マーケットにさしたる大きなニュースがないので、今回は相場格言について。
我々は、コロナショック時には積極的な買いを推奨した。推奨どころか、こんな買い場をみすみす見逃すのであれば資産運用で稼ぐなんて一生できっこない、という主旨のことを本メールでもお伝えしてしまい「さすがにそれは言い過ぎではないか」とクライアントからクレームが入ったくらいだ。
弊社のサービスは、一任勘定ではない。何を買い、何を売るべきかについてクライアントが私どものアドバイスに納得しなければポートフォリオは放置される。なのでポートフォリオ・リターンの半分が私どものアドバイスであり、半分がお客様の判断ということになる。
ここ数ヶ月はやや頭の痛い展開が続いていた。短期的にはコロナ収束によるテーパリング開始や利上げ観測、オイル価格の急上昇による消費の冷え込みやいち早くコロナ危機から脱した中国経済の失速やコロナ中に買われすぎたIT企業銘柄の低迷、また政治的な流れとしてもバイデン大統領や岸田首相に共通する新自由主義的な思想に対する心理的距離から投資家心理に微妙なバイアスがかかっていたのは事実である。
私どももご多分に漏れずその影響をうけ、過去数ヶ月はコロナ直後ではないにしろ市場は平衡状態をたもち、上向きな展開が期待できないと言ってきた。
しかし実際には株価は最高値を更新、投資意欲もまだまだ旺盛である。力強い成長ではないにしろ私たちが想定していた平衡状態ではなく、9月10月のへこみからすぐに回復した。市場が崩壊するとまでは思ってはいなかったがだらだらとした展開が続くと予想していたのにすぐに値を戻した。
「バブルが崩壊するのは、自分が考えているよりもずっと遅い」というのは私たち長期投資家が常に心にとどめておかなければならないことである。リーマンショック前の熱狂を知らない投資家が「現在の相場は高すぎる。私は早く市場から撤退した」としたり顔でのたまうことがあるが、相場の世界では2,3歩先をいっても仕方なく、1.5歩くらいがちょうどいい。
日本にも「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言があるが(気になる方はぜひ調べてほしい)、アメリカにも「相場とダンスしろ」という格言がある。社交ダンスするのにリードする男性は女性の動きを予測しなければならないが、かといって自分が何小節も先の動きを踊ってしまったらダンスは成立しない。とはいえダンスの最初から終わりまで頭に入っていないと最後まで踊りきることができない。
資産運用もこれと同じで、全体の流れを頭の中に叩き込んだ上で相場の動きのわずか先を見据えて動くということが必要だという格言だ。
|
|