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こんにちは。株式会社ホジョセンの金瀬です。

実際に現場から出た声をもとに抽出したQ&Aや、セミナー告知など、企業や自治体のマーケティングに関する情報を無料でお届けするホジョセンメルマガ。第290回目の配信となる今回は、『リピート率が低い原因を探ろう〜消費材編〜』をお届けします。
目次
1. 
リピート率が低い原因を探ろう〜消費材編〜
2.関連コラム
3.ホジョセンのサービス
4.今日のひとこと

1. マーケティングQ&A
リピート率が低い原因を探ろう〜消費材編〜

 Q 
食品メーカーのマーケティング部に所属しています。消費者調査の結果、商品のリピート率が低いことが分かりました。そこで、今後は既存顧客のリピートや流失顧客の防止などに力を入れていきたいと考えているのですが、これらは商品自体の価格や質に依存する部分が大きいのでしょうか。また、既存顧客のリピートや流失顧客の防止にはどのような施策が有効でしょうか。
 A 

さて、「商品(食品)のリピート率が低いため、リピート率の向上や流失顧客の防止のための施策が知りたい」とのことですが、単に「リピート率が低い」と言っても、その原因は様々です。まず、原因を明らかにしないことには適切な施策を考えることはできません。そこで、今回は、リピート率が低くなってしまう原因を考えていきたいと思います。

まず、ある商品の売上について、単純に考えると、購入率×購入回数×単価 というモデルで表すことができます。購入率は、認知率、購入意向、配荷率によって説明されると考えます。では、このモデルを元に、顧客のリピート購入について考えてみましょう。トライアル購入がされている前提の話なので、認知率と配荷率については問題はないと考えられます。ですので、問題になるのは購入意向です。顧客がリピート購入をするにあたっては、購入意向周りに何らかの問題が生じていると考えることが自然です。

今回の質問では、「リピート率が低いこと」が課題とされていますが、「A. トライアル購入の段階で、そもそもの購入意向が低く、リピートされていない」のか、「B. トライアル購入の段階では購入意向が高いのに、リピートされていない」のか、どちらなのかによって、リピート率が低い原因も大きく異なります。

食品のような消費材においては、Aのように、購入意向は低くても「試しに買ってみよう」ということが起こりやすいです。そのような場合においては、購入自体が偶然起こったようなものなので、リピート率が低いのは当然の結果であり、商品の問題として考えないほうがよいでしょう。リピート率を考えるより先に、どのようにして想起集合に入り、選ばれる確率を高めていくかを考えていく必要があります。

問題なのは、Bのような、トライアル時点における購入意向が高いのにリピートされない場合です。これはつまり、買う前の期待と使用した後の印象にギャップが生じているということです。このようなギャップが生じている原因は大きく2つ考えられます。

1つが「商品の質とコンセプトにギャップが生じているから」です。このケースの中でも、さらに「 コンセプトが事前期待を高めすぎている場合」「商品が口に合わなかった場合」の2つの場合が考えられます。 

 

【コンセプトが事前期待を高めすぎている場合】
コンセプトが良ければ、もちろん新規顧客の商品に対する購入意向は高まります。ですが、商品の実際の使用感に比べて、コンセプトがあまりにも無謀だったり、壮大すぎたりすると、使用した側は期待を裏切られてしまい「思っていたのと違う」というマイナスな印象を受けますよね。このミスマッチを解消する手段としては、コンセプトを現実的な期待レベルにまで弱めること、が考えられます。もちろんコンセプトを弱めれば、トライアル購入は減ってしまいます。しかし、商品に対して高すぎるコンセプトは、当該商品のみならず、延いてはブランド全体、メーカー全体へ悪影響を及ぼす可能性もあります。プロダクトの質をコンセプトに見合う水準まで上げられるのならばそれでもいいですが、並行してコンセプトの見直しを進めることが重要でしょう。


【商品が口に合わなかった場合】
これは、本当に商品が口に合わなかった場合です。この場合、好みというものは個人的なものなので、商品の味を少数にウケるニッチなものにするのか、はたまた世間一般的な好みに近いものにするのかを、よく考える必要がありますが、そこはメーカーの戦略次第かと思います。ただ、一般的には食品メーカーから発売される商品で「万人に美味しくない」とされるものは、ほとんどないのではないかな、と想像します。

2つ目のギャップが生じる原因は「商品の質と価格にギャップが生じているから」です。

このケースでも、さらに「価格によって事前期待が上がってしまった場合」と「 商品の相対的な価格の印象とのミスマッチが起こっている場合」の2つが考えられます。

【価格によって事前期待が上がってしまった場合】
価格というものは価値を決定づける一個の要因で、人が価格の高いものを見るときには、「値段が高いんだから、良いものに違いない」というバイアスがかかり、商品の質に対する期待が上がります。ここでも、事前期待と実際の商品との間にギャップが生じて、「高い割にそうでもなかった」といリピート購入の阻害要因が生まれる可能性があります。逆に、購入したものに、価格で想定されていたよりも高い価値を見出すと「思ったより安い」という好印象を持って、リピート購入する可能性も高まりますよね。

この場合、価格に見合う価値を提供できていないわけですから、その原因を特定し、価格を下げるのか、それとも付加価値を提供するのか、もしくは、きちんと認識してもらうのかを考えなければなりません。

【商品の相対的な価格の印象とのミスマッチが起こっている場合】
また、価格は同一カテゴリの他の商品の価格と比べて、相対的に評価されることも多いです。実際の価格は他の商品と一緒なのに、価格が高いという印象を持たれているのであれば、商品の質が他の商品よりも劣っていることが一因としては考えられます。マーケットの他の商品よりも少し高値で売られている場合でも、雰囲気やパッケージなどを含め、価格に見合っていないような印象を与えてしまっていることも考えられます。いずれにせよ、重要なのはなぜそういう評価を受けているのかを理解し、対策することです。

このように、リピート率が低いと言っても、その原因は多岐に渡るため、無闇にキャンペーン施策などをとるのではなく、根本的な原因を明らかにし、原因に対処するような施策を考えていく必要があります。また、そもそも食品のような商材においては、リピート率が低いことが問題なのかどうかも分かりません。もちろんリピート率が上がれば売上は向上しますが、食品は寡占されておらず細分化されたカテゴリーであることが多いため、各ブランドのマーケットにおけるシェアは非常に小さいです。そのため、自ブランドが握っている顧客がマーケット全体の1%にも満たない可能性もあります。そうなった時に、その1%にアプローチしてリピート率を高めるような施策を取るよりは、残り99%の新規顧客層を取り込むような施策を取った方が、伸び代としては大きい場合が多いです。これは会社の戦略にもよるため、一概には言えませんが、そもそも「リピート率が低いという課題」に手を打つこと自体が、最善策と言えるのか考える余地はあるかと思います。

 

 


 

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4.今日のひとこと
〜二十日正月〜

本日、1月20日は、二十日正月と言って正月の最後の日なんだそうです。別名「骨正月」とも言って、正月に用意した魚の骨を根菜などと一緒に煮て食べるという、京阪神地方に伝わる文化に由来するそうです。日本国内でも地域によって様々な文化があって面白いですね。魚の骨を煮て食べるのも驚きですが、何より今日までがお正月だったという事実に驚きました…。我が家のお正月はとっくの昔に終わっているみたいです、とほほ…

さて第290回ホジョセンメルマガはいかがでしたでしょうか?
次回の配信は1月27日を予定しています。

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