概要
日本経済団体連合会(経団連)が2019年4月16日に公表したレポート「日本を支える電力システムを再構築する ― Society 5.0実現に向けた電力政策 ―」は、日本政府の「恥ずかしすぎるエネルギー基本計画」と同じ過ちを犯している。大半の国民が原発廃止を望み、実際に高コストで十分な安全性も担保されていない原発に関して、再稼働どころかリプレース・新増設の必要性さえ主張しており、「恥ずかしすぎる基本計画」以上の矛盾や間違いを含む提言となっている。
2018年7月に国が閣議決定した第5次エネルギー基本計画は、「再生可能エネルギー主力電源化」「原発依存低減」という目的が掲げられているものの、実質的には「石炭火力・原発に依存し、再エネを抑制」する矛盾した内容となっている。この経団連の提言は、およそ日本の産業競争力の強化や雇用拡大には繋がらない。
しかも、日本政府が未来投資戦略(2018年6月閣議決定)の一環として提唱しているSociety 5.0(超スマート社会)の主眼であるAI・IoTなどのデジタル技術の活用に真っ向から逆行している。
パリ協定では、2050年以降を見据えて温室効果ガス排出ゼロの長期戦略を先進各国は提出することになっており、国も「パリ協定長期成長戦略案」を4月23日を公表した。この長期戦略案も「恥ずかしすぎるエネルギー基本計画」の矛盾した内容がそのまま反映されている。
本来、エネルギー基本計画やパリ協定長期成長戦略案など現行の日本のエネルギー・温暖化対策の抜本的見直しが必要であり、当研究所では、この経団連レポートにおける矛盾と間違いを以下のとおり指摘する。各項目の詳細は別添を参照。
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