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Magnet Newsletter by Ximera, Inc. No.009

キメラのサブスク相談室 #03 / Text: Akiko Nakayama

サブスクの商品設計、何からはじめたらいい?

この「キメラのサブスク相談室」では、よくお聞きするサブスクリプション事業の課題に一問一答形式でお答えします。みなさんのお悩み解消の入り口として役立てていただければ幸いです。

さて、今回のご相談は?

Q. 売れるサブスクリプション商品や購読プランをつくるために、何をしたらいいでしょうか

新たにサブスクリプション事業の立ち上げを検討しています。手始めに他社の事例を収集しているのですが、提供する商品の内容や購読プランがいろいろあって悩んでしまいます。どうやって商品設計をすればいいのでしょうか? また、売れる商品や購読プランをつくるためのコツはあるのでしょうか?

ひとくちにサブスクリプションの商品設計といっても、実際に読者がプランを購読できる状態になるまでにはいくつかのステップがあります。

A. 商品の内容や購読プランの前に考えるべきことがある

サブスクリプションの商品設計をおこなうステップ

サブスクリプションの商品設計をおこなうステップ

上図のように、そのステップは大きく、戦略と戦術に分けることができます。特に重要なのは、戦略づくりを入念に行うことです。御社にどんな強みがあるのか、サブスクリプションサービスを通じてどんなユーザーに価値を届けたいのか、徹底的に議論することからはじめましょう。

商品の提供内容や価格設定などの戦術づくりからはじめたくなるものですが、そこには落とし穴があります。戦略がないままでは「商品の内容には◯◯と✗✗を含めたい」「こんなプランなら売れるはずだ」などと視野の狭い議論に陥りやすく、サブスクリプションサービスそのものの方向性や、ユーザーが何を求めているのかが置き去りになりがちです。

結果として「手が込んでいるけれど魅力を感じない」「すごそうだけれど誰も求めていない」残念なサービスが生まれるリスクが高まってしまうのです。事業の方向性を見失ったサービスがユーザーに支持されることはありません。戦略づくりの段階ではプロジェクトが前進している実感を得づらいかもしれませんが、「急がば回れ」で足固めを入念に行いましょう。

「必ず売れる商品」は存在しない。小さく生んで大きく育てることが大切

戦術の最終ステップにあたる「④商品/購読プラン/販路」については、サービスを開始した後にも軌道修正を加えやすい要素です。提供価値を明確にしたうえで小規模にサービスを開始し、売れ行きやユーザーの声を参考にしながら改善を重ねる「小さく生んで、大きく育てる」手法も検討しましょう。

以下に示すように、国内で近年スタートしたサブスクリプションサービスは積極的な改善を続けています。

事例:週刊文春 電子版
2021年3月のサービス開始当初は月額プランのみを提供。2021年6月には「年間プラン」、「電子版+雑誌プラン」「法人プラン」を相次いでスタートしました。購読者のニーズをふまえたうえで、柔軟なプラン提供に踏み切っている。

事例:WIRED [日本版]
2019年10月の
サービス開始当初は有料版のすべての記事にペイウォール(有料課金を促すコンテンツウォール)を導入していたが、2022年4月からは一定本数の記事を閲覧するとペイウォールが出現する方式に変更。多くの読者に有料記事を届けることでユーザーの裾野を広げようとしている。

どんなに入念な下調べや仮説立案をしたとしても、初めから売れる保証のある商品をつくることは不可能です。ユーザーのニーズや事業環境が目まぐるしく変化する今の時代は、戦略をしっかりと持ったうえで、戦術を柔軟に変化させていくことが望ましいでしょう。

小さく生んで大きく育てるサブスクリプションを実現できる「AE」

当社が提供するサブスクリプション基盤「AE(エーイー)」は初期費用無料、記事1本単位から手軽に有料課金を実装できます。かんたんに操作できる管理画面で、プランの価格設定や訴求内容の作成・編集も思いのまま。今回ご紹介した「小さく生んで大きく育てる」事業づくりを応援します。サブスクリプション導入検討のご相談も承っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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サブスクリプション事業の課題に一問一答形式でお答えします。みなさんのお悩み解消の入り口として役立てていただければ幸いです。

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Ximera Media Next Trends #32 / Text: Ikuo Morisugi

体験型コマースで購入前後のギャップを埋める

これまで得られなかった体験をどう実現していくか

メディアのトレンドとそれを巻き起こすスタートアップを追いかける連載シリーズXimera Media Next Trendsの第32回となる今回は「体験型コマース」について、取り上げます。

コロナ禍を経て現代では物販に関してECを使う割合が増えましたが、ECで購入前に期待したことと実際に手に届いた製品のギャップを感じることがあります。大きさ、形、重さ、色、匂い、効用、使い心地などさまざまな点で、実際に使ってみないといけないとわからないことがあります。

多くの場合、製品詳細をよく読み、ユーザのレビューを確認することで、購入前にギャップの解消を図ろうとしますが、ときには読みが外れてしまうこともあります。とくにシャンプー、化粧品、インテリアなどの製品は、試してみないとよくわからない上、一度買って使ってしまったら返品も容易ではなく、満足いかないまま処分するか使いつづけることを強いられます。

これまでは、ショールーム化された店舗を訪れ実物を確認する、AR機能を使ってスマートフォンで3Dの製品イメージを確認する、などで期待ギャップを埋めようとするソリューションが提供されてきました。一方で既存のソリューションは依然として形や色味を確認できる程度で、実際利用したときに得られる効能や製品同士を組み合わせたときの状況をリアルに想起することができません。

こうしたギャップ解消が十分できていない問題に対し、購入前に「体験」の一部を提供することでうまく解消しようとするサービスにシリコンバレーをはじめスタートアップ界隈で投資が集まっています。今回はそれを「体験型コマース」と呼び、事例を見ていきたいと思います。

実利用をきっかけとしたコマース体験: Minoan

Airbnbで宿泊すると、ホテル顔負けの整備された宿泊施設で、今まで使ってみたことがなかった良い家具や調理器具、家電に触れる機会がしばしばあります。実際に使ってみるととても良い印象で、自分でも欲しいと思うことがありますが、どこのブランドのものかわからないことも多いですし、わざわざオーナーに聞くのも面倒です。そういった製品は気にはなるものの、結局探すことを諦めてしまいます。こうした問題をうまい方法で解決しソリューション提供しているのが、スタートアップのMinoanです。

MinoanはAirbnbのオーナーやホテルチェーンに対して通常価格よりもディスカウントされたパートナーブランドの製品を提供します。宿泊するゲストがその製品を実際に利用して気に入った場合、製品に付属するQRコードを読み取り購入することができます。ゲストが購入すると売上の数%がAirbnbオーナーやホテルにマージンとして渡されます。

(1) ゲストは新たなお気に入り商品を見つける機会を得られ、(2) Airbnb/ホテルオーナーは元々コストセンターである宿泊設備を従来よりも低コストで整えられる上に新たな収入源にでき、(3) Minoanは集客が不要でECで売上を立てられるため、ゲスト、Airbnbオーナー/ホテル、Minoanの三方良しの形を実現できています。

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