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2013.05.25 Vol.2 Full Moon / for 63 greenz people
この夏オープン予定の「リトルトーキョー」に向け、大掃除まっただ中!
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。


この部屋がどう変わる?劇的なビフォーアフターに注目です!


<vol.2号(満月号)>の目次

FEATURE / ツクルバ中村真広さんに聞く「場作りのヒント」
LIST / 太刀川英輔さんが選ぶ「3つのグラスルーツデザイン」
COMMUNITY / 編田博子さんに聞く「greenzプロデューサーという仕事」
Q&A / フクヘン小野さんに「greenz peopleのこれから」について質問です

 

FEATURE

「リトルトーキョー」をどんな街にしよう?
ツクルバ中村真広さんに聞く「場作りのヒント」

with Masahiro Nakamura / interview by Ono


この夏、日本仕事百貨とグリーンズが取り組む「リトルトーキョー」。
虎ノ門の一角をひとつの町に見立て、1,000人を超える"開拓者"と一緒に、
「新しい仕事を実験できる場所」をつくっていく予定です。
とはいえ、実際に場所を持つことは、グリーンズにとって初チャレンジ。
そこで今回は、人が集まる場所を次々と手がけるツクルバの中村真広さんに
場作りのヒントを伺ってきました。(小野)



ツクルバの中村真広さん

小野 今日はありがとうございます。
「リトルトーキョー」をつくろうとするなかで、
まずお話を聞いてみたいなと思ったのが
中村さんだったんです。
 
中村さん それは嬉しいです!ありがとうございます。
グリーンズさんには記事に取り上げていただいたり、
green school Tokyo で使っていただいたり、
本当に感謝してます。
 
小野 いえいえ、こちらこそです。
さっそく最近のツクルバについて教えてもらえますか?
 
中村さん 今日来てもらっている「co-ba library」は
オープンしてちょうど一年なんですが、
この一年は「co-ba」の実践を他に転用できないか、
と種をまいていた感じですね。

それが最近「EDITORY」とか「FLAG」など、
だんだん花開いてきました。
 
小野 今は何件くらいプロデュースしているんですか?
 
中村さん 働く場所でいうと神保町、神宮前、町田、調布、
東京以外の地方案件も含めると6つ。
飲食関係が池袋に4店舗で、
他には外国人旅行者向けのゲストハウス+日本酒を
テーマにしたバーを東京の東側に計画中です。
ただメンバーは6人なので、いつもギリギリですね(笑)
 


「co-ba」のなかの様子

小野 「場作り」についてどう考えていますか?
 
中村さん ええと、かなり人気ワードになっているけれど、
きちんと定義されていないように感じています。

ワークショップやファシリテーションなどの
ソフト側からのアプローチと、
空間デザインなどの物理的な環境=ハード側からのアプローチと、
「場作り」には二つの源流があると思うんですが、
僕たちとしてはその間を狙っていきたい。

でも、どういうスキルがあればいいのか、
まだぼんやりとしているんです。
不動産だけでも建築だけでもできないし、
ワークショップのファシリテーションだけでも足りない。
 
小野 僕たちもまさに、その辺りを知りたいんですよね。
 
中村さん ぜひ一緒に探っていけるといいですね。
あとは、運営者・利用者の垣根を越えて
自律した場をつくるのは、
co-baのリアルな課題でもあります。

運営者ありきで成立している場というのは、
小さい喫茶店のマスターと同じで、
熱量はあるけどスケールアウトはできない。

立ち上げた僕や村上から現「co-ba編集長」である國保に
どういうスキルを継承していけばいいのか、
そして、会員さんを巻き込んだ自律した場に
どのように育てていけばいいのか。
いつも悶々としています。
 
小野 ちなみに「編集長」という肩書きの意図は?
 
中村さん コミュニティを編集するという意味でつけました。
コンテンツを生み出すのではなく、
場で生まれている活動を吸い上げて編集し、
co-baとしてアウトプットするイメージです。

何より名刺を渡した時に突っ込まれるから
いいじゃんってのもありますが(笑)。
 


気軽に話をする中からプロジェクトの種が生まれます。

小野 中村さんはどうやって
場作りのスキルを学んでいったんですか?
 
中村さん ちゃんとは学んでないんです(笑)
モノのデザインを越えて、枠組みのデザインへと
チャレンジした最初のきっかけは、
会社員時代に「GOOD DAY」というNPOに入って、
アップサイクルプロジェクト」という
新規プロジェクトを立ち上げた時ですね。

代表の荒さん(HITOTOWA代表)の愛のあるムチャぶりで、
プロジェクトリーダーをやることになったんですけど、
予算配分や、販路開拓、ワークショップなど、
今までやったことないことに取り組んだんです。

荒さんがいろいろサポートしてくれて、
リスクがほとんどなかったのも大きかったと思いますが、
この経験を空間づくりに転用したら、
空間設計だけではない場作りへと発展してきたって感じです。
 
小野 学んだというよりも、
自分でやってみて気づいたということですね。
 
中村さん もう実践あるのみですね。

建築学科の頃に所属していた研究室は、
とにかく実践の機会が多くて、
先生が引っ張ってきた仕事をやるんです。
それが面白いと思って入ったんですけど、
もちろんほとんどお金はもらえない。
むしろ学費を払ってるし(笑)。
でもそれって、実践と研究の最高の枠組みなんですよね。

昨日、ちょうど東大の研究室にお邪魔したら、
社会人研究者が8〜9割で、
みんな研究室で仕事しているんです。

実際に東大の新しい図書館の物件とか、
とにかく実践しながら研究していくというのは、
これからの新しい研究チームのあり方だと思いますし、
ツクルバもそこを目指していています。
全員R&Dというか。
 
小野 co-baの場合、場所との親和性が高そうですよね。
自然と共有されているものがあるというか。
 
中村さん 確かに、co-baではいいノイズが
生まれている気がしますし、我々もそれを享受しています。
放っていても会員さんが話している声が聞こえて、
最近あの人こういうことやってるんだなって気づけたり。
そこが研究室らしいところでもあり、
ツクルバ自身がco-baに拠点を置いているメリットだと思います。
 
小野 実験って隠れた場所でやっているイメージがありましたが、
本当は最先端の場所なんですよね。
完成したら消費するしかないけど、
完成しないから消費しないで成長していける。
 
中村さん そうですね。ここにバンドセットが置いてありますけど、
はじめは一人がギターを持ってきて、
だんだん楽器が増えてこうなりました。
 
小野 co-baでどんどんいろんなことが
勝手に生まれるのはどうしてなんでしょう?
 
中村さん ”余白を残す”ことを大切にしています。
「こういうのやりたいんですけど」って言われたら、
「やりましょう」と。

これからはもっと僕たちの悩みを共有して、
スキをみせていきたいですね。
例えば「会員減っているんだけど、
どうしたらいいのかな?」とか、
どんどんぶっちゃけていきたいです。

会員さんから自発的に提案があったり、
会員さん同士で盛り上がったり、
いい意味で運営者なんていらないじゃん、という状況が
理想型な気がします。
 


co-baオープン前にもインタビューさせていただきました

小野 これからco-baでは、
どんな実験をしていこうと思っていますか?
 
中村さん 地域にもつながった小さな民主主義の実験場にしたいですね。
例えば、co-baを通じて渋谷に対してコミットしていきたいけど、
僕ら自身は何からスタートできるかな、と考えています。
まずは自分たち自身でロールモデルを示したいです。

あと、co-baで”自治会”をやりたいと思っています。
確か山崎亮さんが「2,3割の住民が盛り上がっていれば
その土地は結構いい」と言っていたので、
20人くらいで発足できるといいなあと。
 
小野 「自治をどうやって取り戻すのか」は
重要なテーマになりそうですね。
最後にリトルトーキョーにアドバイスがあればぜひ!
 
中村さん まず、祭りを開催してほしいです!
例えば、8月4日に84(はし)で
「箸供養」っていう祭りをやってるところがあって、
古い折れた箸を神社で供養するんですね。

そういう風に祭りを捏造するやり方は、
人と人が出会うきっかけ作りとして参考にしています。
 
小野 祭りを捏造っていいですね(笑)
 
中村さん あとは細い路地みたいになっていくと面白いと思います。
植栽にみんなこだわったり、
勝手な自分ごと感がある感じがいいなあって。

ちなみに僕、盆栽カフェやれる場所を探してるんですよ。
最近、盆栽をはじめたんですけど、
朝と夜しか見る時間がないし、人に見せる機会がないので、
そのカフェにランチを食べに行ったらマイボトルならぬ
マイ盆栽をお店の人が出してくれる、みたいな(笑)
 
小野 それは面白そうですね(笑)
ぜひ、リトルトーキョーで一緒にやりましょう。
今日はありがとうございました!
 




LIST


太刀川英輔さん(NOSIGNER代表)が選ぶ
「未来は辺境から変わる。3つのグラスルーツデザイン」

with Eisuke Tachikawa


2013年の「TEDxTokyo」も記憶にあたらしいNOSIGNERの太刀川さんは、
ここ数年「これからのデザイン」について対話を重ねてきた大切な仲間の一人です。
被災者に役立つアイデアを集めた「OLIVE」や、伝統技術の粋を集めたベビーブランド「aeru」、
牡鹿半島のお母さんたちのハンドメイドブランド「OCICA」など、
グリーンズ読者にお馴染みのプロジェクトにも、デザイナーとして関わっています。
今回はそんな太刀川さんのお気に入りの記事を選んでもらいました。(YOSH)



NOSIGNER代表の太刀川英輔さん

greenz people のみなさん、こんにちは。NOSIGNERの太刀川です。

すごいアイデアやデザインが生まれるところって、一体どこでしょうか。
企業の研究所?科学者のラボ?それともデザイン事務所?
そういった場所から生まれる発見もありますが、困難を抱えた場所から、
必要に迫られて新しい発想が生まれてくることもあります。
グラスルーツデザイン。辺境から生まれた新しいアイデアとデザインを、
greenzの記事から3つ選びました。

インターネットによる圧倒的な伝達速度は、
地球の裏側のとある子どもが生みだしたアイデアが、
翌日には地球の反対側のおばあちゃんに役立つような、情報の並列化を生みました。
グッドアイデアは、場所や規模を超えて伝わる時代。
それが課題ばかりの僕らの時代の希望の光です。

今も課題を抱えた世界のどこかで、
未来を変える新しいデザインが生まれているかもしれません。



水問題はこれで解決!?
ペルーの大学が作った、空気から水を作る巨大看板

つながらなかった課題をつなげる
ペルーからのデザイン。広告の看板x水問題という、全く繋がらなかった2つの課題を、クリアな方法で解決しています。広告としての外観はほとんど変えずに、新しい周囲との関係を作り出しているところが、ソーシャルデザインとしてエレガントだなあ、と感心しました。ぜひ広がってほしいアイデアです。(太刀川)


途上国の家事の課題を解決!
電気いらずのポータブル人力洗濯機「GiraDora」

「コレで充分じゃない?」を探る
これもペルーからのデザイン。足踏み式の洗濯機です。震災時の使えない洗濯機を経験している経験を思い出すと「コレで充分じゃないか?」と思ってしまいます。3,200円のスーパーエコ洗濯機。椅子にもなります。これは日本でも売れるね。むしろ未来!(太刀川)


制作費たったの1,200円!
イスラエルの起業家が発明した、ダンボール製の超エコ自転車

圧倒的に低価格にする
イスラエルからのデザイン。紙で自転車をつくるというシンプルなアイデアです。手軽なアイデアなのに、とても新しさを感じます。圧倒的に低価格なことが売りなので、イスラエルから上手く広がれば、アフリカなど新興国のモビリティを変える可能性があります。多くの人にチャンスを与えるプロジェクトに育ってほしいです。(太刀川)




COMMUNITY

greenzプロデューサー 編田博子さんに聞く
「greenzプロデューサーの仕事とその周辺」

with Hiroko Amida / interview by Eri Kimura


よく「グリーンズはどうやって回っているんですか?」と聞かれますが、
今回はそのビジネスまわりを担当しているプロデューサーチームの一人、
編田博子さんにお話を伺いました。
フリーランスのPRコンサルタントや放送作家として活躍する編田さんですが、
元NHK秋田のアナウンサーという素敵な肩書きも!(えり)



greenzプロデューサー 編田博子さん

えり グリーンズに入ったのは昨年の秋ごろでしたね。
 
編田さん はい、日本仕事百貨の掲載を見て応募しました。
私はPRの仕事をしていて、
世の中にきちんと伝えるメディアを
自分のなかに持っていたいと思ったときに
真っ先に思いついたのがグリーンズだったんです。

実は5年くらい前から見ていましたが、
採用はないだろうなと思っていたので、
募集を見つけたときは嬉しかったですね。
 
えり グリーンズではプロデューサーとして参加されていますが、
具体的にはどんなことをしているのですか?
 
編田さん フクヘンの小野さんたちと一緒に、
企業とコラボレーションする企画を考えたり
ディレクションしたりしています。

最近ではパタゴニアとコラボして、
社会起業家の女性たちと山登りをしながらお話を伺いました。

グリーンズも、グリーンズに集まる人たちも、
一人勝ちしようとしないんですよね。
未来に向けて、みんなで一緒に高め合って、
支え合っていこうとしている。

そこに共感してくれるクライアントさんとのお仕事だから、
いつもみんな笑顔。心地いいです。
 
えり グリーンズに参加してみて、変わったことはありますか?
 
編田さん 今のグリーンズのコピーでもある
「ほしい未来をつくる」という言葉が
しっくり来るようになりましたね。
社会とか世界とかスケールの大きいことも
つくっていかなきゃいけないというか、つくれちゃうんだ、と。
つくれるという前提で色んなことを
始められるようになりました。
 
えり それは大きな変化ですね。
 
編田さん ただ私自身は「こういう社会にしたい!」と
目指しているというより、ソーシャルデザインに関わる人たちの
未来を応援をしたいと思っています。

NGOや社会起業家の方は、何かをつくることに一生懸命で、
それを誰かに伝えるところまで
手がまわっていないことが多いんです。
PRの仕事では、そうした本来は広報が必要なのに
足りていないところへ行って、
広報の地盤づくりのお手伝いもしています。
 
えり そう思うきっかけは何かあったんですか?
 
編田さん 大学生のときに、家庭裁判所に通う必要のある
少年たちをサポートするボランティアをしていたのですが、
この仕事に関わる人だけで社会を変えていくのは
「無理!」と感じたんです。

でも、周りの人を巻き込んで、
つながりや関係性をつくれば
何百倍もの力になると気づきました。

何でこんな家庭環境になってしまうのかとか、
みんなで考えれば解決にむけて
新しい動きができるのでは、と。

グリーンズでも、そうやってみんなが
もう一歩成功するお手伝いをしていきたいです。
 
えり 今日はありがとうございました!
最後に、「あなたにとって、グリーンズとは?」を教えて下さい。
 
編田さん ドラえもんのポケットのような、
ほしいもの・求めているもののヒントがある場所。
“誰かのため”がたくさんつまった場所。
だから好きです。
 




Q&A

フクヘンの小野さんに質問です。
「greenz people はどこに向かっていきますか?」

with Shun Tateno


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくるフリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!



今回は、β会員でもあった館野峻さんが質問します

Q. 「greenz people」の輪は、今後どのように拡がっていくと思いますか?

サイトのリニューアルから3カ月あまりが経過しました。green drinks やその他のイベント等で、greenz people とリアルな場で会うこともあったと思います。先日、現在会員は60名ほどとお聞きしましたが、まずリニューアル前と比較して、いかがですか? また、地域的にも、業種的にも、速度的にもどのように greenz people の輪が拡がっていくと思いますか?また、どのように拡がっていくとグリーンズの目指す未来に近付いていくと思いますか?以上のことについて、教えてください!(峻)

▼ ▼ ▼


フクヘンの小野が答えます

A. 丁寧な対応ができるように、少しずつ広げています

峻さん、こんにちは。ご質問ありがとうございます。

グリーンズの個人寄付会員「greenz peolple」は、2013年2月末のgreenz.jpのリニューアルにあわせて開始しました。だんだんと広がっていくものにしたいというのと、僕たち自身、個人の方からお金をいただいて定常的に展開するサービスを運営するのが初めてだったので、丁寧な対応ができるようまだあまり大々的には告知していないのですが、現在60人弱の方たちが会員になってくださっています。

現在のgreenz peolpleは、東京、大阪を中心として、北海道、岩手、名古屋、奈良、福岡など、全国各地にお住まいです。年齢は、20〜40代の方が中心で、30代の方が最も多く、このあたりはgreenz.jpの読者層とほぼ重なっていますね。職業は、半分が会社員の方で、読者層に比較して学生の方が少なく、逆に、経営者や自営業の方が多くなっています。

オーガニックな広がり方に関しては、この傾向が続いていくのではないかと思うのですが、もう一方で、greenz.jpを普段から読んでくださっている方ではない方に、グリーンズの発信する情報に触れていただいたり、グリーンズのコミュニティに参加していただいたりする、良い機会にしていきたいと思っています。

greenz peopleになっていただくと会員限定のメルマガや、会員限定の書籍(雑誌)をお届けしているのですが、これは能動的に情報を取りに行く必要のあるgreenz.jpとは違い、受動的に受け取ることのできるサービスです。その利点を活かし、例えば読者の方が、家族や仲間や同僚にgreenz peopleに送られるメルマガや書籍(雑誌)をプレゼントできるようにしても良いのではないかというアイデアも考えています。

まだまだスタートしたばかりのgreenz peopleですが、僕たち自身のアイデアや心を込めつつ、みなさんと一緒に育てていく活動になればと思っています。もしご意見などがありましたら、ぜひ教えてください! (小野)



次回の発行日は<6月9日(日)>の予定です。お楽しみに!



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発行:NPO法人グリーンズ
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