背景
「営農型太陽光発電(agrivoltaics)」が世界的に注目を集めています。その市場は2031年には1.2兆円に成長すると考えられています。
営農型太陽光発電が世界で注目を集めているのは、同じ土地で農業と太陽光発電を行うと、土地の利用効率が向上する(限られた国土の有効活用)と同時に農業と太陽光発電の相互に良い影響があるからです。1981年ドイツで提唱されたこの方式は、2004年に日本で実用化されてから、現在、世界25カ国余りで実践されています。市場規模も年率10%で拡大しており、2021年の市場規模は36億米ドル(4,800億円)、2031年には93億米ドル(1.2兆円)に成長すると見込まれています。各国の研究者は、全農地1%~数パーセントを営農型太陽光発電にするだけで世界の電力需要はまかなえるとしています。
市場の成長にともない、各国で研究・技術開発や法制度整備も活性化しています。
現在5種類を数えるまでになった営農型太陽光発電の国際会議ですが、その走りとなったのが、今回、韓国で開催される「AgriVoltaics2023」(会期:4月12日~14日)です。毎年各国持ち回りで開催されており、2020年フランス、2021年ドイツ、2022年イタリアに次いで第4回目、アジアでは初の開催となります。昨年のイタリア会議には世界46カ国、500人の参加がありました。韓国での会議終了後、海外ゲスト約50名が来日し、4月16日~18日の日程で日本の視察ツアーとセミナーが開催されます。
現在、日本は普及先進国で全国に4,000カ所近い営農型太陽光発電の農場が存在しますが、研究開発や法整備面では急速に発展してきている欧米諸国に学ぶべき点がすでに出てきています。営農型太陽光発電にかかる各国の制度・政策の現状を踏まえて、共通課題の解決に向けたよりよい制度整備に向けたあり方について議論します。
|
|