先日参加したセミナーで、サービスを扱うBtoC企業のブランディングのお話を聞く機会がありました。その企業は大きな規模のブランドが有利なマーケットにおいて、自分達がどうあるべきかを模索し続け、軌道修正を繰り返しながら約20年かけていまのブランドにたどり着いたそうです。今回のメルマガでは、このブランディングについてお話したいと思います。
その企業はマーケットの中で見ると小規模のブランドを運営しており、既存の大規模なマーケット内では、消費者が求めているサービスの基準を満たしていなかったため、スタッフも自ブランドの方向性に迷い、サービスの価格を下げたりブランドに合わない広告宣伝をしていた時期もありました。しかしその頃から社内でブランドの方向性やスタッフの価値観などを共有し、少しずつ共感を重ねたことで、自ブランドをマーケットの基準に当てはめて真似をするのではなく、自ブランドが持っているサービスのクオリティを上げることにこだわることができるようになりました。そのようにして自分たちが本来提供したかったサービスに立ち返っていったところ、自分たちの提供するサービスにフィットする消費者から見つけてもらい、さらに消費者のニーズと自ブランドのサービスとの間に齟齬がなくなっていったのです。
この企業はさらに、こうしたブランディングの過程で自分たちのブランドがどうあるべきかと考え続けることが全スタッフの日々の業務の中に落とし込まれていたため、具体的なインナーブランディングのステップを必要とせずブランドを元にビジネスを展開することが出来ています。
この企業は、ブランディングの定石を意識していたわけではないのですが、自分たちのこだわりや伝えたいことを少しずつ固めて社内で共有し形にして消費者に伝えていくという過程を20年もの年月をかけて行ってきました。ブランドが確立されてきたころにお客さんが『会えた!』という感覚で来てくれるようになったそうで、それがとても印象的でした。消費者のことを考えながら立ち上げたブランドが、しっかりと消費者に伝わり喜ばれて売上も上がるなんて、理想的ですよね。こうしたブランドを育てながら働くのは楽しいだろうな、私もそんな仕事がしたいと強く思いました。
私たちが普段ご相談いただている業界とは全く異なる分野の企業でしたが、私たちの業務や考え方に非常に通ずるものが多く大変熱量のあるお話でした。私も今後ブランディングのお手伝いをさせていただけることがあれば、この熱意を忘れずに取り組もうと思っています。
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