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パートナーズ通信
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弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース

2021年03月01日配信号

 
 3月に入り、日本は桜の季節になりました。3月7日の緊急事態宣言の期限が迫っていますが、東京と関東3県では、新型コロナウィルス感染者数がこの間下げ止まりの傾向にあり、宣言が解除されるか否かに関わらず、またワクチン接種の進展いかんに関わらす、引き続いての感染拡大防止対策、我慢の生活が必要となりそうです。
 
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 日常生活で起こりうる法律問題等、皆様に役立つ情報の掲載に努めて参りますので、最後までお読みいただければ幸いです。

>>INDEX
1. 大阪地方裁判所で生活保護の減額を違法とする画期的な判決
2. 中小企業法務チャンネル
3. となりの弁護士2月号「森五輪組織委員会会長の辞任」を掲載しました。

1.  大阪地方裁判所で生活保護の減額を違法とする画期的な判決


 2月22日、大阪地方裁判所は、平成25年から同27年にかけて、最大10%の減額を行った厚生労働省の減額処分について「客観的な数値等の合理的関連性や専門的知見との整合性を欠き、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続きに過誤、欠落があると言わざるを得ず、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があるべきであるから、上記改定は生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法」との判決を下しました。

生活保護法3条 
この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持す
ることができるものでなければならない。

生活保護法8条
1項 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
2項 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものでなければならない。

 コロナ禍であって、思ってもみなかった経済的困窮に直面する人々が増え、生活保護の申請者・受給者も増えています。今回の争点になった平成25年から同27年の減額は、いわゆる一部の生活保護の不正受給についてバッシングがあったことを踏まえ、政治的判断も手伝って大幅減額が強行されたという背景があります。

 今回の大阪地方裁判所に先立つ、2020年6月25日の名古屋地方裁判所判決は、国民世論の状況も考慮にいれて、裁量の範囲内であり適法との判断を下していました。
 生活保護費の減額措置に対して違法判断が出るのは、60年前の朝日訴訟東京地方裁判所判決以来ということですから、いかに画期的な司法判断かということがわかります。
 
 私(原)は、社会保障・生活保護に関する裁判は全くの門外漢ですが、司法修習生の時代に一緒に勉強した同期の小久保哲郎弁護士が、弁護団長として活躍した裁判で、国の政策に対して正面から異議を申し立てる困難な訴訟に取り組む姿を見て、大変感銘を受け、大変励まされましたのでご紹介しました。

2.  中小企業法務チャンネル


中小企業法務チャンネルでは、原和良弁護士が、中小企業の抱える法律問題をYouTubeで配信しています。

現在配信済みのものは、
「コロナ禍の賃貸借」、「コロナ禍での中小企業経営者の破産」、「賃貸借の基礎」の動画です。

原弁護士が解説している動画のリンクのまとめはこちらから⇒   https://bengoshihoken.jp/archives/staff/haralawyer


【YouTube】中小企業法務チャンネル

   

3.  となりの弁護士2月号「森五輪組織委員会会長の辞任」を掲載しました。



(1) 女性が多い会議は時間がかかる~オリンピックが掲げる男女平等の理念に正面から反する森喜朗組織委員会会長の発言は、国内外に波紋を呼んだ。当初は謝罪会見でお茶を濁そうとしたものの、批判の強さに耐え切れず、ついに森会長は辞任に追い込まれ、橋本聖子新会長が選出されるに至った。
 
その過程で、森前会長が水面下で後継者に据えようとした川淵三郎氏への交代劇も、その不透明な選出方法が批判の的となり、成功しなかったのはご承知のとおりである。


(2) 森発言の不適切さについては、様々な方面から批判を浴び、ここでそれを繰り返す必要はないであろう。
 それよりも、私が奇異に感じたのは、組織委員会の理事者や評議員会からなぜ真っ先に批判の声が真っ先に出なかったのか、世論の批判の中で、背中を押される形で新会長の選任という経過をたどったことであり、そのことに私はこの問題の根深さを感じざるを得なかった。
 
 それは、ジェンダー格差の問題もさることながら、日本の組織は、影響力・力の強いものに対して忖度し、正面から正論をいうと和を乱す異物とのレッテルを貼られ、陰に陽に様々な不利益を被るという「同調圧力」を背景とした社会構造そのものの問題である。それはジェンダーの以前の問題として、この間の政官財をめぐる不祥事に共通する日本社会の弱点でもある。


(3) 森友学園事件をめぐる財務省の議事録の改ざん問題も、組織ぐるみの改ざんが行われたことは、表に出ている状況証拠からも深く疑念が投げかけられている問題であるが、組織の抵抗にあって真相究明は一向になされないし、関係者は誰も責任をとっていない。赤木さんという改ざんを命令された職員の尊い命が奪われてしまったにもかかわらず、である。


(4) 「余計」な一言、正論をいうと、周囲から煙たがられる。ただでさえ忙しいのに、「余計」な一言、正論を言ったがために、周囲の冷たい目にさらされ、自分が不利益を受ける。
 だったらおとなしくしておこうと、おかしいこともおかしいと言わず、じっと心に秘めといて、周囲の空気に合わせてその場を過ごす。
 私たちの日常は、だいたいそんなものである。国会も、官僚も、オリンピック組織委員会もそれが、日常となっている。

 森辞任劇は、こんな私たちの日常の繰り返しが、結局は社会を閉塞させ、イノベーションを阻害し、気が付くと日本は世界の常識から取り残されるガラパゴスとなってしまっているのではないか、ということを考えさせられる事件であった。
以上

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弁護士法人パートナーズ法律事務所ニュース 2021年03月01日配信号

○発行:弁護士法人パートナーズ法律事務所 東京都豊島区南大塚3-36-7 T&Tビル4F
○発行人:
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○お問い合わせ TEL:03-5911-3216 E-mail:info@p-law.jp


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