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Newsletter by Ximera, Inc. No.028

こんにちは! Magnet Newsletter No.028へようこそ。当たり前のように最低気温が一桁です。


キメラは先週、北海道新聞社と琉球新報社をゲストに迎えてのオンラインイベント「メディアのプロダクトをつくり、育てるチームのつくりかた」を開催しました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。予定では90分間のイベントでしたが、話すことは豊富にあり、終わってみれば110分ほどのイベントとなりました。当日のようすは動画で公開しております。みなさまぜひご覧ください。


イベントの動画をみる >>


さて、今回のMagnetは大盛りでして、まず「コンテンツプランニングでよくある3つの質問への答え(Chartbeat Blog)」でユーザージャーニーの改善について詳しく解説します。データを使って取り組む内容を具体的に取り上げます。


次に、先日のイベントにつづけて開催される11/29のオンラインイベント「コンテンツ制作の現場 と データ活用のケーススタディ」を改めてお知らせします。ゲストにImpress Watch、NHK、Business Insider Japan、北海道新聞社を迎えます。参加は無料です。ぜひイベントの時間をご一緒しましょう。イベント参加登録へ >>


最後にメディアやコマース関連のトレンドとそれを巻き起こすスタートアップや事例を追いかける連載シリーズXimera Media Next Trendsの第54回「ハイパーパーソナライゼーションによるビジネス価値向上の可能性」をお届けします。一部の専門家に向けたサービスが誰にでも利用できるよう汎用化され、さらには個別に最適化されて提供されることによって起こるビジネス価値向上について取り上げます。


詰め込みすぎとは思いました。今回のMagnet、時間をかけてゆっくりご覧ください。

Chartbeat Blog / JILL NICHOLSON

コンテンツプランニングで
よくある3つの質問への答え

ユーザージャーニーの改善

Average Engaged Time in seconds / 平均エンゲージタイム(秒)

以前、世界中のコンテンツクリエイターが直面する切実な疑問に答えたことがあります。もっとも多かった質問はコンテンツプランニングや戦略のためにデータを解釈する方法はなにか、というものでした。

ここでその疑問に答えましょう。明確なデータに基づいた戦術を通じてチームが目の前の課題に対応する方法、そしてロイヤルフォロワーを惹きつけ獲得するための戦略を成功させるために、データを活性化させ力を与える方法です。

どうエンゲージメント戦略を作るのか

このプロセスの主な部分はどんな組織にでも有効です。単純に、データに対する見方を変える、文化的な変化をもたらすスキルを持つことです。


編集部やコンテンツチームに求められる仕事の量が多くなると、そのコンテンツのことは「公開」ボタンを押したらそのまま忘れてしまいたくなります。コンテンツづくりというのは、うまくはできても完璧というものはなかなか存在しません。ですが、読者がコンテンツとどのように接しているかの適切なデータがあれば、問題を発見してその情報を使い、コンテンツの公開後に改善のための実験をくりかえすことができます。情報を武器に戦略を進化させ、読者のいる場所でより簡単に読者に出会うことができます。データに基づいて文化を変えることは難しいですが、健全なバランスが必要です。


私はいつもパートナーにこう言います。「指標は何をすべきかを教えてくれるものではなく、何をすべきかについて良い質問をする手助けをしてくれるものなのです」。

さらに言うなら

データの民主化とは、データや洞察に組織全体の複数の利害関係者がアクセスできるようにすることを意味する。

明確な成功への道は、悪い数字を恐れない文化を作ることだと考えています。コンテンツチームはデータを使って良いこと(例:ページビュー、購読者、コンバージョンの増加)は祝いますが、失敗(例:直帰率の上昇、滞在時間の短さ、訪問者のロイヤルティ)を無視することが多すぎます。相手を攻撃する武器のように指標を使う組織すらあります。もし同僚が何かうまくいかなかったことを言うのを恐れているなら、それは文化的な問題の方が大きい。


どの指標を動かそうとしているのか、そして最も重要なのはなぜなのか。メンバーがそれに集中しつづけることが重要です。自分たちの指標(ロイヤル読者の数からリードのコンバージョン率まで多岐にわたる)につながりを感じているチームは、その指標に到達するためのアイディアをみつけられることが多いです。


このような変化は一人では起こりません。リーダーはチームのモチベーションを高め、集中力を持続させる手助けをし、たとえ最初からうまくいかなくても、組織全体で「データの民主化」が行われているような場所、つまり目指す場所に到達できることを強調する必要があります。


とはいえ、データの専門性にはまだ価値があります。アナリティクスを専門とする人がより深い分析を行い、その情報を社内のほかのメンバーに伝え、今後の戦略に反映させるのです。なぜなら、典型的なエンゲージメントパターンと思われていたものが一瞬にして変化する可能性があるからです。あなたがそれを理解した頃には、読者は次に進んでいるのです。

エンゲージメント戦略のすすめ

強力なエンゲージメント戦略を構築するためのお勧めをいくつか紹介します。

  • 画面の向こう側にいる人々について現実的に考えましょう。サイトへのページビューを追跡することはできますが、それだけでは不十分です。読者に見たものを覚えてもらい、コンテンツやブランドとの親和性を高めたいのであれば、15秒以上、掲載したものに興味を持ってもらう必要があります。リーチは常に質の指標で補う必要があります。


  • エンゲージ・タイムとロイヤルティの指標を見始めましょう。Chartbeat社のデータ・サイエンス・チームが頻繁に思い出させてくれるように: 1つの指標だけで全体像を把握することはできません。読者との関係性を理解するためには、厳選されたいくつかの指標を併用する必要があります。


  • 完全なユーザージャーニーを理解する。読者があなたのサイトに戻ってくるのにどれくらいの時間がかかりますか? 何をもってコンバージョンとしますか? それが決まったら、目標とするコンバージョン率はどれくらいで、コンバージョンに至るまでに何個のコンテンツを消費したかを結びつけるべきでしょうか?


  • マルチチャネル戦略は重要です。Googleで見つけた読者とソーシャルで見つけた読者の行動は同じではありません。たとえば、モバイルの読者はデスクトップの読者よりもロイヤルティが高く、コンテンツをの発見から関わる方法まで根本的に異なることがわかっています。


  • 遅かれ早かれいつかは、上を目指していかなければなりません。直感的な判断からデータに基づいた戦略まで、最初の一回でできるようにはなりません。いくつかの指標に絞り込んで、実験を通じてベストプラクティスを見つけることができれば、より洗練された戦略を取ることができるようになるでしょう。

2. 獲得とリテンションのどちらが重要か?

率直に言うと、ほとんどのコンテンツチームは獲得に集中しすぎています。コンテンツマーケティングでは、その目標はリードかもしれない。メディアや出版ではそのゴールは新規読者やロイヤルティ購読者かもしれない。新しい読者を獲得するためには、すでに獲得している読者を維持するためのコストよりもはるかに多くのコストがかかることを考えると、ファネルの残りの部分をサポートするために優先順位を再編成する必要があります。


これは、世界中のマーケティングリーダーにとって最も難しいケースの1つです。しかし、Chartbeatにとって最も成功した戦略は、獲得のための活動と維持のための活動のバランスを明確にしたものでした。

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手段としてのデータ分析を扱い、ユーザに価値を届ける目的を達成しましょう

11月29日

コンテンツ制作の現場 と データ活用のケーススタディ

Impress Watch NHK Business Insider Japan 北海道新聞デジタル

2023年11月29日(水)に開催されるオンラインイベント「コンテンツ制作の現場とデータ活用のケーススタディ」ではImpress Watch、NHK、Business Insider Japan、北海道新聞デジタルからゲストを迎え、コンテンツ制作の現場でのデータ活用、データとどのように接しどう活かしているのかを4社それぞれの経験からお話いただきます。具体的な運用方法や課題への取り組みなどをケーススタディとして共有します。


『コンテンツ制作の現場とデータ活用のケーススタディ』イベント概要

日時  : 2023年11月29日(水)17:00 - 18:30

形式  : オンライン(Zoom Webinar)

登壇  : Impress Watch、NHK、Business Insider Japan、北海道新聞デジタル、株式会社キメラ

参加申込: 必要

参加費 : 無料

主催  : 株式会社キメラ


こんな方におすすめのイベントです

Webメディアで活躍されている記者・編集者の方

メディアのデータ分析に取り組んでみたい、興味がある方

よりよいコンテンツやサービスを提供するためのアイデアがほしい方

編集現場でデータを活用する方法を知りたい管理職やデジタル部門の方

新たなデータ分析ツールの導入を検討している、情報収集をしている方


参加方法

参加申込フォームに必要事項をご記入のうえお申し込みください。

後日、ご登録のメールアドレス宛に参加URLをお送りいたします。

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申込期限:11月28日(火)17:00

登壇者プロフィール

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いま登録を済ませてしまいましょう、人は忘れるものです

申込期限:11月28日(火)17:00

Ximera Media Next Trends / Ikuo Morisugi

ハイパーパーソナライゼーションによる
ビジネス価値向上の可能性

次世代で起こりうる個別最適化

メディアやコマース関連のトレンドとそれを巻き起こすスタートアップや事例を追いかける連載シリーズXimera Media Next Trendsの第54回となる今回は「ハイパーパーソナライゼーションによるビジネス価値向上の可能性」を取り上げます。

一部の組織、専門家、富裕層などにしか利用できなかった専用品や専用サービスが、技術進化により誰でも利用できる形に展開される流れはあらゆる産業で起こっている現象です。


例えば、現在のインターネットはアメリカ国防総省で専用のネットワーク(ARPANET)が作られ大学や研究機関で運用されたことが起源になっています。これが時代が経つにつれ、プロトコルの標準化や大学間や企業間でのネットワーク化が進んだこと、電話線を利用したダイアルアップの仕組みができたことで、一般の人々も使えるようになっていきました。


ファッションでも同じように、19世紀末頃は、オートクチュールと呼ばれる、デザイナーが手掛ける高級仕立てオーダメイドのアパレルが富裕層のみに提供されていましたが、1970年代よりパターン化された型紙から大量受注して生産する方式のプレタポルテと呼ばれるデザイナーが手掛ける既製服が台頭しました。プレタポルテの登場によって、オートクチュールに手が出なかった一般大衆が、今では当たり前のように高級メゾンの服を着用できるようになりました。さらに、近年ではユニクロやH&MやZaraなどプチプラファッション企業が、プレタポルテのデザイナーを起用して大量生産を背景にさらに安い価格でデザイナーズアパレルを提供するなど、汎用化・大衆化の流れはさらに加速しています。


上記は専用品/サービスの技術進歩による汎用化の例ですが、この次に起こったのが各個人へのコンテンツ最適化です。AmazonやTikTokのように、自分の好みや嗜好にあわせたコンテンツが推薦されるレコメンドシステムは統計学や機械学習の技術進歩の成果として活用されていますし、ファッションで言えば自分の体型にあったオーダーメイドシャツが画像認識技術によってオンラインでも計測可能となりました。


このように専用 => 汎用 => 個別最適化への流れは、人間は一人一人体形から考え方まで異なることを考えると、起こるべくして起こっていると考えられます。直近でも、LLMのように汎用AI => 各ドメインに最適化されたAI が開発されているように、より専門的/個別的な体験の提供が進んでいます。

次世代で起こりうる個別最適化(ハイパーパーソナライゼーション)

主に実用化されメディアやコマース業界で個別最適化の技術として広く利用されているのは、コンテンツパーソナライゼーションです。TikTok/Youtube/Netflixなどの動画レコメンド、Amazonのおすすめ商品、ニュースサイトで次に読むべきニュースまであらゆるところで利用されています。


コンテンツパーソナライゼーションはユーザエンゲージメントやリテンションに直結するので、優先的に技術進化が起こってきましたが、ユーザエクスペリエンスにおいて個別最適化がまだされていない領域も残っています。


特にビジネス的に重要でまだ普及していないのは、ユーザインターフェースの個別最適化です。コンテンツは自分の好みになっている一方で、製品やサービスの価格の提示方法は個人毎に受容性が異なるはずなのにほとんどの場合均一です。またなにか購入する際の入力方法(例えば、eコマースサイトの住所・氏名などを入力するフォーム)もあらゆるユーザに対して画一的なユーザインターフェースが提供されています。


現代のシステムは、アプリやWebサイトやメールなどUIを部品化し、基本的なフレームを決めた上で、その制約の中でほぼコンテンツのみがパーソナライズされ配信されています。次に進化が起こるとすれば、各ユーザに個別最適化されたユーザインターフェースが提供されることになると考えられます。例えば、「人によって価格提示の方法(フォントサイズ、色、表示場所など)が変わる」、「目の見えない人には自動で音声入力モードに切り替わる」、「eコマースサイトで人によって入力しやすい順番にフォームの順番・フォントサイズ・カラーが変わる」、などが挙げられます。


特にサービスや商品の購入を意思決定する際の入力/出力に関するユーザインターフェースは、人々の需要やビジネスの改善可能性を鑑みると、大いに最適化される余地があります。具体的にどのような可能性があるのかについて本稿では価格提示に関する事例を取り上げていきたいと思います。

事例: 価格心理とパーソナライズの可能性

商品価格の提示の方法によって、同じ価格であっても人間の受け取り方は大きく異なります。これまでの研究で、人間は下記の要素によって価格の安い/高いを判断する Reference Price(参照価格)という概念があることが明らかになっています。つづきを読む

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XMNTはいつもコアなファンがかなり長く読み込んでいかれます

物事に対する捉え方を増やしたりアイデアを吸収したりしましょう

Magnetを下までご覧いただき、ありがとうございます。


広告制作をされている編集者は今頃が稼働のピークではないでしょうか。年末に向けて休む暇なしの方もいらっしゃるかもしれません。加えて企画ものなども多くなる時期です。いつものことながらお身体と心も大切に。負担がかかったら立ち止まって10分深呼吸です。


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11月も後半。みなさまどうかお元気で。

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