1. 平均的な投資家は、金融機関に投機に巻き込まれている
日本人の投資家の円以外の資産(投資信託や外債)の平均保有期間は2年間で、アメリカでは7年間だそうだ。すなわち日本人は1つの資産をやたらと売り買いしていることになる。日本で投資教育が叫ばれて久しいが、私どもはそれがうまくいかない原因は銀行や証券会社が手数料商売をやめないことにあると思っている。
まとまった現預金があるとすぐ銀行員が、証券会社が電話してくる。そして分厚い手数料を支払った上で投資信託を買う。手数料収入が欲しい金融機関は何かと理由をつけて売買を繰り返そうとする。しかしその都度手数料は取られるわけで、資産が目減りする。
「資産は売買を繰り返すものだ」
金融機関の刷り込みによって、投資家にもこのような刷り込みがあるのではないだろうか。手数料がかかる売買は極力避けるべきで、今回のロシアのように株式市場にアクセスできなくなるような事態を除いて売買を繰り返すべきではない。
また主観的な売買はもはや資産運用ではなく投機である。私は日本の大手証券会社出身だが儲かっている証券口座は10口座に1口座、FX取引の口座では1,000口座に1口座ほどである。レバレッジの効くFX投資は悲惨な状況だ。
これほどまでに日本人投資家が投機に巻き込まれているのは、ひとえに金融機関に金融サービスのバラエティがないからだ。私どものようなアドバイスのみのサービスや、弁護士のような従量課金など海外では様々な金融サービスが存在する。これはひとえに投資家から選ばれない(=資産を増やせる蓋然性がない)サービスは淘汰されていくことを意味する。
また、仮に円転したとして今度いつドル転するのか? 我々が見聞きした中で、これがうまくいっている投資家はいない。すなわちドル資産を円にしたところで、今度は円資産をドルにするタイミングを見失い続けるということになる。たしかに数字だけみるとリーマンショック直後のようなドル円80円という水準が今後来るかもしれない。しかし当時は全世界が阿鼻叫喚地獄で、その時点で果たしてドルに変えられる人はどれだけいただろうか。
タイミングを見計らって失敗するのであれば、そもそもタイミングは見計らわないほうがいい。
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