけます。あなたのまわりにいる20代の女性はみな同じ価値観のもと行動しているでしょうか。今一度よく考えてみてくださいね。
2.分けたセグメントの違いが明確か
セグメントが分ける際は、分けたセグメントの違いが明確である必要があります。なぜなら、セグメントの違いが曖昧だと狙ったセグメントに対する施策を効果的に行えないからです。
3.目標とするシェア・売上に対して適切なサイズか
どれくらいのシェアを必要としているのかで、どのような基準でセグメントすべきなのか、またいくつのセグメントに分けるべきなのかが違ってきます。例えば、ご相談いただいているコスメ業界だとどうでしょう。10%のシェアをとるのがほぼ不可能とされているこの業界で、シェア20%を狙ったセグメントを行うのは的外れですよね。
また、少し現実的な話をすると、1%のシェアを狙って、5%のサイズ感のセグメントを行うとなると、市場をなんらかの基準で20個に分けなくてはなりません。これってとても大変ですよね。もしかすると、セグメントで分けるよりも、ターゲットを宣言してターゲットとそれ以外に分けてしまった方がずっと楽かもしれませんので、この辺はよく検討してみてください。
4.(特にデジタルメディアを中心とした施策を予定している場合)到達可能性はあるか
また、 シェアについて考える際に確認しておきたいこととして、ご相談者様がどのメディアを使って商品をPRしようとしているのかという点が挙げられます。特に、デジタルでのPRを検討している場合は、 ご相談者様で打ち出したターゲットやセグメントがちゃんとデジタルにフィットしているかといというのは抑えておきたいポイントです。
デジタル広告の特徴として、そこそこ細かい属性を設定できるという点は挙げられますが、その一方で、採用するDSPのサービスにより項目や精度が様々で、それゆえ、セグメントがそれられにフィットしない切り口になっていたり、ターゲットに沿って項目が設定されていないと、もったいない結果になりかねません。
例えば、ユーザーの属性として興味関心の条件で広告を打てるとして、価値観によるセグメントで大丈夫なのか、それとも、どんな行動をとっているのかで切り分けた方が良いのかなど、セグメントの基準がそこに当てはまるような切り口になっているのかしっかり判断したいところです。もちろん、セグメントに分けた後で、それに合うDSPサービスを選択しても良いのですが、 そのメディアでのPRにより最初に設定したシェアの到達目標が達成できるのかというところは、予め確認しておくようにしましょう。
5.既存ブランドからの離脱はどれくらいか
ターゲットの切り離しを行う以上、既存の顧客が離脱してしまうことを避けて通ることはできませんが、どれだけ離脱させるかは、セグメントの仕方によりある程度コントロール出来ます。
元々、既存のブランドにほとんど顧客がいないのであれば、心機一転、全く違うコンセプト・違うターゲットを打ち出して勝負に出るというのもアリかもしれませんが、既存ブランドにある程度顧客がついているいうことであれば、これまでのファンを手放してでも、あえてこれまでと全く違ったセグメントを狙うというのは、あまり賢明ではないかもしれません。
さて、本日はターゲットの切り直しについてお話させていただきました。最初にお話したように、市場を仕切るための基準はいくらでもありますが、それを正しく行うのは、意外に難しい作業になるかもしれません。
株式会社ホジョセンの、 Segment Compassでは消費者の価値観や嗜好を軸に細分する消費者セグメンテーションを行い、「誰に」「何を」提供するブランドなのか明確にし、ポジショニングにつなげるお手伝いをいたします。ご興味のある方はぜひお気軽にお声がけください。
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