厚切りジェイソンのツイッター全削除の件
お笑い芸人の厚切りジェイソンはそのマルチな才能で会社経営や資産運用指南をしている。彼の運用スタイルは米国株を分散投資の対象とし、毎月余裕資金で運用していくという大変にシンプルなもの。経済評論家の山崎元もその著書で分散先以外は同様のことを言っており(彼は株、債券に分散でリバランス)、資産運用は結局こういうシンプルだが強力なやり方が一番よいのだと、100%同意する。
しかし厚切りジェイソンが米国株投資を勧めた直後に株価の下落が起こったこともあり厚切りジェイソンに対する恨み節というか八つ当たりのようなリプが大量に来たことから厚切りジェイソンは資産運用にまつわるツイートを全削除してしまったらしい。
実にもったいない。彼のようなアドバイスは値千金であるものの、シンプルすぎてすぐにはその真髄をつかめないこともあるのだな、と気の毒に思った。気の毒に思ったのは厚切りジェイソンのほうに、ではなくて彼のアドバイスを聞いて資産運用を始めたほうに、である。
一時的なダウンはあるにしろ、長期で積立をするのは「誰にでも勝てるゲーム」であることは統計が証明している。書籍を読み、ネットで裏付けを取りながら自分でもデータを引っ張ってきてあれやこれややってみればその正しさは分かるはずなのに、厚切りジェイソンを批判した人はそういった面倒くさいことをすっ飛ばして「有名人が言ってたから」という理由で運用に飛びつき、「言ってたことと違ったから」という理由で運用から離れていくのだろう。
米・証券大手のチャールズ・シュワブが面白いレポートを出している。簡単にいうと
1. 毎年、最高のタイミング(その年の最安値)でUSD2,000の積立投資できたAさん
2. 毎年、株価の高低に関わらず年初にUSD2,000を積立投資できたBさん
3. 1年を12回に分け、それぞれUSD166ドル(合計USD2,000)を積立投資できたCさん
4. 毎年、最悪のタイミング(その年の最高値)でUSD2,000を積立投資できたDさん
5. 投資をせず、現金を眠らせ続けたEさん
この5人の中でEだけダントツに低いということを示したグラフがこちら。
厚切りジェイソンはツイッターで若い方に向けてABCDのどれかに収まるチャンスを与えたのにも関わらず、結局タダで情報を手に入れて、考えを深めなかった経験のない投資家はEのままで居続けるだろう。
では厚切りジェイソン、山崎元のこのシンプルな法則にしたがってさえいれば資産運用はうまくいくのであれば、アドバイザーは何のために存在するのか。経済談義ができるかどうかは運用に影響を及ぼさないとすれば、何のために存在するのか。おそらくそれは、この簡単な法則を徹底させるとともに、DよりはC、CよりはB、BよりはAを目指すために存在するのかもしれない。
このシンプルな投資法則を投資家に徹底させるために存在するのかもしれない。
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