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055 / 検索とソーシャルのオーディエンス戦略を
どう最適化するのか

一貫性、意図すること、実績に基づいて成長の機会を探ること

by JACK NEARY|Chartbeat Blog 日本版|ブラウザで開く

ONA(Online News Association)の年次カンファレンスでChartbeatがBBC、Newsday、The Hillとの対談を主催しました。FacebookやGoogleなどのプラットフォームがニュースの優先度をソーシャルフィードや検索結果で下げているなか、各社がオーディエンス戦略をどのように適応させているかについて話しました。


彼らは、Google Discoverでの成功、Facebook戦略の適応、そしてあらゆる規模のパブリッシャーがソーシャルビデオに投資すべき理由について語っています。


以下は、この対談からの抜粋を長さとわかりやすさを考慮して編集したものです。

検索とソーシャルのトレンドデータから得られた最大の収穫は?

BBC / アン・ルック・シアム氏:Google Discoverは、ニュース報道、特に速報ニュースに非常に適した場所になりつつあることがわかっています。そして、私たちはDiscover向けの計画でこれを意識しはじめています。たとえば、ピーク時にDiscoverの露出を最大限に高めるために、いつ公開するのが望ましいのか、タイミングや時間枠について考えています。


The Hill / ウィル・フェダーマン氏:Discoverは、The Hillにとって最大のトラフィックソースです。検索よりもさらに大きな存在で、成功を再現するための最善の指針として、私たちは今も取り組んでいる最中です。そして今月からは、ソーシャルトラフィックのリファラーとしてRedditが私たちのナンバーワンプラットフォームとなりました。強力なパートナーとして着実に成長を続けています。現在、パブリッシャーと誠実な対話をしている唯一のプラットフォームです。


Newsday / ギャビー・ヴケリッチ氏:YouTubeとTikTokの指標は、今まさに私たちのオーディエンスを直接的に示すものになっています。約1年前にYouTubeでShortsがローンチされて以来、私たちはこれらのプラットフォームで急成長しています。主に、私たちがSEOで見出し、タイトル、ディスクリプションを活用しているのと同じ戦略をTikTokでも採用しています。

Google Discoverで成功した戦略は?

ウィル(The Hill):いくつかやってきたなかで、ある程度は再現することができると思います。1つは、記事の内容をローカライズすることです。全国的な内容でも、その地域に関連する部分を見つけることで、Google Discoverのトラフィックにつながります。もう1つは、Discoverは扇動的または誇張的な見出しには傾倒しない傾向があるということです。より会話的な傾向があります。Discoverのレコメンドを受け取ると、それは私を興奮したり怒らせたりしようとするものではなく、むしろ「おや、これは興味をそそられる。これをクリックしてみよう」というようなものばかりです。それが成功への道筋となる傾向があります。


アン(BBC):私たちのコンテンツ、ニュース、ブランドは、信頼性と公平性を体現していると自負しています。ですから、編集SEOやコンテンツSEOに取り組む際には、編集の質と独自性を重視しています。これらは、検索でもDiscoverでも、私たちにとって本当に重要な要素です。つまり、編集品質、ニュースルームでE-E-A-Tを本当に優先すること、そして、そのことについて本当に話し合い、ジャーナリストがその観点からコンテンツを輝かせる方法を理解できるように手助けすることです。

E-E-A-Tとは

Googleが彼らの検索ランキングシステムが有益で的確な情報を提供しているか、評価する際に用いられる考え方。「Experience, Expertise, Authoritativeness and Trust」の頭文字で、経験、専門性、権威性、信頼性を示している。検索評価ガイドライン(リンク先PDF)

そして、独自性も重要です。Googleは一般的に2つの要素から成り立っているということを、私たちはしばしば忘れてしまうと思います。露出を獲得したいと思う一方で、それをクリックして読みたいと思うユーザーを獲得する必要もあります。それから独自性と、非常に独創的でありながら、トレンドやタイムリーなニュース性の高いトピックにもっともユニークな価値を付け加える私たちのUSP(顧客から見た独自の強み)を活かした、明確で直接的かつ具体的な見出しが、Discoverでの成功には不可欠です。

Facebookがニュースの優先順位を下げたことで、ソーシャルからのリファラルトラフィックに劇的な影響がありました。それに対してどう対応していますか?

日本編集注:トラフィックに占める割合として、日本ではグローバルほどFacebookトラフィックの重要性は高く見られてはいません

ギャビー(Newsday):私は、Facebookは依然として非常に重要なプラットフォームであると考えています。なぜなら、Facebookにはオーディエンスが存在し、オーディエンスのニーズに応えるコンテンツをキュレーションする必要があるからです。これはFacebookに限らず、あらゆるソーシャルメディアプラットフォームにとって非常に重要なことだと思います。


私たちが試した戦術のひとつに、Facebookグループへの参加があります。ローカルのFacebookグループは、やはり非常に重要です。なぜなら、そこでは読者から直接意見を聞くことができるからです。私たちの記者や編集者には、そこで交わされる会話に目を通す方が多くいます。それが大きな転機となることもあります。人々が自分たちの報道に関心を持っていることを知れば、それらのFacebookグループにリンクを投稿して、私たちがそのことを報道したこと、そして今、その報道をお届けしていることを示すことができます。これにより、私たちのウェブサイトへのトラフィックが徐々に増加しました。


ウィル(The Hill):Facebookは全体的にライトタッチなプラットフォームになりつつあります。ギャビーがFacebookグループについて言及したのは興味深いことです。ブランドやパブリッシャー向けのReddit Proアカウントが展開されて、私たちがRedditで採用した戦略と非常に似ています。ここでは、Hillのコンテンツについて具体的に語っている個々のコミュニティを見ることができます。そして、そこに参加して会話に加わることができます。また、これは利己的な考えではありますが、RedditはGoogleとの関係によって、検索結果が上位に表示されるようになっています。いずれにしても検索結果ページに表示される可能性がある会話にリンクを挿入することで、私たちにもメリットがあります。


チームの変更という点では、私たちは時間の使い方を再配分する必要がありました。現在は主に検索、Reddit、動画に重点を置いています。動画に関しては、トップページを含め、多くの投資を行いました。動画チームや編集チームと協力し、動画のキュレーションや調整にこれまで以上に深く関わっています。エンゲージメントを促進し、サイト内での回遊と1回の訪問あたりのページビューを増やすものがあります。 そうした直接的な関係を構築することがもっとも重要なことだと思います。 誰もが今、そこに注目していると思います。


そして、この緊張感はみなさんが感じているものであり、依然としてこれらの大規模なプラットフォームを管理する必要があることを意味しています。しかし同時に、最終的にはポジティブな結果をもたらすであろう、より強固で直接的なオーディエンスとの関係へと移り変わっています。

リソース配分を検討している小規模なパブリッシャーの方々に向けて、動画に投資する価値についてお話いただけますか?

ギャビー(Newsday):まだ動画に投資していないのであれば、すぐにでも投資すべきです。とても重要です。フォロワーの増加にも影響します。Facebookページの成長は止まっているかもしれませんが、TikTokやYouTubeなどほかのプラットフォームでは、見出しやキャプション、ハッシュタグに設定したキーワードを通じて、人々が動画を見つけてくれます。


アン(BBC):そうですね、ソーシャル動画をより幅広い戦略の一環として活用しようとしているのであれば、将来を見据えた要素もあると思います。潜在的に、アプリやウェブサイトには訪れないかもしれない若い視聴者を惹きつけるために、KPIを設定することもできるでしょう。


それがビジネスの機会を作る方法です。 リファラーやトラフィックをすぐに増やすことはできないと理解しています。 視聴者の将来性を確保しようとしているのです。次の視聴者層について考えています。ブランドや商品、ジャーナリストを次世代のニュース消費者に示そうとしています。


ウィル(The Hill):ソーシャルビデオの制作コストは大幅に下がってています。実際、私たちがネイティブツールを使用して制作し、スマホで撮影したソーシャルビデオの多くは、やりすぎなくらい作り込まれたビデオよりも優れた結果を残しています。若い視聴者が作り込まれたビデオを好むとは思えません。


民主党全国党大会でコンテンツ制作者がこれほどまでに重視されたのには理由があります。彼らは、ハリス氏のキャンペーンでアウトリーチ計画を構築しています。なぜなら、それで簡単にオーディエンスを増やせるからです。彼らはこれまでの高齢のオーディエンスに対してとっていた方法ではサイトに訪れてくれない若いオーディエンスを惹きつけています。

この1年で検索とソーシャルにいくつかの変化が見られましたが、みなさんのチームのKPIは特定のプラットフォームを中心に変化しましたか?

ギャビー(Newsday):私の場合、KPIはTikTok、YouTube、Instagramに大きく影響され、XやFacebookなどのプラットフォームにはあまり影響されませんでした。私が考えるに、ソーシャルメディアで重視すべきことはフォロワーの増加、エンゲージメント、動画の再生回数です。この3つの要素にはそれぞれ独自のKPIを設定すべきでしょう。今年末までに動画再生回数をどの程度にしたいのか。また、今後数か月のフォロワー数の増加にどう影響するのか。


アン(BBC):ユニークユーザー数は依然として重要です。トラフィックも依然として重要です。おそらく私たちにとって進化したのは、それについてどう語るか、それにどんな文脈を与えるかということだけだと思います。たとえば、1か月間のユニークユーザー数を分析し、大きな急増があったかどうかを確認し、大きな出来事やニュースイベントの直後にアクセスした訪問者のうち、何パーセントが翌週も訪問したのか。そのうち何パーセントが2記事目を読んだのかを確認します。 KPIは変わっていませんが、それについて話し合う方法や、それをほかのKPIに活用しようとする方法は進化または強化されています。


ウィル(The Hill):私たちも同じような話をしていると思います。 それらのプラットフォームから来た人々を、別のコンテンツに誘導するにはどうすればいいのか。とくに検索に重点を置くようになったと思います。

また、毎週トップ10の記事を取り上げて、そのなかでやったことを個別にチェックするマトリクス検査も行っています。基本的には必要なことをやったかどうかを素早く確認するためのものです。オーディエンスの関心を逃していないか。ベストプラクティスを実行し、必要なことを優先しているかどうかを確認する上で、これは非常に良い指標となります。

これらのプラットフォームの優先順位が変化するなかで、あなたが学んだ最大の教訓は何ですか?

ギャビー(Newsday):一貫性が重要です。毎日投稿する記事の数や、どのプラットフォームで活動するのか。また、すべてのプラットフォームで活動することは不可能なので、どのプラットフォームで活動するのかを選ぶこと。そして、オーディエンスがすでに存在している場所で彼らに会うことが依然として重要です。


とくに昨年はShortsによってYouTubeが大きく成長したので、その点には注目しています。 縦型動画が重要で、TikTok専用やYouTube専用の動画の制作もはじめました。 そうした動画の一部は、Instagramや Facebookなどのほかのプラットフォームでも再利用できます。 時には、Xでも縦型動画を試してみることもあります。私たちは人々はフルスクリーンでの体験を求めていることに気づいています。


アン(BBC):私たちにとって画期的なのは、現在、編集SEO戦略を意図に基づいて展開していることです。SEOに携わっている方なら、全体的な意図があることはご存知でしょう。トランザクションなのか、誘導なのか、情報収集なのか。


私たちは、誰かが、なぜ今、何かを検索しているのかを知りたいのです。これはニュース速報の現場の私たちにとって非常に役立ちます。私たちのSEO対策の指針はユーザー第一の考え方へと変わりました。


Googleトレンドでは、とてもローテクな方法でそれを実践できます。また、Googleがクリック率やアルゴリズムから、その時の(検索ユーザーの)意図を理解して何をフィーチャーすべきか決めていることを知っているので、私たちはトップ記事ボックスを非常に注意深く見ています。


これでニュースルームとの話し方が大きく変わりました。私たちは意図を明確に伝え、人々が何をグーグル検索しているのか、あるいは「これを人々が検索している」と私たちが考える理由を説明しています。これはジャーナリストの意識を大きく変えました。彼らの本能や好奇心を刺激したのです。また、「検索をハックできる」とか、「キーワードを教えてくれれば、記事の冒頭に挿入するよ、それで解決だろう」といった考え方も少しは減りました。


ウィル(The Hill):優先すべきプラットフォームは、ニュースルームやオーディエンスによって大きく異なります。すべてに共通する答えはありません。ですから、「オーディエンスについて知っていることやこれまでの実績に基づいて、成長の機会はどこにあるのか」を考えることが非常に重要だと思います。


私はこれまで、検索が中心のニュースルームや、 Facebookグループが中心のニュースルームもいくつか見てきました。様々です。成功を測定する方法を設定し、それを試し、うまくいくかどうかを確認し、うまくいかなければすぐに次のステップに進むことが重要です。そうすれば、望む結果が得られないプラットフォームに膨大な時間を費やすことがなくなります。

Chartbeat 新機能のお知らせ

Google Search ConsoleのデータをChartbeatに統合

新たにGoogle Search Consoleとの統合が可能となりました。これにより、Chartbeatの画面から離れることなく、コンテンツの検索パフォーマンスをトラッキングできるようになります。


OAuth認証フローを使用して Google Search Consoleアカウントを簡単にリンクし、クリック数、表示回数、CTR、検索結果ページランキング、上位のキーワードをChartbeatのヒストリカルダッシュボードで直接表示できます。


複数のツールを切り替えることなく、Google 検索、Google Discover、ニュース全体でもっとも良いパフォーマンスをしたコンテンツをすばやく特定して、検索戦略を強化できます。


この機能のご利用をご希望される場合、追加の費用はありませんが、設定はAdmin権限のユーザーに限られます。


具体的な設定方法を含む、この機能に関する詳細はChartbeatヘルプページ(英文)をご確認ください。

Chartbeatは世界中の何千ものパブリッシャーから信頼されている、業界をリードするエンゲージメント分析プラットフォームです。デジタルメディアのコンテンツがどう読まれたのかを分析できます。The New York Times、The Washington Post、Netflix、CNNなど、世界70カ国・6万を超えるメディアで導入され、日本では日本総代理店として株式会社キメラがパブリッシャーへChartbeatの提供とサポートを実施しています。

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今週は急に寒くなりました。服装や暖房の具合、晩ご飯にまで気を配る毎日です。意識的に体を温めましょう。体の不調は思っているより冷えからくるそうです。外を歩き回ることの多い営業さん、取材にあちこち出向く記者さんはもちろん、内勤や自宅での作業が多い編集・編成さんも、首周りや膝下を温める工夫など。


季節性のセールや年末進行など、ハードな日がつづく方も多いことと思います。まずは健康です。チームの健全性です。周りに気を配り、自分にも。どうかご無事で、お元気で。

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