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パートナーズ通信
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弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース

2020年12月28日配信号

 
 今年は、初めて経験する新型コロナのパンデミックの中で、大きな生活変容を迫られ、あっという間に1年が過ぎていきました。新型コロナウィルスの新型変種が発見され、日本では第三波の感染拡大が続く中で、来年も新型コロナとのたたかいが続きそうです。
 医療従事者の奮闘に感謝しながら、感染拡大を招かないよう細心の注意をしながらの年末年始となりそうです。
 
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 日常生活で起こりうる法律問題等、皆様に役立つ情報の掲載に努めて参りますので、最後までお読みいただければ幸いです。

>>INDEX
1. 今年の10大司法ニュース
2. となりの弁護士12月号「オンラインでのマンション管理」を掲載しました。
3. 年末年始の執務について

1.  今年の10大司法ニュース



 弁護士として、今年1年を振り返って、司法に関連するニュースを整理し、1年を振り返りたいと思います。これは、あくまでも私の印象に残った司法関連のニュースです。

(1)カルロス・ゴーンの国外逃亡

 会社法違反などの罪で起訴され、日本の裁判所で保釈中であった元日産自動車会長のゴーン氏が、荷物の中に身を隠し、レバノンに海外逃亡したのは、丁度1年前の12月30日でした。

 その結果、裁判の進行は全くストップしたままです。逃亡したゴーン氏に対して大きな批判が寄せられる反面、被疑者・被告人の身柄拘束を始めとして前近代的な司法制度に対しては、欧米から大きな批判も沸き起こりました。



(2)「働き方改革」とコロナ禍での在宅ワーク・リモートワーク

 長時間労働の是正や生産性向上を目的に働き方改革関連法が施行されたのは、2019年4月1日でした。

 残業規制や有給休暇の計画的取得など様々な法改正に沿った措置が執られ始める中、今年に入り新型コロナウィルス感染拡大による自粛要請と在宅ワークの推奨が行われました。これにより、半ば強制的に一定の範囲で在宅ワーク・リモートワークは拡大・定着しました。

 しかし、元々働き方改革は、公私の分離、仕事を家に持ち帰らず、効率的に短時間で職場での仕事を切り上げる、ことを目指したものであったのに、在宅ワークにより仕事と家庭の境目がなくなった、かえって労働時間が長くなってしまった、などの新たな問題が発生しています。コロナウィルスとのたたかいが継続する中で、今後解決すべき課題が山積しています。



(3)改正民法施行

 2020年4月に、改正民法(新民法)が施行されました。新民法施行に伴い、契約書の見直しや改定に関する相談もたくさんあった年でした。また、自筆証書遺言の要件の緩和(2019年7月施行)、配偶者居住権の創設(2020年4月施行)、法務局による遺言書保管制度の開始(2020年7月施行)など相続法の改正も、今後の実務に大きな影響を与えそうです。今後、当事務所でもセミナーなどを通じて情報を発信していきたいと思います。



(4)黒川元東京高検検事長が賭けマージャンで辞職

 政府による検察人事への介入と騒がれる中、コロナ禍の自粛要請の中、渦中の人であった黒川元東京高検検事長が、新聞記者らと深夜に及ぶ賭けマージャンに興じていたことが報道され、黒川氏はあっけなく辞職に追い込まれました。

 検察庁は、黒川氏の賭博罪容疑については起訴猶予処分としましたが、検察審査会は、起訴相当の議決を行い、検察庁は起訴に向けて再捜査を求められています。



(5)有名人の不倫報道

 ステイホームの時間が増える中で、タレントなど有名人の不倫報道が数多く報道されたのも印象に残りました。

 仕事柄不倫や離婚の相談に日常的に接している私たち弁護士にとって、他人の家庭の事情をおもしろおかしく書き立てるメディアの報道には少し違和感を持たざるを得ません。

 他人の不幸やトラブルを見て不満のはけ口や優越感を得るというストレスの解消は、本当の意味での人生の充実にはつながりません。報道の在り方も考えるべきテーマではないかと思います。



(6)法律事務所破産

 2020年9月30日、東京地方裁判所は、東京にある弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所の破産手続開始を決定しました。

 元武富士の社員が、事実上法律事務所を支配し、多額の広告費用を投入して全国各地で過払い金請求の事件を集め、回収した過払い金で事務所を運営するという自転車操業を繰り返していた法律事務所で、負債総額は約50億円、その多くは弁護士を信頼して事件を依頼した多重債務の被害者たちです。

 法律事務所の破産は、私たち同業者へもショッキングな出来事であり、今後の法律事務所、弁護士のあり方にも大きな影響を与える事件でした。今後も、事件の背景の究明が求められています。


(7)日本学術会議の委員推薦を政府が任命拒否

 政府から独立性が認められた政府系機関である日本学術会議の委員推薦をめぐり、菅内閣は、2020年10月1日、学術会議が推薦した委員105名のうち6名について、任命を拒否するという決定をしました。理由は未だに明らかにしていません。

 6名の研究者が、安保法制や通信傍受法など政府が推進したい政策に対し、学問的見地から批判的な態度を示していた過去の言動から、この6名の任命を拒否したのではないかと厳しい批判を浴びています。

 政策決定はどうしても、目先の利害にとらわれて判断されがちであるところを、大所高所、長期的な見地からその妥当性を判断し、専門的見地から意見を述べるのが学者・研究者の役割です。そもそも批判的な目で物事を見ることができなければ学問の発展はありません。

 批判のできない社会になることに対して私たちは、常に危機感を持つ必要があると考えます。



(8)「香港国家安全維持法」(中国)成立

 一国2制度を認容してきた中国は、香港での表現の自由抑圧に対する政府批判の高まりの中で、2020年6月下旬、「香港国家安全維持法」を施行しました。何をどこまでやったら犯罪が成立するかあいまいである点で罪刑法定主義の観点から、また、刑罰法規不遡及の原則から、さらに、外国人も適用対象となる、という様々な問題が指摘されている悪法です。

 既に、民主化グループの学生リーダーであった周庭さんや香港メディア「リンゴ日報」の創業者黎智英さんらが、この法律により起訴され、身柄を拘束されています。

 法律家として、香港の今後の動向は目が離せませんし、アジアの平和にとっても重大問題です。



(9)桜を見る会、安倍元首相は起訴猶予

 政府主催の桜を見る会と、安倍晋三後援会が前夜祭として行ったホテルニューオータニでの前夜祭をめぐり、全国の法律家が公選法違反、政治資金規正法違反で刑事告発をしていた問題で、東京地検特捜部は、会計担当の元公設第一秘書を略式起訴処分(罰金)とし、安倍元首相については犯罪を立証できないと嫌疑不十分で不起訴処分としました。

 首相時代に何度も国会で追及され、調査をすれば容易にわかる事実について、108回も虚偽答弁を重ねた責任は、不起訴処分で済まされる話ではありません。



(10)袴田事件、最高裁が再審取り消し決定を破棄差戻し

 年末にうれしい事件が飛び込んできました。1966年に静岡県清水市で起きた殺人事件で、強盗殺人容疑に問われ死刑が確定していた袴田巌さんに静岡地裁が再審開始決定を出したのは、2014年3月。しかし、東京高裁は、この再審開始決定を2018年6月に取消す決定を行いました。最高裁は、再び再審開始決定を取り消した東京高裁決定を破棄して差し戻しました。

 事件から既に54年、袴田さんは84歳です。本来、差戻しではなく、人権救済の観点からは、直ちに再審開始とすべきではなかったか思います。一刻も早く、無罪の判決を出すべきです。

2.  となりの弁護士12月号「オンラインでのマンション管理」を掲載しました。



(1)マンション管理組合の理事会をオンラインで開催することはできるか?

 とあるマンション管理組合の理事長さんからこのような相談を受けました。
 
 ちなみに、電話会議・テレビ会議などオンラインでの会社の取締役会は、かなり以前から有効とされてきました。

 法務省民事局参事官室の平成8年4月19日付「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの公表について」と題する文書では、「取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応がよく分かるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時にほかの取締役に伝わり、適時的な意見表明が互いにできる仕組み」があることを条件に、オンラインでの取締役会は有効とされています。また、オンラインでの株主総会も可能とされています(株主総会(オンラインでの開催等)、企業決算・監査等の対応 (METI/経済産業省))。


(2)オンラインでのマンション管理組合総会は可能か?

 これについては、区分所有法は、総会を「集会を招集」と規定しており、集会・招集とは、「日時・場所を特定して、集まること」を前提にしていますので、オンラインでの総会は、不可能という考え方が有力です(国会もそのようです)。

 また、現実問題として例えばZOOMで総会をやりますといっても、参加するIT環境がない区分所有者や環境があっても技術的に参加ができない区分所有者が現状では、相当数いる状況で事実上参加の機会が保障されないという問題があります。

 菅新政権の下で、デジタル担当大臣が創設・選任されました。マンション管理のデジタル化・IT化においても、今後の政府のイニシアティブが期待されます。


(3)オンラインでのマンション理事会開催は可能と解釈される。
 
 他方、オンラインでの理事会開催は、可能と解釈されます。また、特定の場所に集まっての理事会にその場に参加できない理事がオンラインで参加して出席するいわゆるハイブリッド理事会も有効と考えられます。

 もっとも、オンライン理事会は有効としても、規約又は理事会運営細則で、オンライン開催のルールについて定めておくことが望ましいでしょう。

 オンラインにアクセスできない役員が出て来る(参加権の保証)、会議の形骸化、形式化(理事会軽視)を防ぐという理由からです。(福岡地方裁判所平成23年8月9日判決は、オンラインでの取締役会を一般論としては有効としながら、会議の要件を欠いているとして決議を無効とした。)
 
以上

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3.  年末年始の執務について


当事務所は、
2020年12月29日(火)から2021年1月6日(水)まで休業いたします。

業務開始は、1月7日(木)9時30分〜となります。


 

*事務所では、ホームページで、法律コラム(月一回)の他、となりの弁護士(原和良)、磯部たなの漫遊記(磯部たな)など各所属弁護士のコラム・ブログを掲載しておりますので、こちらもぜひご覧ください。


弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース 2020年12月28日配信号

○発行:弁護士法人パートナーズ法律事務所 東京都豊島区南大塚3-36-7 T&Tビル4F
○発行人:
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○お問い合わせ TEL:03-5911-3216 E-mail:info@p-law.jp


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