今回は、弊社代表の高橋による新コラム「やってみてわかったオンラインインタビューの罠と、その対応策」から、内容を抜粋してご紹介したいと思います。
コロナ禍でマーケティング界隈もさまざまな影響を受けました。市場調査も例外ではなく、特に訪問調査やグループインタビューといった定性的な調査は、非常にやりづらくなっています。
そのような中、代替案として活用されているのが、ZoomやGoogle Meetといったウェブ会議システムを利用したオンラインインタビューです。調査会社さんのインタビューシステムはかゆいところに手が届くきめ細かなサービスである同時に、システム利用料が大きく乗ってくるため、基本的に追加投資の必要がない上記のサービスを利用されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、ウェブ会議システムを活用したオンラインインタビューには、大きな罠がいくつか存在しています。
1. 観察者がバレる罠
第一に、ウェブ会議参加人数が可視化されてしまうため、調査対象者に見学者のことがバレてしまう懸念があります。通常のオフラインインタビューでは、バックルームやミラールームで観察しているため、対象者の皆さんが観察者を意識することはほとんどありませんでした(きっと)。ですがウェブ会議では人数が露骨にでますし、使い方によってはバックルームで観察している人の顔まで画面にずらずら並ぶことになりかねません。こうした「アウェイ感」によって対象者が萎縮し、比較的センシティブな内容を自発的に発話してくれる可能性が減ってしまうというリスクがあります。
2. 画面共有でもたつく罠
第二に、提示物を見せる際の画面共有のゴタゴタがあります。オフラインインタビューでは、提示物は通常紙に印刷してお見せしますが、オンラインインタビューではデータを送るわけにもいかないですし、画面共有というウェブ会議の仕組みを使って提示することが一般的です。この流れがスムーズにいかずに時間をロスしたり、見せてはいけないものを見せてしまったり、と画面共有周りにはオンラインインタビューならではの問題が潜んでいます。
3. いつの間にかピンされている罠
最後に、第二の罠と似ていますが、対象者側がモデレーターの顔を「ピン」してしまうケースがあります。すると常にモデレーターが相手に投影されている状態になり、何かしら提示物があって画面共有をしたとしても、共有された画面を見つけられない、という問題が発生します。これはすこしのやり取りで解消できるものの、モデレーターはインタビューのプロであってシステムの使い方のプロではありませんから、上手にインストラクションができるとは限りません。
このように、オンラインインタビューにウェブ会議システムを用いることは、いくつかの罠を内包しています。素直に調査会社のシステムを使えばいいという意見もあるでしょうが、これらの罠をどのように仕組みで排除できるかをホジョセンで考えてみました。そうしてたどり着いたCBA(Current Best Approach、今考えられるベストなやり方)は以下のような構成です。
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