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ISEP コミュニティ・パワー ニュース
ISEP

コミュニティ・パワーについて

「コミュニティ・パワー」とは、地域の人々がオーナーシップをもって進める自然エネルギーの取り組みのことを指します。コミュニティ・パワーの実践は国内外の各地で進んでいて、この考え方と取り組み方は世界的にも新たな潮流をつくり出しています。
 
そういった取り組みが正確に理解され広がっていくことが重要との観点から、世界風力エネルギー協会は「コミュニティ・パワー・ワーキング・グループ」を設置し、世界中でコミュニティ・パワーに取り組む人々と議論を積み重ね、下記のように「コミュニティ・パワーの三原則」を定義しました。

コミュニティ・パワーの三原則

  1. 地域の利害関係者がプロジェクトの大半もしくはすべてを所有している
  2. プロジェクトの意思決定はコミュニティに基礎をおく組織によっておこなわれる
  3. 社会的・経済的便益の多数もしくはすべては地域に分配される
※ この3つの基準の内、少なくとも2つを満たすプロジェクトは 「コミュニティ・パワー」として定義されます

コミュニティ・パワー会議報告


■ 開催概要

日時:2012年3月8日(木)10:00〜16:45
会場:日本科学未来館 みらいCANホール
主催:環境エネルギー政策研究所
共催:世界風力エネルギー協会、日本再生可能エネルギー協会、自然エネルギー財団、JST地域エネルギーファイナンス研究会
Webサイト

■ 主催者より

まずは、3月8日のコミュニティ・パワー会議にご参加いただいたみなさまに改めて感謝申し上げます。

今回のコミュニティ・パワー会議は、国内外で先行して地域の自然エネルギーに取り組んできた方々と、これから国内で取り組みを進めようとしている方々の対話から、今後それぞれの地域でどのように具体的に進めていけばよいのか手がかりを探ることを目的に開催しました。3つセッションは、それぞれ海外スピーカーの基調講演+登壇者の対話で構成し、「コミュニティ・パワー」の考え方と具体的な実践を材料にさまざまな論点で議論が交わされました。


■ セッション1:ビジョンと実現

セッション1では、100%自然エネルギーを達成したデンマーク・サムソ島のサムソ・エネルギー・アカデミー代表 ソーレン・ハーマンセン氏の基調講演の後、地域でどのように将来のビジョンを共有し、考え方や行動の仕方が違うさまざまな人々とどのようにコミュニケーションし、具体的にカベを乗り越えていくのかについて議論が交わされました。

■ セッション2:オーナーシップと市民参加

セッション2では、「コミュニティ・パワー」の三原則を定義した世界風力エネルギー協会事務局長のステファン・ゼンガー氏の基調講演の後、実際に地域でプロジェクトを進めていく上での市民参加や社会的合意形成の重要性、取り組みの中心となるリーダーのあり方、それを支えるサポーターのあり方などについて議論が交わされました。

■ セッション3:地域と世界のネットワーク

セッション3では、カナダ・オンタリオ州での固定買取価格制成立に尽力し、現在コミュニティ・パワーの人材育成に取り組んでいるヨーク大学准教授のホセ・エチェベリー氏の基調講演の後、世界のコミュニティ・パワー関係者のネットワークの広がりや、国内外の地域が国や組織を超えて相互に知識や情報をやりとりする実例、公式/非公式なネットワークなどについて議論が交わされました。

■ 総括コメント

総括コメントでは、法政大学サステイナビリティ研究教育機構・機構長の舩橋晴俊氏から、現在のコミュニティ・パワーの動向は1960〜70年代の公害問題を克服した変革プロセスに非常によく似ていることが指摘され、これが実りあるものになるためには市民による積極的な調査・勉強会に加え、国や自治体による政策・制度的支援が不可欠であることが述べられました。

最後にISEP所長飯田哲也より閉会挨拶として、今回の会議の中で見えてきたコミュニティの取り組みの重要性をより多くの人に伝え、実践しようとする人々を支援する枠組みとして「ISEP Energy Academy」の構想が発表されました。今後、ISEP Energy Academyの枠組みのもと、地域での実践支援、国内外視察、ネットワーキングなどに加え、将来この分野で活躍することを目指す学生を支援する奨学生制度などの活動を展開していくことを考えています。

ISEPでは今回の会議の成果を活かし、さまざまな地域でのコミュニティ・パワーの実現を目指していきます。今後も引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

古屋 将太(ISEP研究員)
 
※ 当日の映像にボランティアで日本語の字幕を付けていただきました。下記のリンクよりご視聴いただけます。映像画面左下で「Japanese」を選択して再生して下さい。(字幕/宮澤晶)
Session 1

セッション 1

ビジョンと実現
基調講演:
 Søren Hermansen
モデレーター:
 古屋 将太
登壇者:
 鈴木 亨
 武本 洋一
 志澤 昌彦
 葦木 美咲

当日の映像はこちら
※ 映像画面左下で「Japanese」を選択して再生して下さい。
ソーレン・ハーマンセン トークイベント

風の島へようこそ

ソーレン・ハーマンセン × まつむらゆりこ トークイベント: 

サムソ島の取り組みを描いた英語の絵本「Energy Island」が日本語に翻訳され『風の島へようこそ』として刊行されました。この本の主人公ソーレン・ハーマンセンの来日にあわせて、3月10日(土)銀座・教文館ナルニアホールで訳者の松村由利子さんとソーレンさんのトークイベントが開催されました。このイベントは福音館書店、教文館、ISEP、作家・大野更紗さんの協力で企画・開催され、約30人の参加者が間近で2人の話しを聞きました。

サムソ・エネルギー・アカデミーWebサイトでの掲載ページはこちら
Session 2

セッション 2

オーナーシップと市民参加
基調講演:
 Stefan Gsänger
モデレーター:
 山下 紀明
登壇者:
 原 亮弘
 丸山 康司
 保坂 展人
 田宮 麻友美

当日の映像はこち
※ 映像画面左下で「Japanese」を選択して再生して下さい。
世界風力エネルギー会議2012

WWEC2012

世界風力エネルギー会議 2012:

ステファンさんが事務局長を務める世界風力エネルギー協会が毎年開催している世界風力エネルギー会議。今年は
「コミュニティ・パワー(市民の力)」をテーマに7月3〜5日ドイツ・ボンで開催されます。世界各地からコミュニティ・パワーに取り組むさまざまな人々が集い、経験や知識を共有し、新たなネットワークをつくります。

会議のWebサイトはこちら
Session 3

セッション 3

地域と世界のネットワーク:
基調講演:
 José Etcheverry
モデレーター:
 飯田 哲也
登壇者:
 服部 乃利子
 Søren Hermansen
 Stefan Gsänger

当日の映像はこち
※ 映像画面左下で「Japanese」を選択して再生して下さい。
RETScreen

RETScreen

RETScreenクリーンエネルギープロジェクト分析ソフトウェア:

ホセさんの基調講演でも紹介されていたRETScreenは地域で自然エネルギープロジェクトを検討する際に、地理的データや経済的データを入力することで誰でも簡単にプロジェクトの実行可能性を分析することができるソフトウェアです。カナダ政府によってすべて無料で提供されているこのソフトウェアは日本語を含む多言語に翻訳され、世界222カ国、31万5千人以上の人々が利用しています。

RETScreenのWebサイトはこちら
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