■ 要旨と提言
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2011年夏の東京電力と東北電力は電力制限令などの節電努力で、ピーク・平均とも前年比20%の節電効果があった
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2011年夏なみの節電で、原発が全停止・再稼働なしでも、全ての電力会社で2012年夏の電力を賄える
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原発再稼働問題と電力需給問題は切り離し、前者は安全性と社会合意により判断すべき
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政府は、需給調整契約の拡充やピーク料金など市場を活用した需要側管理(DSM)の促進を重心的に実施すべき
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政府および電力会社は、過大に見積もった需要を固定視せず、「節電発電所」と見なした需給対策をすべき
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政府は、省エネ・節電投資を促す施策を拡充し、構造的な節電による電力費用総額の削減を促すべき
■ はじめに
2011年3月11日に発生した東北関東大地震とそれに続く巨大津波によって、福島第1原子力発電所において国際原子力事象評価尺度レベル7という深刻な原子力災害が発生し、東京電力・東北電力管内の主要電源が被災した。福島第一原発から放出された大量の放射性物質は、東日本全体の広い地域で様々な被害をもたらしている。多くの住民がいまだに避難を強いられ、農林水産業だけでなく地域の産業が活動停止をよぎなくされた。製造業を含む日本の輸出品が、輸出を拒否されたり、放射線検査を求められ迷惑したこと、農林水産業だけでなく交通や観光産業など幅広い産業に深刻な影響をもたらし、雇用者数5万人に満たない原子力産業のためにその数倍の失業が発生する「原発不況」の状況にある。
東京電力管内では夏の需要ピークでの電力需給の見通しから2011年7月1日より大口需要家に対する15%の電力使用制限等が発令され、ピーク需要に対して20%近い節電効果が実証された。国民の多くが脱原発を望む中、日本政府も脱原発依存の方向性を打ち出し、エネルギー政策の根本的な見直しが始まっている。
一方、2012年夏の電力需給が逼迫するという関西電力からの一方的な見通しから、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を目指す政府の手続きが四大臣と経産省により進められている。2012年4月6日には、東京電力福島第一原発事故は津波が原因であって地震や老朽化の問題ではないとの総括のもとに、四大臣会合により、安全対策工事の計画さえ提出すれば工事が終わっていなくても再稼働を認めるといった再稼働暫定基準が発表された。4月13日には四大臣会合においてこの基準にもとづき関西電力大飯原発3、4号の再稼働が妥当とされた。
このペーパーでは、この2012年夏の電力需要のピーク時に、日本全国の原発の再稼動がまったくなくても電力の供給について問題がない様な需給対策は十分に可能であることを、これまでの実績データをもとに示す。
1. 2011年夏と2012年冬の電力需給の実績
3.11の東京電力福島第一原発事故以降、定期点検に入った全ての原子力発電所について安全性の確認が困難なことから再稼動が出来ず、地震やトラブルでの停止とあわせ、2011年8月末までに全体の約8割の原発が停止した。一方、2011年の夏は企業や家庭の節電により、ピーク電力は東京電力管内で前年より18%削減され、全国でも13%削減されたため、原発が8割停止していても電力需給には問題は生じなかった。3.11以前には「電気ノコギリでバターを切る」かのような無駄な電気の使い方があふれていた日本の社会が、3.11事故を契機に節電・省エネに取り組み、豊富な電力を前提とした大量消費の見直しに踏み出した。
この状況を電力会社ごとに詳しくみると、表1の通り、2011年夏には、企業および家庭の大幅な節電効果があったことがわかる。大口需要家に対して強制的な15%の電力使用制限が行われた東京電力と東北電力管内では、例年に比べてピーク時の電力需要が20%低下、それ以外の電力会社においても節電が行われ結果、全国で前年比13%削減がみられた。また、2012年1月までに全国の原発の9割が停止したが、1月は冬のピークの需要期にあたり、2012年1月の最大電力は前年同月と比べ4%削減、原発の大半が停止しても電力需給には問題は発生しなかった。また、関西電力ではこの2012年1月のピーク時の供給力の実績が、2011年10月の段階でISEPが予測した供給力とほぼ同じレベルであった。
以上のことから、原発の再稼働をしなくても2012年夏のピーク時の電力需給を満たせる節電対策が可能なことは、2011年夏と2011年冬の実績ですでに立証されつつある。
表1. 2011年夏の節電効果(最大電力の削減)
需要側の電力量の削減実績を検証すると、原発をもつ9電力平均で電力量の平均8%の削減が得られたが、事業所あたりで最も電力消費量の大きい「特別高圧」では、東北・東京電力エリアでピークカット15%義務を課されているにも関わらず、電力消費量の削減率が最も小さい(表2)。特別高圧の削減率が小さい傾向は9電力全体だけでなく東北・東京電力エリアでも同様である。特別高圧契約に多い大規模工場では、省エネ設備投資などピーク電力も電力量も両方減らす対策を選ばず、ピーク電力シフトの対策を選択したため、表11で後述するように、各種のしくみで、電力量も減る多くの対策を促す余地があることを示唆している。
表2. 契約種別ごとの電力消費量と削減率など
*特別高圧を含む平均
電力量:資源エネルギー庁「電力調査統計」、電気料金:日本エネルギー経済研究所「エネルギー経済統計要覧2012」
契約口数:電気事業連合会ホームページ「電力自由化の概要」、利益:東京電力に関する経営・財務調査委員会報告書
2. 政府も「足りる」と判断する2012年夏の需給
政府のエネルギー・環境会議(議長:国家戦略大臣)は、2011年11月1日の報告で、電力需要を2011年夏なみに抑制できれば、つまり2011年夏なみの節電を実施すれば、日本全体の電力需要1億5661万kWに対し供給力は1億6297万kWと、636万kWの供給予備(4%の予備率)があると発表、経産省の詳細発表によれば全国で8%の供給予備率が確保され、東日本3社、中西日本6社全体での不足はないとされた(表3)。また、政府発表では表3のように北海道、関西、四国、九州が「不足」とされた。しかし、九州電力の様にその後修正されていたり、北海電力での真夏の定期検査、四国電力の様に需給が微妙な電力会社が他社に融通して「不足」になる、という不自然な「想定」をやめれば、追加対策(他社からの融通を含む)が必要なのは関西電力だけであることがわかる。
政府はこの電力需給対策のために5794億円(国民一人あたり約5000円、4人家族なら2万円)の予算を投じ、需要削減980万kW(対応する政府予算は2493億円)、供給力増強642万kW(対応する政府予算は3301億円)、あわせて1622万kW増強を確保、しかもこの対策は2013年には1936万kW、2014年には2171万kWに増加し、「需給構造の改革が社会に定着」するとしていた。関係省庁および関係各社が確保された予算を誠実に使ってこれらの電力需給対策をしていれば、再稼働はそもそも必要ないことになる。
表3. 2011年並み節電時の政府見通しによる「不足」(注:ISEP見通しは表4以降)
*微修正は、主な「不足」理由に挙げた説明のつかないものを除去。
3. 2012年夏の需給
(1)全国(沖縄電力を除く9電力)
原子力発電所の再稼動が今後とも行われない場合の2012年夏(7〜9月)の電力の需給の見通しを検討する。
図1および図2、表4および表5に示すように、2011年なみの節電をもっとスマートな方法で実施して最大電力を2011年夏なみにおさえ、発電設備を再点検して供給力を見直すと、2012年の夏に全ての原発が停止したままでも、電力ピーク時に全国で16%以上、東日本3社で24%以上、中西日本6社で11%の電力需給の余裕を確保することができるはずである。よって、電力需給の逼迫を根拠として、原子力規制の体制確立や安全性が十分に確認されていない状況の中で原子力発電の再稼働をすることはあり得ない。
図2. 2012年夏の電力会社別の電力需給(ISEP推計)
表4. 2012年8月のピーク時の電力需要予測(政府およびISEP推計の比較)
政府予測の供給力は経済産業省(2011年11月)、ただし4大臣会合資料(2012/4/13)の関電融通分を反映。
関電分は4大臣会合資料(2012/4/13)
設備容量は、停止原発を除く。
表5. 9電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
関電の追加対策150万kWを含む(供給力の合計に計上)。
(2)東日本3社の夏の電力需給
東日本3社(北海道電力、東北電力、東京電力)の2012年夏のピーク需給予測についてISEPと政府の予測を比較して表6に示す。政府予測でも東日本は余裕がある。これに、真夏の定期検査の延期(北海道電力苫東厚真4号、70万kW)や、揚水の活用などを行うと、24%もの余力が確保できる。これにより、中部電力経由で、関西電力に送電することもできる。電力需給には余裕があり、再稼働の必要はない。
表6. 東日本3電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
(3)中西日本6社の夏の電力需給
次に中西日本6社(中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力)の2012年夏のピーク需給予測についてISEPと政府の予測を比較して表7に示す。
政府予測でも中西日本全体で供給余力が見込まれている。これに、揚水の活用などを行うと、11%の余力が確保できる。これに追加して、中部電力経由で、東日本3社から融通することもできる。つまり、中西日本全体では余裕が有り、原発再稼働の必要はない。
表7. 中西日本6電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
関電の追加対策150万kWを含む(供給力の合計に計上)。
(4)関西電力
次に、2011年夏の電力需給が他の電力会社と比べて相対的には厳しい関西電力についてピーク時の電力需給の予測を示す。
表7に示したように、中西日本6社全体では余裕があるが、関西電力だけに限ると、表8のように約150万kWの追加対策があれば、原発なしに余裕をもってピーク時の電力需給を確保できる。この追加対策の例を表9に示す。表4に示したように供給力に比較的余裕をもつ中部電力と中国電力からの融通、管内での節電対策の追加、域内外の自家発電力調達などによる供給力増強と多様な追加対策がある。
表8. 今夏の関電の需給予測(原発全停止)
表9. 関西電力の追加対策の例
4. スマートな需要削減とそれを促す手法
2011年夏のピーク時の電力需要の削減対策は、準備が不十分だったこともあり、冷房を切る、夏休みを長くする、ピーク需要時間帯の平日昼間から深夜あるいは休日に労働時間帯を移す、生産拠点を西日本に移す、など、少々無理をして節電対策がとられた傾向があった。政府は、2011年夏の対策の総括として、産業にとってはコストのかかる対策が多かったとまとめた。さらに、2012年4月13日の四大臣会合資料では、生産減、深夜休日労働シフトなど、コストや労力がかかる節電対策、あるいは家庭でクーラーを止めて扇風機使用など、条件によっては健康や生命に関わる対策対策ばかりを列挙している。
しかし、本来、ピーク時の需要削減としての節電は、旧型機器の更新で快適性を保ちながら電力消費を半分にする方法や、大口需要家で多くの空調機器の負荷を平準化する方法、などなど様々な手法があり、表10のようにスマートな節電対策が数多くある。さらに、これらの節電対策を促すインセンティブの手段として、表11のような手法がある。こうした手法を、関西電力エリアをはじめとして全国に拡大し、ピーク電力の需要抑制を行い、かつ電力消費量を削減することにより、原子力発電に依存しない電力の安定供給が確保され、経済的にも大きなメリットを得ることが可能である。
表10. スマートな節電対策の例
表11. ピーク時の節電を促す各種インセンティブ
おわりに
2011年3月11日は、日本にとって、明治維新、太平洋戦争敗戦に次ぐ、歴史的な「第3のリセット」の日となる。もはや過去の体制には戻れないし、戻ってはならない。震災による数多くの犠牲はもとより、福島原発事故という「人災」が私たちに与えたとてつもない恐怖や今後長い年月にわたって向き合わなければならない。放射能汚染という厄災を捨て石にしてはならない。
そのためにも原子力発電の再稼動は、全ての安全上の条件をクリアし、かつ事故発生時の損害賠償や防災体制などの全ての条件が揃った上で無ければ認められず、その条件が整うことは基本的に困難だと言える。その想定の上で、今年2012年の夏に向け日本全国で原子力発電所が5月に全て停止し、再稼働しない想定での電力需給を前提として、有効かつ合理的な節電への取組み供給力の確保を行う必要がある。そうした状況の中、短期的な火力発電所の活用を前提としつつも、原子力発電所に頼らない電力需給を確立し、長期的な視点で高い導入目標を掲げて自然エネルギーの全国的な普及と、省エネ技術の全工場・事業所への普及に本格的に取り組むことが必然である。
付録 「各電力会社の電力需給予測(政府およびISEP推計の比較)」
A. 北海道電力
北海道電力は冬に需要のピークがある。北海道電力は全原発が停止しても冬の需要を大きく上回る設備がある。
政府は2012年8月に12万kWの不足を見込んでいるが、真夏に北海道電力では最も大きい苫東厚真石炭火力4号(70万kW)が定期検査をすることになっている。これが春や秋の需要の小さい時期にシフトするだけで供給不足は解消される。
2011年夏なみの需要削減に加え、発電設備の活用で、原発全停止でも夏は大きな余裕を見込むことができる。
表A1. 北海道電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
B. 東北電力
東北電力は震災で全原発と、自社・他社の石炭火力などが停止した。福島第一原発に近い原町石炭火力については復旧の見通しがたたないが、他の火発は復旧が進んでいる。原発は他社受電の日本原電東海第二を含め、震災被害・津波被害を受け女川では地震で1mもの地盤沈下があった。青森県の東通では余震時に電源喪失もあった。東北電力の原発は再稼働は考えられない。
東北電力については、2011年夏なみの需要削減により、政府も大きな供給余力を想定している。これに加え、発電設備の活用で、来夏は大きな余裕を見込むことができる。
表A2. 東北電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
C. 東京電力
東京電力は震災と事故で、原発13基、自社・他社の石炭火力などが停止した。事故の当事者でもあり、また福島県には脱原発方針を突きつけられ、原発の再稼働は考えにくい。一方、火発は他社受電も含め、復旧が進んでいる。
東京電力について、2011年夏なみの需要削減により、政府も大きな供給余力を見込んでいる。これに加え、発電設備の活用で、全ての原発が停止したままで、この夏は大きな余裕を見込むことができる。
表A3. 東京電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
D. 中部電力
中部電力は、東海地震震源域に立地する浜岡原発が政府の要請で停止された。需給にはもともと余裕がある。
政府も、2011年夏なみの需要削減により余裕を見込んでいる。これに加え、発電設備の活用で、原発全停止でも夏には大きな余裕を見込むことができる。
表A4. 中部電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
E. 北陸電力
北陸電力は、志賀原発が停止中であるが、原発全停止は過去にも経験があり、需給にはもともと余裕がある。
2011年夏なみの需要削減と、発電設備の活用で、原発全停止でも夏には大きな余裕を見込むことができる。
表A5. 北陸電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
F. 関西電力
関西電力は原発依存度が高く、電力需給の脆弱性が明らかになっている。
但し、本文表9にも示したように、150万kWの追加対策で、夏のピーク需要を乗り切ることができる。今夏なみの需要削減、発電設備の活用に加え、追加の需要削減、隣接する中部電力および中国電力からの融通、自家発活用により、原発全停止でもこの夏は余裕を見込むことができる。
表A6. 関西電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
G. 中国電力
中国電力はもともと原子力の割合が少なく、原発全停止の場合でも需給に余裕がある。
政府も今年なみの節電実施で、原発全停止でも夏は大きな余裕を見込んでいる。これに加え、発電設備活用で、さらに大きな余力を見込むことができ、関西電力への融通を余裕をもって行うことができる。
表A7. 中国電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
H. 四国電力
四国電力は原子力の割合が高い。これによる需給の脆弱性が今回明らかになった。
加えて、政府予測は四国電力が需給逼迫との予測をしながら、一方で他社へ17万kW融通をすることで、来夏の四国電力はぎりぎりになっている。関西電力への融通は余裕のある中部電力や中国電力に任せればよく、余裕の少ない四国電力が行う必要はない。
今年なみの節電を実施し、発電所を活用、他社融通を中国電力に任せれば、原発全停止でも来夏は余裕を見込むことができる。
表A8. 四国電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
I. 九州電力
九州電力は設備容量に占める原発の割合が高く、脆弱な構造が明らかになった。
供給予備力は小さいように見えるが、域内には節電追加、自家発電追加の可能性があり、夏場は太陽光発電も活用できるだろう。さらに供給予備力が心配される場合には、余裕のある中国電力からの融通を得ることもできる。今年なみの節電を実施し、発電所を活用することで、原発全停止でも来夏は余裕を見込むことができる。
表A9. 九州電力の2012年夏の電力需給(ISEP予測と政府予測の比較)
補論 揚水発電の使用可能性(関西電力)
揚水発電は、ダムの貯水量に限りがあるので、大きな容量を長時間使うことができないという主張がある。これについて、関西電力の例で説明する。
関西電力は、4/10の資料「第5回大阪府市エネルギー戦略会議ご説明資料~今夏の電力需給について~」において、揚水発電が満水の場合、3500万kWh分の発電量が得られることを明らかにした。従って、ピークの出る日の揚水発電依存分がこれ以下になる必要がある。そこで、2011年夏の最大需要を記録した日をもとに、ケーススタディを行う。
図A1に、2011年夏の最大需要を記録した日の負荷曲線を示す。
図A1. 2011年夏の最大需要を記録した日の負荷曲線
最大需要は2784万kW、これに対し今夏の供給力は、追加対策込みで表1の通り2946万kWあり、これから揚水分を除くと2481万kW、朝晩はさらに再エネ分を除くと2471万kWである。この場合の揚水発電による供給カーブを図A2に示す。想定した揚水発電対応分は、2011年度最大需要発生日にも、十分賄うことができる。揚水は出力制御が容易なため、負荷変動に追従して利用することを想定する。
図A2 最大需要の日の揚水発電の1日の発電
1日の揚水発電量はこの積分値になり、約2200万kWhになる。これは全揚水発電が満水になった場合に発電可能な3500万kWhを大幅に下回り、12時間程度の使用時間でも余裕があると見ることができる。さらに、需要抑制により揚水の使用時間を短くすることにより、ピーク時には450万kW程度まで供給できるはずである。
一方、政府や関西電力は、電力逼迫により、満水にするまで汲み上げる電力が不足するとしている。そこで次にこれについて検討する。揚水発電のロスを3割とすると、3500万kWhの電力を昼間得るために夜間汲み上げに必要な電力は5000万kWhと推定される。図A1の需要と表1の供給力から、図A3のように揚水に回せる毎時の電力が求められる。1日の揚水に回せる電力量はこの積分になり、約7500万kWと、揚水発電で満水にするための電力が、最大需要の日においても余裕をもって得られることがわかる。
図A3. 揚水に回せる電力
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