今号から3カ月間、持続可能な都市を目指すイクレイ海外の会員自治体の取り組みを紹介します。シリーズ初回はイクレイ会員であり、2021年11月1日から12日まで気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)開催地であるグラスゴー市を紹介します。
グラスゴー市は英国スコットランド南西部に位置する都市で人口は約63万人(2019年)、スコットランド最大の都市です。 グラスゴー市は英国で最も雨の多い地域の1つですが、気候変動の影響で、暴風雨や熱波などの自然災害が激甚化する可能性があります。
かつて産業革命の恩恵を受けたグラスゴー市は、2050年までにネット・ゼロを達成するという英国の目標に先駆け、2030年までに達成するという目標を掲げ、自転車の利用促進や建物の省エネ化を進めています。その結果、 グラスゴー市の1人当たりのCO2排出量は約4 t-CO2まで削減しました。
2021年3月、環境省が主催した 脱炭素都市国際フォーラムに、グラスゴー市議会議長であるスーザン・エイトキン氏が登壇し、「気候変動対策のための行動を実現するのは都市である。都市は市民や投資家と協力することが重要。グラスゴー市は環境への取り組みを通じて、コロナからの復興と社会的・経済的な変革を得ることができる」と述べました。
2021年6月、グラスゴー市は、「クライド・クライメイト・フォレスト(気候の森)」という2030年までに炭鉱跡地や空き地、道路などに1,800万本の木を植林する計画を発表しました。このプロジェクトには、グラスゴー市だけでなく周辺の8つの自治体が参加しています。 このプロジェクトにより、グラスゴー市は2030年にはCO2の排出削減だけでなく、大気中のCO2を吸収し、開発によって分断された地域の森林を回復させ、住民に社会的・経済的利益をもたらします。
クライド・クライメイト・フォレストをはじめ、グラスゴー市がコミュニティや組織を巻き込むことで、ネット・ゼロの達成に重要な役割を果たすことになります。
|