「持続可能な都市を目指すイクレイ海外の会員自治体の取り組み」の3回めはフライブルク市を紹介します。
IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書に対し、イクレイヨーロッパ代表を務めるマーティン・ホーン フライブルク市長は、以下のコメントを述べました。
「報告書は人間の行動が地球の気候に深刻な影響を与え、人類の未来だけでなく存在も危険にさらしていることを示していますが、私たちの野心と行動をより高いレベルに引き上げ、世界中のリーダーが立ち上がることで、この状況を変えることができます。」
フライブルク市はドイツ南西部、フランス・スイス国境に近くのバーデン=ヴュルテンベルク州の都市で、人口は約23.02万人(2019年)、2030年までに温室効果ガスの排出を60%削減、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。
第二次大戦によって旧市街の約80%を失ったフライブルク市は戦後復興の際に、古い町並みを再現し、車両使用を禁止、公共交通機関を中心に自転車、徒歩を利用する政策を取りました。
1970年代頃からは持続可能な都市開発や市民生活のための目標を推進するための制度的枠組を確立させ、1990 年代からは、エコハウジングなどエネルギー効率の高い建物やカーボンフリーモビリティなど環境に配慮した公共交通を推進しています。
ドイツでは、公共事業のコンセッション料は、民間のエネルギー会社や水道会社から議会に支払われます。フライブルク市には、年間約1,200万ユー ロが支払われ、エネルギー効率の高い建物、再生可能エネルギー、モビリティ、産業育成、市民啓発などに使われます。
かつてナチの兵舎があったヴォーバン地区は、ヨーロッパで最大の太陽光発電地区のひとつに再開発されました。ヴォーバン地区の住宅街はカーフリーエリアに指定され、自動車より公共交通や自転車を利用する方が便利なように仕組まれています。
カーボンニュートラルを実現することで、市民の高い生活の質も確保するフライブルク市の取り組みは、社会問題と環境問題を同時に解決するゼロカーボンシティの可能性を示しています。
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