まずはターゲットを絞ることの目的についてきちんと考えておく必要があります。ターゲットを絞る基本的な理由としては、ブランドのポジショニングをしっかり確立させること、そしてそれによってマーケットでのシェアを拡大するためです。ではなぜポジショニングを確立させるためにターゲットを絞るのが良いのか、これは絞ったターゲットに向けたコミュニケーションを強く発信することでそのブランドの特性というものが引き立ち、結果としてマーケット全体において自分たちのブランドの立ち位置というものが分かりやすくなるからです。
ターゲットとマーケット
まず第一に重要なことは、ターゲットを絞るということとマーケット全体を考えるということは両立するということです。ターゲットを絞るからといってターゲットの中だけを見ていればいいというわけではないのです。ターゲットを絞るというのは、コミュニケーションを絞ることで、結果として世の中全体の受けがよくなると考えるからなのです。つまりターゲットを絞るということは、そのターゲットの中だけで考えるという意味では決してなく、ターゲットを絞ることでマーケット全体の購入意向が最大化されるのかということを考えることが大切です。
ターゲットの軸
次に絞る段階において注意するべきことがあります。それは絞ったターゲットに共通する何かがあるかということです。上記にもあるように、ターゲットを絞るということはコミュニケーションを尖らせることによってポジショニングを確立するということが目的です。しかし、絞ったターゲットに共通項がないとコミュニケーションをする上で問題が出てくるのです。例えばよくある共通項のない絞り方「30代女性」といった属性に基づく分け方だと、形式的にはきれいに分かれるのですが、内容的には全く分かれていないことになります。「30代女性」といっても、ある人はバリバリ働きながら休日はアウトドア派だったり、またある人は結婚して日々子育てに追われているかもしれません。そのためターゲットを絞る時には年齢や性別といった形式的な分け方だけでなく、価値観や心理状態、ニーズといったような一つ通った別の軸をとるべきだと言えます。
ターゲットの範囲
三つ目に気をつけるべきポイントは、ターゲットをどこまで絞るのかということです。消費財の場合、ターゲットを絞ったとしても狙うマーケットはマスであることが多いです。そのためターゲットをあまりに狭く絞り過ぎると、とてもニッチなコミュニケーションになり、マス全体での受けが最大化されにくくなってしまうのです。しかし一方でターゲットが広すぎると、その広いターゲット全員に刺さるコミュニケーションは薄くなってしまい、これもまたマーケットには刺さりません。ではどの程度絞ればいいのかということになりますが、これは目指すシェアや売り上げにある程度の制約を受けるものです。ターゲットは広げれば広げるほどぼんやりと、そして狭めれば狭めるほどニッチになります。そこで自分たちの目標とするシェアや売り上げと共に評価をしていくことが大切になります。
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