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IFAスイッチ

ニュースレター | 2022年11月号

【マーケット概観】
円安傾向が長引きそうだとういことがプロの投資家だけでなく個人の投資家にまで広く共有されるにつれて「いったん資金を引き上げたほうがいいのではないか」というご相談をいただく機会が増えた。これについては私どもの答は常に一定だ。

「円での資金需要があるなら、引き上げてください」

すなわち手元に円の現金が必要であればドルでの投資を引き上げたほうがいいというアドバイスである。おそらく「資金を引き上げたほうがいいか」という質問をしている方の主旨は「今後もし円安が一定程度続くのであれば、ドル高円安の間にドル資産を売却しておき、再びドル安円高にふれたときにドルに戻せば良い」であろうが「円での資金需要があるなら、引き上げてください」という我々のアドバイスは全くその問いに答えていない。

クライアントは現在の円ドル水準の妥当性を聞いているにも関わらず、私どもはそれに答えないわけである。それは口座が閉じられてしまうと私どもの商売が細る、というようなチンケな理由ではない。なぜこのようなアドバイスをするに至ったかの理由を説明したいと思う。

1. 平均的な投資家は、金融機関に投機に巻き込まれている


日本人の投資家の円以外の資産(投資信託や外債)の平均保有期間は2年間で、アメリカでは7年間だそうだ。すなわち日本人は1つの資産をやたらと売り買いしていることになる。日本で投資教育が叫ばれて久しいが、私どもはそれがうまくいかない原因は銀行や証券会社が手数料商売をやめないことにあると思っている。

まとまった現預金があるとすぐ銀行員が、証券会社が電話してくる。そして分厚い手数料を支払った上で投資信託を買う。手数料収入が欲しい金融機関は何かと理由をつけて売買を繰り返そうとする。しかしその都度手数料は取られるわけで、資産が目減りする。

「資産は売買を繰り返すものだ」

金融機関の刷り込みによって、投資家にもこのような刷り込みがあるのではないだろうか。手数料がかかる売買は極力避けるべきで、今回のロシアのように株式市場にアクセスできなくなるような事態を除いて売買を繰り返すべきではない。

また主観的な売買はもはや資産運用ではなく投機である。私は日本の大手証券会社出身だが儲かっている証券口座は10口座に1口座、FX取引の口座では1,000口座に1口座ほどである。レバレッジの効くFX投資は悲惨な状況だ。

これほどまでに日本人投資家が投機に巻き込まれているのは、ひとえに金融機関に金融サービスのバラエティがないからだ。私どものようなアドバイスのみのサービスや、弁護士のような従量課金など海外では様々な金融サービスが存在する。これはひとえに投資家から選ばれない(=資産を増やせる蓋然性がない)サービスは淘汰されていくことを意味する。

また、仮に円転したとして今度いつドル転するのか? 我々が見聞きした中で、これがうまくいっている投資家はいない。すなわちドル資産を円にしたところで、今度は円資産をドルにするタイミングを見失い続けるということになる。たしかに数字だけみるとリーマンショック直後のようなドル円80円という水準が今後来るかもしれない。しかし当時は全世界が阿鼻叫喚地獄で、その時点で果たしてドルに変えられる人はどれだけいただろうか。

タイミングを見計らって失敗するのであれば、そもそもタイミングは見計らわないほうがいい。

2. 資産運用は時間軸を可能な限り長く取るべき


上記で書いたように、短期の資産売買は限りなく投機に近づく。「投資はギャンブルだ」と言う人がいるが、それは一面では当たっている。ギャンブルと資産運用を分けるのは運用期間のとり方だ。「1年間で2倍にしたい」と思うのがギャンブルで、「10年間で2倍になればいい」と思うのが資産運用だ。もしかしたら10年で2倍にならないかもしれないが、統計的には十分に分散されたポートフォリオで10年で資産が2倍になる確率は80%前後だ。

この投資期間さえ十分に取れば勝ちが保証されるゲームが資産運用である。あくまで十分に分散されたポートフォリオを長期間(10年以上)保有し続けることが前提なので、この前提をわざわざ自分から捨てにいくのは本末転倒だ。

3. 個人のBS/PLの観点がない


日本人の投資家のほとんどは収入を日本円で受け取っている。すなわち資産は日本円に偏りがちということになる。個人の資産運用において、法人では当たり前に存在するバランスシート(BS)と損益計算書(PL)の観点は必要だ。ポートフォリオの半分を円資産、残り半分をドル資産とするとするとキャッシュフローのほとんどが円であればほとんどの期間はドルを買っていなければならない。

家を買う、事業を始める、クルマを買うなどまとまった支出がある場合に円資産とともにドル資産を切り崩す。ポートフォリオの円ドルの割合は変えずサイズだけ変更する。円で稼いだ余剰分をドル転するなら、ドルを円転しなければいけない理由は限られてくるはずだ。

4. そもそも私どもに為替を見通せる能力はない


あと、最後に付け加えておかねばならないが為替を長期に渡って見通すなど不可能だ。現在は連銀が金利を高くしていく局面で、また日本も黒田総裁が辞めた後でも金利水準は極めて低くとどまるだろう。金利差が広がれば金利目当てに円が売られドルが買われることは想定できるが、数日前のような一気に8円も動く局面というのは想定していないし、仮に想定できていたとしてもFX投資のようにマーケットにすぐに入れてすぐに出られる準備が必要だ。我々はそのような投機的行動はできないししない。またそもそも為替を見通せる能力もない。

以上のような理由から、結果として

「円での資金需要があるなら、引き上げてください」

という的外れのようなアドバイスをするわけである。

ポートフォリオ


インフレが落ち着くなら、今後株価には追い風に

先月も「株価が低調ならドル資産を積み増し、株転を」と書いたが今でもそれは変わらない。インフレが収まったと結論するのはまだ早いが、いずれにしろこのペースで金利上昇が続けばいずれインフレが収まる。そしてまた景気後退がやってくるが、景気後退をすでに金融市場はすでに織り込んでいることから株価の底は意外と早いかもしれない。
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【今月のお悩み相談】


【ご相談】リターンが良くないので他の投資に回したい

フレンズで積み立て投資をして10年になりますが、一部引き出しを考えています。資産を分散していくつか投資をしているなかで、フレンズよりも他でやっている株やFXの方が利益が出ており、初期口座分以外を利益が出ているところに移行した方が利益が増える気がしています。また、他社で一括で運用もしていますがマイナスになっており、こちらは契約から5年経過して解約手数料を支払わずに解約出来るので、その分と今回の一部解約金を香港HSBCに送金する予定です。



【IFAスイッチからの回答】長期積み立て投資と短期投資は全く別物とお考えください

他の運用の方が利益が出ているとの事でございますが、フレンズ社の長期積み立て投資と、その他の投資、例えば株式、不動産、FXなどとは全く性質の違うものですので、リターンを比較することに意味がありません。長期積み立て投資の初期においては、リターンが高いか低いかを見るのではなく、むしろリターンを度外視して愚直に積み立てる事が重要です。もちろん、長期的にリターンが見込めるポートフォリオになっている事が前提です。

昨今、日本政府に海外資産がバレない内に積み立て投資を解約してもっとリターンの良い投資に回しましょうという投資詐欺が流行しているようです。そのような話を受けてではないとは思いますが、慎重にご検討下さい。せっかく10年積み立ててきたものを解約してしまうのはもったいないです。長期投資は長期間積み立てて初めて意味があります。
 
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【目次】
誤解1. IFAってすごい能力の持ち主なんでしょ?
誤解2. 年利10%はカタイって聞いたけど?
誤解3. 英語が分からなくても問題ないんでしょ?
誤解4. 積立は数年過ぎれば止められるんでしょ?
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