コパイロツトメンバーとして働きながら、現役の大学院生として研究活動に取り組んでいる八木が、北欧への2.5カ月間の研究出張から戻りました。
彼は主に社会学(実践理論)・哲学(プラグマティズム)に基づいた、プロジェクトマネジメントの理論研究を行っています。コパイロツトでは、プロジェクト研究のコミュニティである「Project Sprint Quest」の推進や、共創型オンラインカレッジ「Project Climbing Challenge」の企画を通じて、新しい価値を創造するプロジェクトチームのための方法論を探究しています。
この夏、彼が訪れたのはアジャイルトランスフォメーションに取り組んでいる企業や、プロジェクトを通してチェンジメーカーを育成する「Kaospilot」(デンマーク)、多種多様な研究者がサステナビリティに向けたプロジェクトを展開している「Stockholm Resilience Centre」(スウェーデン)です。
先日10/31に行われた報告会では、北欧で行われているプロジェクトの特徴とその意義について語り合いました。プロジェクトのキックオフを行う前に1-2か月もの時間をかけて、WHYのすり合わせや働き方について議論をするプリジェクト(preject)、サステナビリティという大目標に向かってあえて計画を立てず、複雑適応系として個人起点でプロジェクトを組み立てる働き方、稼働時間の40%を自分の好きなプロジェクトに費やしている大手金融ソフトウェア会社の思想などについて共有がされました。
日本におけるオーソドックスなプロジェクトの在り方から考えると「そんなことで本当に成果が得られるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかしこうした事例から、複雑なプロジェクトに対処できるチームを作るヒントがあると、彼は考えているそうです。
いま、わたしたちが携わる多くのプロジェクトは複雑化しており、チームメンバーにはより強い多様性と、個々人による適切な状況判断と意思決定、さらに不確実性への柔軟な対処が求められます。それを成し遂げるために必要なことは何か——メンバー同士の信頼関係や個々人のエンゲージメントが不可欠であることを踏まえると、一見して非合理な前述した活動も、自ずと腑に落ちる点があるのではないでしょうか。
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