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Magnet Newsletter / Issue 005 / February 8th 2022

  • 『週刊文春』のサブスク快進撃、その舞台裏に迫る(中山明子)

  • 前回のニュースレターアンケート結果発表

  • 分散自律型組織「DAO」による新たな組織の形(Ikuo Morisugi)

Understanding Subscriptions

『週刊文春』のサブスク快進撃、その舞台裏に迫る

早いもので2022年も2月に突入しました。今回は明日2月9日(水)に開催するウェビナー「XIMERA’s talk session〜『週刊文春 電子版』の現場に学ぶサブスクリプション戦略〜」の直前号として、『週刊文春 電子版』のこれまでを振り返ります。

『週刊文春 電子版』は2021年3月のサービス開始から間もなく1年を迎え、雑誌『週刊文春』の記事をWebで閲覧できるサブスクリプションサービスとして、同社のデジタルビジネスを牽引する存在へと成長を遂げつつあります。

過去のプレスリリースやインタビューからは、快進撃を支えるビジネス設計と運用体制の強さが垣間見えます。

  • 月額2,200円の価格設定
    『週刊文春 電子版』の購読料は月額2,200円と、サービス開始当初から紙面を毎週購入するのとほぼ変わらない価格水準。安売りしない値付けにマネタイズへの気概がうかがえます。

  • 購読者獲得を支えるマーケティング

    同誌の加藤編集長は日経クロステックのインタビュー記事で「電車の中吊り広告を2021年8月で止め、その原資を電子版のマーケティングに投下する」と明かしました。その翌月から開始した7日間無料キャンペーンをはじめ、マーケティングを通じた読者獲得を加速しています。

  • ニーズをふまえた柔軟なプラン投入

    当初は月額プランのみを提供していた『週刊文春 電子版』ですが、2021年6月には「年間プラン」、「電子版+雑誌プラン」「法人プラン」を相次いでスタートしました。購読者のニーズをふまえたうえで、柔軟なプラン提供に踏み切っていることがわかります。

彼らのすごさは「文春砲」だけではない:開催前記

「文春さんがうまくいっているのは、スクープがあるからですよね?」

当社のサブスクリプション基盤「Ximera Ae」を導入いただいているご縁もあり、『週刊文春 電子版』がパブリッシャーの方々との話題にのぼることもしばしば。そこで、時たまお聞きするのが先の言葉です。

私はいつも「それだけじゃないんです!」とお伝えしています。

もちろん、「文春砲」と固有名詞になるほどのスクープは、多くの読者の心を動かしていることでしょう。しかし、いかに素晴らしいコンテンツを生み出しても、それだけで有料購読者が集まってくれるわけではありません。この好調はコンテンツを「つくる人」と「届ける人」の両輪あってこそ実現していると思うのです。

『週刊文春 電子版』のプレスリリースを時系列で眺めると、ある変化に気が付きませんか?

左から21年3月、8月、22年1月のプレスリリースより

左から21年3月8月22年1月のプレスリリースより

掲載されているサイトトップの画像が、時を経るごとにリッチになっているのです。コンテンツを「届ける人」の活躍が表舞台で語られることは少ないかもしれませんが、彼らの着実な歩みもまた、メディアビジネスの成長を支えています。

今回のウェビナーは、そんな『週刊文春 電子版』のサブスクリプションビジネス運営を取り仕切る村井弦さんをゲストにお迎えします。昨年末にお打ち合わせをしたときから、村井さんのお話を皆様に早く聞いてほしい……!と思い続けて今日に至りました。モデレーターを務める私も、ワクワクしながら当日を指折り数えています。ぜひお楽しみにしていただければと思います。

それでは明日、画面の向こうでお目にかかります。

中山明子

ウェビナー開催概要

日時:2022年2月9日(水) 16:30~18:30
参加費:無料
形式:オンライン(お申し込み後に配信URLをご連絡します)
参加方法:インターネットに接続できるPC・スマートフォン
参加資格:日本国内のパブリッシャー(新聞、出版、放送局)にお勤めの方、メディアのサブスクリプション事業に興味のある方
主催:株式会社キメラ

プログラム
第1部:メディアビジネスの現在地とこれから迎える未来(16:30〜17:00)
スピーカー:株式会社キメラ 代表 大東 洋克
第2部:『週刊文春 電子版』の現場に学ぶサブスクリプション戦略(17:00〜18:30)
スピーカー:株式会社文藝春秋『週刊文春 電子版』コンテンツディレクター 村井 弦 氏
モデレーター:株式会社キメラ メディアストラテジスト 中山明子

ウェビナーに参加申込する

▼前回のニュースレターアンケート結果発表
Q. あなたが注目しているメディアや「Magnet」で特集してほしいメディアは?

印象に残ったのは「Googleの特集を読みたい」というコメントでした。Googleは国内外でメディアの支援やニュースアグリゲーションを強化しており、「Google News Showcase」の日本版が昨年からスタートしたことも記憶に新しいのではないでしょうか。

このアンケートでプラットフォーマーの名前が挙がったことに、パブリッシャーの皆様のなかでの存在感がいかに大きいかを改めて感じました。いただいたお声を今後の特集テーマに活かしてまいります。

前回のニュースレターを読む

Ximera Media Next Trends #26 / Text: Ikuo Morisugi

分散自律型組織「DAO」による新たな組織の形

ブロックチェーンが可能にした分散自立型コミュニティの体現

メディアのトレンドとそれを巻き起こすスタートアップを追いかける連載シリーズXimera Media Next Trendsの第26回となる今回は、分散自律型組織「DAO」について紹介します。

本連載第24回(Web3がバズワード化している背景)で取り上げたように、中央集権的なプラットフォームへの対抗の動きとして、ブロックチェーンを基盤に分散自律的なサービスやプロダクトが多数登場しています。そして、多くのWeb3のサービスやプロジェクトの意思決定は、ひとりのCEOやPdMのような人間や組織ではなく「DAO」と呼ばれる分散自律的な組織・コミュニティによってなされています。

今回はDAOとはなにか、その具体的事例について紹介することで、DAOへの理解を深め将来的な可能性について触れていきたいと思います。

DAOとは : 不特定多数の個人による自律組織

DAOとは、Decentralized Autonomous Organization(分散自律型組織)の略で、あるプロジェクトやプロダクトが不特定多数の参加者によるコミュニティによって、管理・運営される組織やその形態のことを指しています。本連載第24回でも少し触れましたが、DAOではコミュニティ用のトークン(ガバナンストークン)をブロックチェーン上で発行し、ガバナンストークン保有者の投票によって、その組織の資金の使い道・体制・プロジェクト・プロダクトの方針などを決めていくことができます。

通常の議会や株式会社と違うのは、誰もがDAOにおける意思決定者となれることです。たとえば議会では選挙で選ばれた議員同士で合意形成された政策しか実行されません。株式会社でも、株主が議決権を行使できるのは、株主総会における役員の選任・報酬、事業譲渡などの大きな意思決定に限られます。基本的には、有権者にしても株主にしても、議員・経営者・役員など代表として意思決定する人をアサインし組織やプロジェクトを動かしてもらっています。一方でDAO型組織では発起人や初期メンバーは当然いるものの、そのメンバーだけが組織をコントロールできるわけではなく、基本的にはトークン持つ不特定の参加者全員が意思決定者になりえます。

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